第8章 崩れゆく秩序
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広場は戦場と化していた。
燃え盛る炎、響き渡る悲鳴、黒い液体をまき散らす実験体たち。
王都の象徴であった場所は、もはや地獄絵図に変わっていた。
人々は逃げ惑い、兵士たちは混乱の中で剣を振るう。
だが、その兵士の中にも震える者、戦えぬ者が少なくなかった。
――彼らも気づき始めていたのだ。
教会が掲げた「真実」が、虚構であることに。
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教会の使者は血走った目で叫ぶ。
「勇者よ! 人々の前で力を示せ! 魔王を討つのだ!」
だがレオンは剣を構えたまま、使者に背を向けていた。
彼の視線は、恐怖に震える人々へと向けられていた。
「俺が守るべきは……あの人たちだ」
その声は震えていたが、確かな響きを帯びていた。
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### 3
リオネルが実験体を斬り伏せ、僕の隣に立つ。
「秩序が崩れたな。教会は、もうこの場を掌握できん」
「……その分、次の一手を打ってくるはずだ」
僕たちは互いに短く頷き、戦列を整える。
崩れゆく秩序の中で、新たな火種が必ず撒かれることを悟っていた。
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### 4
人々の間から次々と叫びが上がる。
「勇者様が助けてくれた!」
「でも教会は、俺たちを実験に……!」
「どっちを信じればいいんだ……!」
群衆の心が揺れ動く。
それはもはや、一枚岩ではなかった。
――人々の信仰に亀裂が走り始めたのだ。
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### 5
その混乱のさなか、広場の鐘楼が不気味な音を響かせた。
ゴォォン……と重々しい鐘の音。
それは、まるで人々の心に杭を打ち込むように鳴り響いた。
そして、鐘楼の上に黒衣の男が姿を現した。
長い杖を携えたその姿は、教会の高位聖職者――枢機卿の一人だった。
「愚かな民よ……」
その声は広場全体に響き渡る。
「勇者を惑わせし魔王と、その徒党を許すな。これより裁きを下す」
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### 6(ラスト)
その言葉とともに、鐘楼から眩い光が迸った。
それは聖なる輝きではなく、むしろ人々の魂を縛るような禍々しい光だった。
レオンが目を見開く。
「……これは……!」
群衆の瞳が一斉に濁り、次々と膝を折って枢機卿に跪き始めた。
秩序は崩れ去り、新たな支配が始まろうとしていた。
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