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家庭教師りな  作者: MIN
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第十三話 りなの選択

◎ログライン

どこにでもいる思春期の少女りなが、幼なじみの男子たけしと時にはぶつかり時には協力し合い助け合いながら真の友情をはぐくんでゆくちょっとおかしなラブコメディー。


● 登場人物

佐藤りな :天寺高校3年生17歳。2組。家族思いのりなは父が病気で絵を描けなくなってからバラバラになった家族と父の心配をする。そのためりな自身が勉強していい会社に就職し大金持ちになり、幸せだった頃の家族に戻すことが彼女の目的である。


宮本たけし:私立寺東高校3年生17歳。Ⅽ組。女性恐怖症。女の前だと緊張し、心拍数が上がりよく勘違いされる。極度に勉強が嫌いで家庭教師の授業から逃げ出す。口は悪いが姉とは仲がいい。


宮本さえ子:19歳。宮本たけしの姉で優等生。勉強と絵を描く才能がある。その才能により磨きをかけるため海外へ留学をする。


佐藤健太郎:43歳。りなの父。りなへの愛情表現は豊かで、りなもよくなついてくれたが無職になってギャンブルに依存するようになり、競馬場へ入り浸る。


佐藤美野里:40歳。りなの母。娘には厳しく愛情表現が下手。健太郎が失業したため仕事が忙しくなり帰宅時間も遅くなる。りなに買ったプレゼントもゆっくり渡すチャンスもない。宮本大輔の会社で働くOL。


宮本ゆり :38歳。たけしとさえ子の母。さえ子とたけしを優等生に育てたい。優秀なさえ子と比べて勉強嫌いなたけしにはいつも悩まされている。


宮本大輔 :43歳。たけしの父でIT会社の社長。


相生なおこ: 天寺高校3年生17歳。2組。マイペースでいつも彼氏募集中!甘ったるい声が特徴。


天草まさみち: 私立寺東高校3年生17歳。Ⅽ組。昔、たけしと同じ夢を追いかける友達だったが、今は現実的な優等生を目指し勉強を続け、生徒会長にまでなっている。


天草智 :  46歳。まさみちの父。昔、妻と離婚しまさみちと暮らしている。


谷崎るみ: 私立寺東高校3年生17歳。Ⅽ組。彼女はよくまさみちを標的としてよくからかう。放課後うは人気モデルとして活動している。


中村優馬:47歳るみの父で大阪の八尾市に住んでいる。


内田わたる:(42)男性。武佐々美術大学の美術の先生。なぜかたけしを美大に行かせるため、意地を張る。たけしが美大に行くことを反対をするりなにわたるはりなに敵対をする。


佐倉たいし: (19)武佐々美術大学一年生。わたる先生に懐いてる。たけしが来てからわたる先生がたけしを庇うからたけしに敵対心を持っている。あんこのお菓子の店長の息子。身長154cm。男性。


