第3章 暴かれる真実
### 1
炎に包まれたベルハルトの街へと足を踏み入れる。
瓦礫と悲鳴の中、僕たちは人の気配を追った。
「……っ、見ろ!」
ゼノが路地を指差す。
そこには、黒衣を纏った者たちが倒れていた。
顔を覆う仮面が割れ、覗いたのは――人間の顔。
---
### 2
「こいつら……魔族じゃない」
ゼノが息を呑む。
リオネルが剣を拾い上げ、刃を見つめる。
「魔族の武器じゃない。王国兵が使うものだ」
ミレイアは蒼白になりながら呟いた。
「つまり……教会が“魔族の襲撃”を演じさせてたってこと……?」
真実が、炎の中で姿を現していた。
---
### 3
その時、聖光が視界を裂いた。
レオンが広場へと現れ、敵を掃討していたのだ。
人々は涙を流し、彼の名を叫ぶ。
「勇者様! 勇者様が救ってくださった!」
喝采が街を覆い尽くす。
だがその裏で、リオネルの拳は震えていた。
「……これが現実か。
偽りの舞台で、真実は踏みにじられていく」
---
### 4
僕たちは広場へと駆け出し、レオンの前に立ちはだかった。
「レオン!」
僕が声を張ると、彼は驚いたように振り向いた。
「……お前たち……!」
人々がざわめき、怯えの声を上げる。
「魔王だ……! 裏切りの勇者もいるぞ!」
恐怖と憎悪が群衆の中に広がっていく。
---
### 5
「レオン、よく見ろ!」
リオネルが叫ぶ。
「お前が斬っているのは魔族じゃない! 同じ人間だ!」
「……な、に……?」
レオンが目を見開く。
僕は仮面を剥ぎ取り、群衆に突きつけた。
「見ろ! この者たちは魔族じゃない! 教会に騙され、魔族を演じさせられた人間だ!」
群衆がざわつき、視線が揺らぐ。
---
### 6(ラスト)
だが、その瞬間。
鐘の音が轟き、教会の使者が現れた。
「魔王の戯言に惑わされるな!」
彼らは大声で叫び、人々の恐怖を煽る。
「奴らは人を惑わし、勇者を貶めようとしているのだ!」
群衆の視線が再び敵意に染まっていく。
レオンは剣を握りしめ、震える声を漏らした。
「……どちらが……真実なんだ……?」
揺れる瞳。
勇者の心は、いま大きく揺らぎ始めていた。
---




