第6章 勇者の決断
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広場は、息を呑むような沈黙に包まれていた。
誰もが勇者レオンの一言を待っていた。
剣を掲げる彼の腕は震えていたが、その瞳にはもはや迷いだけではなかった。
恐怖と葛藤の奥に――決意の光がわずかに宿り始めていた。
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「俺は……勇者だ」
低く絞り出すような声。
群衆は歓声を上げかけたが、レオンは続けた。
「だが……俺が守るべきものは、神でも、教会でもない」
「俺が剣を振るうのは――人を守るためだ!」
広場が凍りつく。
教会の使者の顔色が、みるみる蒼白に変わった。
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### 3
レオンは剣を振り下ろし、地面に突き立てた。
硬い音が響き、群衆の視線がその一点に集まる。
「もし教会が人を魔族に変えているのなら……俺は、それを見過ごせない!」
「たとえ俺が勇者と呼ばれなくなっても……俺は俺の信じるものを選ぶ!」
その言葉に、少女が泣きながらレオンの裾を握りしめた。
「勇者様……!」
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### 4
使者が慌てて叫ぶ。
「愚かな! 勇者よ! それは神への叛逆だ!」
レオンは鋭い眼差しで返した。
「違う……これは俺の選択だ」
その言葉は広場全体に響き渡り、やがてざわめきが渦巻き始めた。
「勇者様が……教会に逆らう……?」
「でも、本当のことを言ってるのかもしれない……」
人々の心が揺さぶられていく。
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### 5
リオネルが小さく呟いた。
「……そうだ。それでいい」
彼の顔には複雑な感情が浮かんでいた。
誇らしさ、安堵、そしてどこかに残る寂しさ。
僕は静かに拳を握った。
――勇者レオンは、自分で歩き始めた。
その選択が、この世界を大きく変えていくことを、誰もが悟っていた。
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### 6(ラスト)
群衆の中に、一人、影が立ち上がった。
フードを深く被ったその人物が、低く呟く。
「……ならば、勇者よ。お前もまた、敵だ」
その声とともに、広場の奥で爆炎が炸裂した。
人々の悲鳴が夜空を裂き、戦乱の幕が再び開ける。
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