佐倉大樹:46歳。佐倉たいしの父であんこのお菓子の店長をしている。たいしが絵を描くのを強く反対をしている。


〇 ストーリー

第十三話 りなの選択

宮本家に帰り自分の部屋に入ったたけしは動揺する。

「え……? 何これ……俺の部屋が……」

たけしの部屋に入るゆり。

「おかえりたけし」

「母さん……これって……一体……」

「お前のゲームと絵。勉強に邪魔になるものは全部捨てたわ。残り時間も少ないしこれからは佐藤家ではなくうちで勉強しなさい」

「……あんまりだ……これはあんまりだよ……」


佐藤家に帰ったりな。

「ただいま〜。あれ? 誰もいない?」

携帯を出して『荷物を置いたらすぐ向かう』たけしのチャットを見ながらリビングでたけしを待つりなは猫をなでる。

扉を開ける音に気付きりなはたけしと思い玄関に向かう。

「たけし……!」

スーツの姿で帰った健太郎。

「りな、帰ったのか」

「うん。お父さん、その姿は何?」

「あ、就職活動だよ。面接が終わって今帰ったとこ」

「え? お父さん就職するの?」

「あ、今までりなと美野里に苦労してもらってごめん……りなの学費出すためお父さん頑張らないと」

「じゃ、絵はどうする?」

「描かないよ。絵でお金を稼ぐなんて父さんには無理だった……」

「それで諦めた?」

「あぁ、もう心の整理もしてこれからは家族のために稼ぐことにしたからりなも学費のこと心配するな。父さんと母さんがなんとか用意するから」

「……」

「いや、それにしてもまだこんなおじさんを採用するところがあるってのが驚きだな。まだ日本は捨てたもんじゃないな。なぁ、りな?」

りなは部屋に入る。

「あれ? りな?」

机で揺動するりな。

「そうか……お父さんもう絵は描かないんだ……」

エプロンを着て夕食を用意する健太郎。

チャットを見ながらたけしを待つりな。

扉の音に気づくりなは玄関に向かう。

「たけし、遅い……!」

美野里が中に入る。

「ん? たけし?」

仕事先を心配する健太郎。

「おかえり。どうだった? クビになったか?」

驚くりな。

「クビ? お母さんクビになったの!?」

「ううん、普通だったけど?」

安心する健太郎。

「よかった〜。お腹空いただろう? 夕飯出来たわよ」

「あら、いい匂い〜。りなも一緒に食べましょう」

「うん……」

玄関を見てたけしを待つりなだったが食卓に行く。


宮本家でゆりは大輔に怒る。

「なんであの女をクビにしないの? あいつが私に何をしたのか話したでしょう?」

「だから優秀な社員をクビにしろと? それは出来ない」

「そんなにあの女が気に入ったの?」

「はあ? 何言ってる?」

「クビに出来ないほどその女が大事?」

「変な解釈はよせよ」

「意気地なし!」

寝室に向かうゆり。たけしが気になる大輔。

「おい! たけしは帰ってきたか?」

「知りません!」


たけしの部屋の扉を開けるさえ子。

「たけし……大丈夫?」

「……」

たけしの携帯から着信音が鳴るが動かないたけし。さえ子はたけしの電話を出る。

「もしもし? りなちゃん?」

「あのどちら様ですか?」

「私、さえ子。たけしに電話したんだよね……ごめん。今、たけし電話に出られなくて……」

「何かありましたか?」


廊下でさえ子は電話でりなに説明をする。

「……ってな訳でどうすればいいのか……」

「さえ子さん。たけしに変わってくれませんか?」


部屋に入りたけしの手に携帯を握らさせるさえ子。

「もしもし? たけし?」

「ん……?」

「私よ、佐藤りな」

「あ……りな、ごめん……今日勉強しにいかなくて……」

「たけし……うちに泊まりに来ない?」

「え?」


リビングで本を読んでいる大輔。修学旅行の鞄を持ち急いで靴を履くたけし。

「おい、たけし。こんな夜中にどこへ行くつもりだ?」

「お父さん。俺、父さんと母さんの言う通りに勉強をして成績もあげました。でもこれはあまりにもひどいと思いませんか……?」

「なんのことだ……?」

家から出るたけし。

「おい! たけし!」

鞄を持ち靴を履くさえ子。

「さえ子! お前も出て行くつもりか?」

「こんな家、いても苦しいだけよ! しばらく友達の家で泊まるから……それじゃ」

「ちょっと待って! 何があった? 父さんに説明してくれ」


佐藤家のマンション・一階でたけしを待っているりなは向こうから歩いてくるたけしを見つけ手を振る。

「たけし! おい!」

りなの声に気付き走ってくるたけし。

「ごめん…待った?」

「まぁ、少し……」

「ごめん……」

「たけし、人が謝ることしかしないとその人はそれしか出来ない人だと思うわ。私はたけしがそんな人になってほしくはない」

「ご……分かった」

「よろしい。中に入ろう」


ホテルでさえ子の話を聞く大輔。

「捨てた? たけしの私物を?」

「たけしがこうなるのも無理はないよ……」

「……」

「お父さん。私、こんな家族は嫌よ。お父さんはこんな家族関係がいいと思う?」

