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『神様のバグで死んだけど、リスポーン地点が世界のラスボス城でした』  作者: 匿名希望
「勇者たちの分岐点」

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第8章 崩れゆく秩序



### 1


 広場は戦場と化していた。

 燃え盛る炎、響き渡る悲鳴、黒い液体をまき散らす実験体たち。

 王都の象徴であった場所は、もはや地獄絵図に変わっていた。


 人々は逃げ惑い、兵士たちは混乱の中で剣を振るう。

 だが、その兵士の中にも震える者、戦えぬ者が少なくなかった。

 ――彼らも気づき始めていたのだ。

 教会が掲げた「真実」が、虚構であることに。


---


### 2


 教会の使者は血走った目で叫ぶ。

「勇者よ! 人々の前で力を示せ! 魔王を討つのだ!」


 だがレオンは剣を構えたまま、使者に背を向けていた。

 彼の視線は、恐怖に震える人々へと向けられていた。


「俺が守るべきは……あの人たちだ」

 その声は震えていたが、確かな響きを帯びていた。


---


### 3


 リオネルが実験体を斬り伏せ、僕の隣に立つ。

「秩序が崩れたな。教会は、もうこの場を掌握できん」

「……その分、次の一手を打ってくるはずだ」


 僕たちは互いに短く頷き、戦列を整える。

 崩れゆく秩序の中で、新たな火種が必ず撒かれることを悟っていた。


---


### 4


 人々の間から次々と叫びが上がる。

「勇者様が助けてくれた!」

「でも教会は、俺たちを実験に……!」

「どっちを信じればいいんだ……!」


 群衆の心が揺れ動く。

 それはもはや、一枚岩ではなかった。

 ――人々の信仰に亀裂が走り始めたのだ。


---


### 5


 その混乱のさなか、広場の鐘楼が不気味な音を響かせた。

 ゴォォン……と重々しい鐘の音。

 それは、まるで人々の心に杭を打ち込むように鳴り響いた。


 そして、鐘楼の上に黒衣の男が姿を現した。

 長い杖を携えたその姿は、教会の高位聖職者――枢機卿の一人だった。


「愚かな民よ……」

 その声は広場全体に響き渡る。

「勇者を惑わせし魔王と、その徒党を許すな。これより裁きを下す」


---


### 6(ラスト)


 その言葉とともに、鐘楼から眩い光が迸った。

 それは聖なる輝きではなく、むしろ人々の魂を縛るような禍々しい光だった。


 レオンが目を見開く。

「……これは……!」


 群衆の瞳が一斉に濁り、次々と膝を折って枢機卿に跪き始めた。

 秩序は崩れ去り、新たな支配が始まろうとしていた。


---



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