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北句麗国

「なるほど……日本はテロリストが支配する属国になったニダか」

「そうニダ。たかが一人の無頼漢に屈するなど、戦後70年の平和ですっかり骨抜きにされたニダ」

大韓朝国と北句麗国の間にひかれた南北間のホットラインで、そのような会話が繰り広げられている。

大韓朝国の李大統領は、北句麗国を支配する銀正怨将軍に対して、日本の現状を伝えていた。

「でも、日本を攻撃したらユナイテッド共和国がでてこないニダか?」

「心配ないニダ。バカな日本はユナイテッド共和国の大使を怒らせて、同盟が解消されたニダ。これで我々が何をしようが、介入してくることはないニダよ」

李大統領は、自信をもって断言する。

「だから、まず貴国がミサイルで日本とシャングリラ王国の各都市を攻撃。平和ボケしている奴らが大混乱になるところを、わが大韓朝国の精鋭が上陸して日本を占領するニダ」

「まつニダ。それじゃ貴国が日本を手に入れるだけで、我が国には何のメリットもないニダ」

銀正恩総統は、そういってゴネてくる。

「……仕方ないニダ。なら東日本を北句麗国が支配して、西日本を大韓朝国が支配するってことでどうニダ?」

「それだけじゃダメニダ。まず戦争を始める前に、協力費として1000億ドルを支払うニダよ」

銀正怨は、足元をみてそう要求してきた。

「せ、千億ドル?それはちょっと……」

「嫌ならいいニダ。貴国だけで日本と戦うがいいニダ」

そう言われて、李大統領は考え込む。

(我が国だけで日本と戦っても、当然勝つに決まっているニダ。だけど占領のために軍を動かした後、北句麗国が国境線を越えて攻めてきたら、本土を取られてしまうかもしれないニダ)

そう思った李大統領は、しぶしぶその条件を受け容れた。

「仕方ないニダ……戦争を起こす前に振り込むニダ。その代わり、確実に日本にミサイルを撃ち込むニダよ」

そう念を押してホットラインが切られる。聞いていた銀正怨将軍の側近が、心配した口調で聞いてきた。

「あの……本当に日本にミサイルを撃ち込むニダか?」

不安そうな側近に、将軍は自分の考えを述べた。

「我々が約束したのはミサイルを撃ち込むことだけニダ。それが日本の都市に着弾するとは限らないニダ」

「なるほど……」

それを聞いて、側近も納得する。

「くくく。大韓朝国の愚か者め。我々を信じて日本に軍を上陸させたら、無傷の自衛隊と激しい戦闘になって相打ちになるニダ。どっちが勝とうが、その隙に大韓朝国を占領できるニダ」

そういって、銀正怨は狡猾な笑みを浮かべるのだった。


そして大韓朝国と北句麗国の連携作戦が始まる。

「ミサイル発射!目標は日本列島の10か所の大都市圏を通過させて、シャングリラ王国の沖合付近」

綿密に計算された弾道をもって、「飛翔体」が発射される。

「いいか、絶対に日本の本土にもシャングリラ王国にもあてるなよ」

「はっ」

緊張した様子で、ミサイルの発射ボタンを押す。10発のミサイルはすごい勢いで飛んでいき、あっという間に日本の上空に達した。

「いいぞ。このままの勢いで進んでくれれば、日本本土を飛び越えて南の海上に落下する」

期待をこめて追跡していたが、突然10発のミサイルすべてが爆発を起こし、レーダーから消えた。

「な、なにが起こった」

「わかりません。一瞬だけ光の線が走ったと思ったら、ミサイルが打ち落とされました」

予定していたことと違う事象が起こって、指揮官は真っ青になる。

「まさか……日本がミサイルを打ち落としたのか?まさか、今まで何もしなかったあの日本が、そんな積極的な行動をとるなんて……」

茫然とする指揮官に、将軍からの電話が入る。

「どうだ?ミサイルは予定地点に着弾したか?」

「は、はい……」

打ち落とされたと報告したら、首がとびかねない。指揮官は事実を黙ってうその報告をした。

「ミサイルは、予定通り太平洋に着弾しました」

「よし。日本とシャングリラ王国とやらの連中も肝が冷えただろう。あとは大韓朝国のお手並み拝見としようか。はっはっは」

電話の向こうで響く将軍の高笑いを聞きながら、指揮官は不安のあまり震えていた。

(日本国の本土の上空で爆発したということは、ミサイルに対する充分な備えをしていたということだ。ならば、大韓朝国が上陸作戦を結構しても、失敗する確率は高いのではないか?)

