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フードコートは無礼講な場所

 集合出来た私達は、フラミンゴ広場の惨劇を知らない振りをすることにして、ショッピングモールのフードコートへと移動していた。


 ハーニバルと宗近と私だけの三人で。


 何の罰ゲームだろう?

 宗近と二人だけならば全然苦じゃないのだが、そこにハーニバルが加わるだけでどうしてこんなにもお通夜状態となるのだろうか。


 今さらに部室を破壊されたサッカー部の人達への同情心が募る。

 彼らはハーニバルが人づきあいが下手だからと、盛り立ててあげようとしたとっても心優しいだけの人達だったんじゃないかと、そんな風に思うからだ。


 冬弦とアダムが、一分一秒でも早く戻ってくれるのを祈るばかりだ。

 彼らはカラスの糞で汚れた服を着替えにと、ショッピングモール近くのビジネスホテルに入ってしまったのだ。

 シャワーを浴びたいから、とは、とんだお坊ちゃまである。


 電話一つで適当な服を見繕って届ける使用人がアダムにはいる、という所にも私は驚きで一杯だ。


 だがしかし、我が友人の春桃こそ、彼らと同じ行動を取っている。

 彼女が彼らと違うのは、自宅に戻ってシャワーを浴びて着替えたいとご所望されたところだろう。

 靴下片方の汚れしかなかったのに。


 そこでここには春桃も舳宇もいないのだ。

 どうして春桃の隋従者が私ではなく舳宇なのかは、春桃の父は舳宇だろうが男の子と娘の二人行動を許しておらず、今日の私が舳宇だからである。

 春桃の家の運転手に、私達が取り換えっこしてる説明をしたくはない。


 さて話を戻すが、私は春桃のお陰でお金持ちの行動は理解している。

 だからお金持ちなアダムと冬弦の行動に驚くはずはなく、私がアダムに対して驚いちゃったのは、彼が使用人を使う人なんだ、という点についてなのだ。


 全部自分でやってしまう人に思っていたから、なんかがっかりというか。

 え?どうしてがっかりするの?私が?


「アダモっちゃん家って、すぐそこじゃなかったっけ?なのにわざわざホテルに行っちゃうなんて、女の子達がいるから金持ち自慢?」


 ポテトフライを口に放り込みながら、宗近が軽薄そうに口にした。

 宗近の目線が私に向けられたものならば、これは私への当て擦りに違いない。

 勝手に行動した春桃を追いかけるために、みんなで春桃の家の車に乗ってここまで来たのに、車を降りたその後は宗近を置いてけぼりにしてしまったから。


 妖精は意外と真面目だから交通法規を守るが、人間は信号無視や横断歩道以外で道を渡ってしまうなんていくらでもできるのだ。


「不思議に思うなら春桃にも言ってやって。あんな染み程度でシャワーだなんて意味わかんない。妖精は潔癖かよ」


「まあ、サルにはわかんないよね」


 私はハーニバルを見返した。

 彼は私達と一緒が嫌なのか、フードコートなのに何も買って来てはおらず、そうだ、だからこそ彼の目の前で飲み食いがしにくくて会話が弾まないのだ。


「サルで申し訳ありませんね。堂上先輩がサルを自宅に招きたくないからホテルにしたと、もしかして僕に気付かせたかった?」


「いやいや、アダムはサルだろうが気にしない男だよ。彼が自宅に君を招きたくないのはね、彼こそ家に帰りたく無いだけ、かな。父親の愛人がバラクーダみたいに大口開けてアダムを待ち受けているからね」


 私の両目はもしかして今の情報に真ん丸になっていたかもしれない。

 その証拠に、ハーニバルは、もっと知りたいか?と傲慢そうな目線を私に流して来たのである。


「猿がお嫌いなハーニバル先輩こそバラクーダと一戦を交えたかった、とか?」


「そうきたか!ハハ。魚よりも哺乳類の方がいいよ?いや、溜まったものがあったら行ってるかもな。だが今日は本気で無いな。今日は思いっきりカエルを壁に叩きつけてすっきりしたからね」


「あんたの溜まるは殺人衝動か!!」


 ハハハとハーニバルは笑っていない目で笑い、私は宗近に引き寄せられた。

 宗近は悪巧みをする友みたいにして、私の耳に囁く。


「ハーさんを煽るなよ?僕ちゃんの二分修正も追っつかないお人だからね」


「まじか?」


「シルフだろ?気性が風そのもの。暴風突風竜巻にと、誰にも止められないし、自分が破壊した結果に立ち止まることも無い」


「まじか~」


 私は宗近のシルフ評に脅えながら、再びハーニバルを見返した。

 彼はとっても気さくな様子で、見ず知らずの女の子達に食べ物の注文を頼んでいた。

 ここがセルフのフードコートで、注文聞きがいないからだろう。


 使用人どころか見ず知らずの一般人を使いっぱしりにしてしまうとは、使用人を使うアダムや春桃こそ謙虚で人格者に見えてしまうではないか。

 ハーニバルは見ず知らずの女の子に商品代金以上の金を渡すと、王様のように偉そうな顔つきで私を見返して来た。


「どうだ?誰も動かないから僕が幹事ごっこをしてあげたぞ」


 なんと、先輩として後輩に奢るという人間的行動を取ったのか。

 この自分本位な妖精が。


「あざっす。それで何を頼んでくださったんで?」


「チキンとコーラ。僕が食べたいのに誰も動かないから」


「察してちゃんかよ!!フードコートは自分で注文するものだ!!」

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