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『神様のバグで死んだけど、リスポーン地点が世界のラスボス城でした』  作者: 匿名希望
「勇者たちの分岐点」

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第4章 勇者の動揺



### 1


 広場は炎と怒号に包まれていた。

 群衆は「勇者」を讃える声と「魔王」を罵る声とに割れ、混乱は頂点に達していた。


 その中心で、レオンは立ち尽くしていた。

 剣を握る手が震え、額から汗が滴り落ちる。


「……俺は……何を信じれば……」


---


### 2


 リオネルが一歩踏み出し、必死に訴える。

「レオン! お前は自分の目で見たはずだ!

 “魔族”だと斬った相手が、人間だったことを!」


「だが……俺は勇者だ!」

 レオンが叫ぶ。

「人を導く光でなければならない……!

 それなのに、俺が斬ったのが人間だったなんて……認められるわけがない!」


 その声は悲鳴のようだった。


---


### 3


 僕は群衆の喧噪を押しのけるように、静かに声を投げた。

「レオン……真実はお前の心が決めろ。

 教会の言葉でも、俺たちの言葉でもない。

 お前自身が、この目で見て、この心で感じたものだ」


 その言葉に、レオンの瞳が揺れる。

 だが、群衆の叫びがそれをかき消した。


「魔王の誘惑に耳を貸すな!」

「勇者様! 惑わされないで!」


---


### 4


 教会の使者が一歩前に出る。

「勇者よ、迷うことはない!

 神が導く道を信じろ! 魔王の声は毒にすぎぬ!」


 その言葉に、レオンの手が剣を強く握り締めた。

 目を閉じ、苦悩に歪む顔。


「俺は……俺は……」


---


### 5


 その瞬間、瓦礫の陰から小さな少女が飛び出した。

 すすで顔を汚したその子は、泣きじゃくりながらレオンの裾にすがった。


「勇者様……お願い……お父さんを助けて……!

 “魔族”にされちゃったの……でも、お父さんは人間なの……!」


 群衆が息を呑む。

 リオネルも僕も、息を詰めてその場を見守った。


---


### 6(ラスト)


 レオンは少女の瞳を見つめた。

 涙に濡れたその瞳は、嘘を知らぬまっすぐな輝きを宿していた。


 勇者の剣が震える。

「……俺は……」


 彼の心の中で、教会の声と少女の声がせめぎ合う。

 真実と偽りの狭間で、勇者は揺れ続けていた。


---



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