「……今夜はここで止まって明日母さんと話すよ」

「ありがとう、お父さん」


佐藤家でりなたちと夕食をとたけし。

「あの……いいんですか? ご馳走になっちゃって……」

箸をたけしに渡す美野里はたけしに言う。

「今よ今更。前と同じようにすればいいのよ」

箸をもらうたけし。

「あ、すい……ありがとうございます」

味噌汁をたけしに渡す健太郎はたけしに言う。

「そうそう。普段通りにすればいい」

味噌汁をもらうたけし。

「あ、すい……ありがとうございます」

茶碗を渡すりなはたけしに言う。

「みんなそう言っているんだしいいんじゃない?」

茶碗をもらうたけし。

「ありがとう」

猫にご飯をあげる美野里。

ご飯を食べるりなたち。りな、さっき疑問に思っていたことを美野里に聞く。

「お母さん。さっきクビがどうのかの話。本当に大丈夫?」

「心配しないでこう見えてもお母さん優秀な社員なのよ」

「ならよかった…」

美野里の仕事が気になるたけし。

「どこでお仕事をしているんですか?」

「君のお父さんの会社」

「え? 本当ですか?」

「本当、本当。それよりりながたけしを呼んだ時は驚いたわ。まさか泊まりでたけしを呼ぶとは……君たち付き合ってる?」

「いえ、まだ付き合っていません」

疑問に思いう健太郎と美野里。

「まだ?」

「りなにふさわしい男になったら僕からりなに告るつもりです」

感心する健太郎。

「たけし。オトコになったね! ささもっと食べて」

「ありがとうございます。あの……健太郎さんの絵が見えないんですが……」

たけしに事情を説明する健太郎。

「すまん、たけし。もう絵は描かないつもりだ……妻とりなにこれ以上負担をかけたくない。これからは家族のために働くつもりだ。だから君に絵を教えることはもう出来ない」

「そうですか……今までありがとうございました。先生……それとりな。その……従業料なんだけど……もうちょっと待ってくれないか。必ず用意するから」

「分かった。でもどうやって用意するつもり?」

「バイトをする」

「バイトやったことある?」

「ない」

「だよね……どんなバイトをするつもり?」

「どんなバイトがいいと思う?」

「あんたはもっと計画を細かく考えないの? まぁ……短期間に稼ぐのだったらお引越しバイトとか……」

「荷物運びとかたいへんそうだな……」

携帯でバイト求人を探すたけしはあるバイトを見つける。

「これ、ここから近くて時給もいいと思うけどどう思うりな」

たけしが見つけた求人情報を見るりな。

「これ……私がバイトしている所じゃない」

「本当? じゃ、ここにする」

求人申し込むたけし。

「ちょっと待って。あんた、いつまでウチにいるつもり?」

「帰らないつもりだけど……だめかな?」

「ダメに決まっているでしょう!? ただで居候するつもり?」

「う……わかった……! 宿泊費も出すから! いさせてくれよ!」

「授業料も出してないやつをどう信用するのよ」

「いいじゃない。お前、俺のこと好きだろ?」

「それとこれと話は別」

悩むたけし。玄関からインタホンがなり扉を開ける美野里。

「はい~。今開けますー! こんな時間に誰だろ?」

大輔が挨拶をする。

「こんな時間にすまんな。佐藤さん」

「社長……! どうぞ中に入ってください」

「いや、俺はたけしを連れにきただけだから。たけし、中にいるだろ?」

「はい、少々お待ちください」

たけしを呼ぶ美野里。

「たけし! お父さんがいらっしゃったよ!」

玄関に行くりなとたけし。

「たけしのお父さん。こんばんは」

「おー。こんばんは……うちのたけしが迷惑をかけて申し訳ない」

「いえ……それで今日はどの用件で?」

大輔、りなの隣にいるたけしを見る。

「たけしを連れにきたんだ。たけし、うちに帰るぞ!」

反抗するたけし。

「いや! 俺はうちに帰らない!」

「だからといってずっとここにいては迷惑だろうが……うちがだめならホテルで泊まって」

高級ホテルを想像するりな。そんなりなを見て動揺するたけし。

「父さんがどういっても俺は絶対に……! りな、どうした?」

「あ! いや、高級ホテルに行ったことがないからどんなところなのか気になったわけじゃなくて……」

「行きたいんだ……高級ホテルに……」

「うん……」

「じゃ、りなと一緒ならとホテルに行ってもいいよ」

美野里、健太郎、大輔はたけしの言葉に驚き、大輔はたけしに言う。

「一緒にってりなをか?」

たけしにダメ出しを言う美野里。

「たけし! 君とりなはまだ高校生なのよ! いくら仲がいいとはいえ一緒に寝るなんて! 私が許しません!」

美野里に賛成する大輔。

「そうだよ、たけし! いくらなんでもそれはできない」

健太郎に意見を聞く美野里。

「ほら、あなたもたけしに何か言って」

「いや……最近の高校生たちはもうやってもおかしくはないと思うが……」

怒り出す美野里。

「だからと言ってりなにそんなことをさせるつもり!? 受験生なんだからなおさらダメ!」

