表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

リボンを掛けた小箱

作者: 各務 史

 日曜の朝、ガラス窓からコツコツと音

(また司だ。垣根をくぐって来たんだな。やだなぁ。)

美咲、寝たふり

司:美咲、美咲、起きてんだろ?ちょっと話があるんだよ。ここ開けてくれよ。

美咲:・・・

司:美咲!おいってば!

美咲:うるさいなっ!今度は何!?トカゲも蜘蛛も要らないからねっ!

   昨日、私のステンドグラスの箱壊したのも許してないから!

   もう、話なんてしたくないし、顔も見たくない

   大っ嫌い

司:え…、あ、うん、そう…。もう、二度と顔合わせなくなるけどな。

美咲:・・・ん?

司:あのさ、俺、今日引っ越すんだ。昨日は大事な箱割っちゃって、悪かったよ。

  だから、これ。

司、リボンの掛かった小箱を差し出す

美咲:な、なによ。また、ビックリ箱じゃないでしょうね?

美咲、小箱を受け取る

司:美咲、あのさ、俺、ホントはさ。あのさ。

  ・・・・

  俺も、明日からお前の顔見なくてせいせいするからよ。

  ばーか。

司、隣の自宅へと走り去る

美咲、びくびくしながら箱を開ける

美咲:これ…!ガラスの天使じゃない!

   しかも、歌歌ってるやつ

   誰にも欲しいって言ったことなかったのに

   なんで、司が?

   私が欲しがってること知ってた?

   偶然… だよね?

   あ。(司が引っ越すと言っていたことを思い出す)

隣家から、トラックの音

美咲、窓から飛び出して隣家に向かって走る

美咲:司ー!司っ!あのっ、これありがとう。

司:クスッ、顔も見たくねーんじゃなかったっけ?

美咲:もう、ちゃかすの止めてよ。それはそれ。お礼は言うの。

司:そっか。美咲だもんな。

美咲:ねぇ、どうして、これくれたの?

   私がこれ欲しいって、知ってたの?

司:知るわけないだろ、たまたまだよ、たまたま。

美咲:でも。

司:お前ってさ、キラキラしたもん好きだよな~。

  箱もそうだし、ガラス細工の人形とかさ。カラスかよ。

美咲:ひどっ。

司:なぁんてな。ホントはさ。知ってた。

  俺…、ずっと、お前のことばっか見てたからさ…。

  お前、いっつもその人形のこと見てただろ?

  ショウ・ウィンドウにへばりつくようにしてさ。

  だから、好きなんだろうなって。

  引っ越し記念に渡してやろうと思って。

美咲:うそ…。

司:お前さ、お前とろいから、他のやつにいじめられんなよ?

  俺、いなくなるけどさ。

  お前のことかまっていいのは俺だけなんだからなっ!

  じゃあなっ。

美咲:あの、つ、つか…

司を乗せた車、走り去る。美咲の手には歌う天使

「つーかーさーの… ばぁ~~~~かぁ~~~~っ!!」

涙声で叫ぶ、美咲



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
気になる子に嫌がらせをする男子が、最後の最後で、素直に告白して去っていくのがせつないです。 美咲ちゃんは、司くんのことを大嫌いなんて口にしたけど、気にはなってるんですよね。 いつか再会してほしいなと思…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