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鬼我原

太郎は、「鬼来組」の本家に現れていた。

「なんだてめえは!ここをどこだと思っているんだ…ぶっ」

威嚇してくる門番をなぎ倒し、屋敷の奥に進む。組員たちを倒しながら奥に進むと、そこにはまるで地獄に通じるような巨大な穴があった。

「英雄の反応はこの下か。面白い。鬼が出るか蛇がでるか。いってみるか」

宙を飛んで穴を降りていく。底に到着すると、いきなり視界が広がった。

「面白い。まさか日本にこんなところがあったとはな」

太郎が降り立ったところは、例えて言えば超巨大な洞窟の広間のようなところである。天井いっぱいに広がる光ゴケが薄暗い灯をもたらし、地下の町を照らしている。

その町はまるで繁華街のように飲み屋や風俗店が並んでおり、少し外れた所にはホームレスが道端に横たわっていた。

まるで夜の遊郭のような退廃的な雰囲気が漂っており、そこを行きかう人々の表情も暗い。

「頭に角がある。ということは、ここは鬼族の住む町なのか?驚いたな、日本にこんな場所があったなんて」

鬼族自体は、太郎が召喚されたシャングリラ世界でも棲息していて、魔族の先兵として人間と戦っていた。彼らが本来住む世界はとっくの昔に滅亡しており、さまざまな異世界に避難民としてした鬼族は魔族の下につくしかなかったのである。

そんなことを考えながら歩いていると、キャバクラが立ち並ぶ区画にきていた。

「お兄さん。うちの店にくるっちゃ。かわいい子がサービスするっちゃよ。フリードリンクで一万だっゃ」

まだ高校生くらいの年齢の虎柄ビキニの鬼の少女が、よってきて太郎の腕を引いた。

「結構だ。間に合っている」

寄ってくる客引きをあしらいながら、太郎は進む。あた

りには鬼族だけではなく、人間の金持ちそうな酔客も結構見られた。

「……哀れなものだな。きっと日本でも迫害されてきたんだろう」

日の当たらない地下に隠れ住んで、まっとうな仕事もなく、人間の金持ち相手に風俗業で働くしかない彼らに、太郎は思わず同情してしまう。

「こんなところに住んでいるから、まっとうな昼の世界で仕事ができなくなるんだろうな」

そんなことを考えながら歩いていると、ガタイがいい鬼族の男たちに囲まれた。

「山田太郎だな。ちょっとツラ貸しな。若が呼んでいるんだ。ケジメつけてもらわねえとな」

「面白い。どこにでも連れていくがいい」

太郎は男たちに連れられて、中央のコロシアムに向かうのだった。


太郎はコロシアム中央の広大な闘技場に連れてこられていた。その周囲は観客でいっぱいである。またコロシアムは岩の天井がついたドーム状になっていて、外へ騒音が漏れるのを防いでいた。

「久しぶりの『鬼狩り』だ」

電光掲示板には太郎の顔がでかでかと映し出され、「本日の獲物」と題されている。

やがて、中央の貴賓席に一人の大柄な鬼が現れた。その隣には英雄がいる。

「それでは、ただいまから「鬼狩り」を始める。その前に、獲物にルールを説明してやろう」

大柄な鬼-動児は嗜虐的な目で太郎を見つめると、解説を始めた。

「今からこの闘技場で一人ずつ鬼側が追いかけるから、お前はそれをかわして逃げ回れ。五分の間逃げきれたら勝ちだ。それを繰り返してもらおう」

それを聞いて、太郎は薄く笑った。

「要は鬼ごっこというわけか?」

「そうさ。人間の世界の鬼ごっこは、俺たち鬼族が人間を狩っていた時代に教訓として始まったんだ。鬼をみたら逃げろ。絶対に捕まるなってな」

動児が合図すると、闘技場の扉が開いて俊敏そうなまだ若い鬼族が入ってきた。

「まずは韋駄鬼。一番手だ」

「はい」

シュシュとシャドーボクシングしながら、韋駄鬼は太郎の前に立つ。彼が装着しているのはグローブではなく、鋭い爪がついたナックルだった。

「お前が最悪のテロリストか。せいぜい俺を楽しませてくれよ」

その鬼は、歯を剥いて威嚇してきた。

「俺は最初に捕まるに一万円」

「いや、奴は有名なテロリストだ。きっと逃げ切れるだろう。人間の勝ちに三万円」

観客には鬼も人間もいるが、誰もが熱狂して大金をかけていた。電光掲示板にオッズが表示される。一番人気は一分以内に太郎が捕まってボコボコにされる予想だった。

「それでは、はじめ!」

動児の合図により、銅鑼が鳴らされる。それと同時に、韋駄鬼は太郎に襲い掛かっていった。


「ヒャッハー!死ね!」

叫び声をあげながら、太郎に殴りかかる。その速さはボクシングミニマム級の世界チャンピオンをはるかに超えていた。

太郎はバックステップをしてかわしながら、距離をとって引力魔法を振るおうとする。しかし、斥力シールドを張る前に、距離を詰められてしまった。

「な?」

「ほらほら、てめえが力を振るうより、俺の拳のほうがはやいぜぇ」

韋駄鬼はすばやい動きでラッシュを決める。太郎は防御をとる間もなく、勘だけでその拳をかわし続ける。

「チッ。ちょこまかと。てめえ、素人じゃねえな」

「当然だ。一年も魔族と殺し合いを続けたんでな」

そう返すが、太郎はよけるだけで精一杯で、反撃する隙を見つけられなかった。

(仕方ない。一度体制を整えよう)

そう思って空に逃げた瞬間、韋駄鬼が天高くジャンプした。

「鬼の跳躍力を舐めるなよ。ドームの天井くらいまでなら飛べるんだぜ」

韋駄鬼はニヤリと笑うと、空中で太郎めがけて拳を放つ。

(しまった。空中では宙に浮くために下に向けて引力を使うので、斥力バリアーが張れない)

韋駄鬼の拳が太郎の顔面に向けて放たれる。鈍く光る爪が迫ってきた。

次の瞬間、太郎カウンターパンチを放ち、韋駄鬼を撃ちぬいた。

「ぐはっ」

韋駄鬼は跳ね飛ばされ、ドームの壁に叩きつけられる。同時に魔法を放った太郎も反対側の壁に激突した。斥力シールドを纏ってない生身の体に衝撃が走る。

「ぐっ……奴はどうなった?」

太郎が顔を上げると、壁に叩きつけられて気絶している韋駄鬼の姿が目に入った。

「くっ。周囲が壁に囲まれた場所では、空中で力を振るうとこっちも跳ね飛ばされ叩きつけられてしまう。なるほどな。だからドームコロシアムを戦場に指定したのか」

初戦から思わぬダメージを食らった太郎は、ここは自分が不利な場所なんだと改めて認識した。

「……一人目。人間の勝ち」

コロシアムに動児のつまらなさそうな声が響き渡る。観客の間から、負け掛札が舞い上がっ

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