大輔と美野里に説明するたけし。

「ちょっと待ってください。俺はりなと一緒に寝るつもりはありません。部屋は別々で寝るつもりです」

たけしとりなの関係が気になる大輔。

「なぜりなまで連れて行く?」

「りなは俺の家庭教師。ここで教えるんならここで泊まったほうがいいでしょう?」

「わかった。下で待ってるから準備したら降りて来て。佐藤さん、りなをお借りしても?」

「はい。別々の部屋なら大丈夫です」

「ありがとうございます。失礼しました」

大輔、下に下りる。


部屋で鞄に服やノートを入れるりな。たけし、鞄を持ちりなを呼ぶ。

「りな、準備できた?」

「まだ、先に行ってすぐいくから」

「わかった」

先に行くたけし。箪笥を開けてゲームボーイアドバンスをみつけて鞄に入れるりな。


車で待ってるたけしと大輔。車に向かうりな。

「お待たせしました」

「じゃ、行くか。二人とも車に乗って」

「はい」


一人で宮本家にいるゆり。

「あなた? あなた! さえ子? たけし? 返事しなさい!」

静かな家。

「誰もいないの? こんな時間にどこに行ったのよ」

さえ子に電話をするゆり。ホテルで寝ているさえ子。

たけしに電話をするゆり。ゆりの電話を切るたけし。

大輔に電話をするゆり。運転しながら電話を出る大輔。

「もしもし? あなた? 今どこにいるの?」

「今ホテルに向かっている」

「あら、今夜はそこで泊まるつもりなんだ。それよりさえ子とたけしがどこにいるかしらない?」

「……知らない。それとしばらくは家に帰らないつもりだ」

「あら、どうして? 忙しい?」

「いろいろあってな……」

「わかった。たけしに連絡がきたら私に教えて」

「あぁ。わかった」

電話を切る大輔。


たけしに『たけし、今どこにいるの? 返事しなさい』とメッセージを送るゆり。


メッセージの音に気づくたけしは無視する。

「たけし修学旅行は楽しかったか?」

「うん、楽しかった」

「たけし……どうしてりなを連れてきたんだ?」

「え? 言ったでしょう? 授業のためで……」

「勉強嫌いなお前がそんなこと言うとは思わない。君たち付き合っているのか?」

「いや、まだ付き合ってない」

「まだ……ってことは?」

「俺がりなにふさわしい男になれたらりなに告るつもりだ」

「りなはたけしの告白を受けるつもりなのか?」

「はい、もともと私から告白したものですから」

「そうなのか……」


高級ホテルの入り口に車から降りたりなは建物を見て腰をぬかす。車のカギをホテリエに渡してりな達は中に入る。りなは大輔のふるまいを見て感激をする。

カウンターでルームキーをもらう大輔はりなのルーム番号を確認する。

たけしとりなに別々の部屋のルームキーを渡す大輔。

「はい、りなさんのキー」

「ありがとうございます」

「ホテルは初めてだよね」

「はい」

「朝食は7時から10時までで掃除は11時から。もし掃除がいらないんだったら部屋にある電話機で言うか扉にプレートをかけて。何か必要だったら電話機で注文して」

「はい、わかりました。ありがとうございます」

「何かわからないことがあったらたけしに聞いて」

「はい」

「お父さんもホテルで泊まる?」

「ああ、安心せい。お前とは別部屋だから。眠いだろ? 今夜は早く寝よ」


スイートルームに初めて入るりなは感激をし探検をする。

「これ……スイートルーム……成功したらこのような暮らしができるのか……」

鞄からゲームボーイアドバンスを出すりな。

「後でたけしに渡しておこう」

電話機から音が鳴り電話を出るりな。

「もしもし」

「もしもし佐藤りな様ですか?」

「宮本大輔様の伝言です。3階のバーに来て欲しいと」

「はい、わかりました。ありがとうございます」


バーでりなを待っている大輔。りな、大輔に声をかける。

「宮本さん。来ました」

「あぁ、りな……すまない。こんな時間に呼び出して」

「いえ、大丈夫です」

「とりあえず座って」

「はい」

席に座るりな。

「りなは将来何になりたい?」

「えっと……自分の会社を創りCEOになりたいです」

「おお……佐藤さんの子ならきっとできると思うよ」

「ありがとうございます」

「僕もりなを応援するつもりだ」

2千万円の小切手をりなの前に置く大輔。

「なんですか? これは……」

「君も受験生で自分の時間が必要だろう? たけしの家庭教師は今日でおしまいにして自分のために勉強しな」

「でも……まだたけしが東大に合格してないですし……それに……!」

「いや、十分だよ、りな。君は女性恐怖症だったたけしを治して勉強嫌いなたけしをあそこまで勉強をさせて成績を上げてくれた。誰もできなかったことを君はここまでやってきたんだ」

「……このお金を受けるかわりにもうたけしには関わらないってことですか」

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