指揮官の脳裏には、さらに状況を悪化させるかもしれない予想が浮かんでいた。

「もし日本が上陸作戦を阻止したら、大韓民国軍は退却を余儀なくされる。そうなったら、一時的に首都を占領しても、戻ってきた大韓朝国軍に奪還されてしまうかもしれない。それに、日本まで参戦してくるかも」

その光景を思い浮かべて、指揮官の背筋が寒くなる。

「我が国から先制攻撃が仕掛けられたということで、日本に本格的な戦争を起こす口実を与えてしまった。大韓朝国と我々が戦っている間に、本土に攻め込まれてしまうと、わが国は亡ぶぞ」

そう考えた指揮官は、勇気を出して将軍に大韓朝国への進軍中止を進言するが、その時すでに事態か動いており、争いが始まっていたのだった。


少し前

新たに日本国首相となった低市首相が、日本の防衛費について太郎に相談していた。

「あの…安全保障税に二兆円も取られると、日本の防衛が保てなくなりまして……」

「安心しろ。それに見合った防衛設備を提供してやる」

そういって、太郎は亜空間格納庫から巨大なダイヤモンドを取り出す。

「これは魔族四天王の一人、光のシャインタートルの死体から削り出した『魔光玉』だ」

魔光玉は、光を反射して妖しく輝く。

「……たしかに美しい宝石ですが、それがどう国防に役立つのですか?」

「こうするのさ」

太郎はそのまま魔光玉を空高く放り投げる。魔光玉はそのまま上昇していき、ついに日本全土を見渡せる高さにまで達した。

「これでよし。あとは太陽の光を吸収してエネルギーにして、半永久的に活動をつづけるだろう」

「はぁ……」

低市首相は納得がいかない様子だったが、太郎には逆らえないので口を閉ざす。

しかし、魔光玉の効果をすぐに実感する機会が訪れた。

「大変です。北句麗国がミサイルを発射させました」

その報告をうけて、低市首相はまたかという顔になる。

「やれやれ、どうせいつもの威嚇だろう。遺憾の意を示すコメントを用意しておくように」

「そ、それが、いつもと違って10発同時に発射されました。しかも日本の各都市の上空スレスレを飛行しています」

「なにっ?」

仰天した首相は、太郎の協力で回復した軍事衛星のモニターで確認する。10発のミサイルは、東京をはじめとする都市の上空にさしかかっていた。

「も、もしや、本気でミサイル攻撃を仕掛けるつもりでは……」

首相たちに緊張が走った時、日本の中央に表示された光の点から光線が発せられる。

それは光速の速さでミサイルを貫き、空中で爆発させていた。

「な、なんだこれは」

「太郎さまが設置した『魔光玉』から、光魔法―レーザーが発せられ、ミサイルを打ち落としたようです」

それを聞いて、指令室にほっとした空気が流れる。しかし低市首相は素直には喜べなかった。

「……日本は戦後70年間、どんなに他国から挑発されても一切無視を貫いてきた。だが、このように明確に反撃をしてしまって、果たして他国はどのように反応するだろうか……」

苦悩する首相に、さらに追い打ちがかかる。

「またレーザーが発射されました。目標は……げっ」

「どうした!報告しろ!」

思わず叫び声をあげた士官に、鋭い叱責が走る。

「も、申し訳ありませんでした。目標は、東シナ海津島沖!大韓朝国の海軍です」

「ああっ!」

それを聞いた首相は、頭を抱えてへたり込むのだった。


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[気になる点] 前回と合わせて 大丈夫ですかこれ?(苦笑)
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