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生贄聖女とお人好し魔技師  作者: 綴螺
お迎えの時間
99/114

星夜祭前日6

「お待たせしました。シチューパイと魚の包み焼きになります」


 ラムとムスの前にメインが運ばれてきた。コーグはムスの頭の上からじーっと料理を見ている。

 

「コーグ、少し欲しい」


「まあ、今日は精霊に取り置きする人もいるし、置いてく人もいるし、なくなったら喜ぶ人もいるから、小皿が用意されてるからいいかぁー。はい」


 ムスは魚の包み焼きを小皿に置く。


「私のもあげるね」


 ラムはシチューパイを少し小皿に置く。


「やったー!美味しー!!」


 コーグは小皿に置かれた料理を食べてにこにこと笑う。


「ケーキを1種類ずつ頼もう、ムス。半分にしよう」


(頼み放題だから全部食べたい。そして、お気に入りをリピートしたい)


「うん。そうしよう。絶対に全部美味しいから」


 ムスが手をあげて、定員にケーキを頼む。

 ケーキは直ぐに運ばれてくる。


「綺麗!可愛い、美味しそう!」


 運ばれてきたのは定番のショートケーキにチーズケーキ、フルーツタルト、チョコケーキ、抹茶のロールケーキ、いちごのムース、パンダコーヒーケーキ、ババロア、可愛いウサギケーキ、鮮やかな星空のソーダケーキ。

 山のようなケーキがキラキラと輝いていた。


「何味かな??」


「今日は星夜祭前日だから、特別なケーキにグレードアップしているから、生クリーム美味しいし、フルーツも美味しいよ。特別製!って聞いた。常連さんの役得だね」


 ムスも甘い物を前に目を輝かせる。


「ショートケーキから!」


 ラムはケーキにフォークをいれ、食べる。


「あー!あまーい!美味しい!」


 ムスはラムが食べた片方を口に入れ、ショートケーキを味わう。


「美味しい」


(甘い生クリーム、甘いスポンジ、いちごの酸味)


「やっぱり少しずつ全種類食べなきゃ」

 

「うん。美味しい」


 2人は美味しそうに食べすすめていった。

 コーグは小皿に置かれた料理を時折つまみつつ、ムスの頭の上で寛いでいた。


「ラム、お祭り楽しい?」


「うん、安全で美味しい。そして軽い。皆楽しそう。なかなか歩いたことなかったから」


「もっと遊んでもいいのに」


「魔法の研鑽に費やしてた。侯爵令嬢のマナーもある。時間は少なかった。ムスみたいな体質の人に会えなかったから外出許可も1人ではなかなか下りなかったから」


(心配性の兄が2人いて、ギース兄様が戻ってこないと中々、無理だった)


「あー、そうか。でも、もう少し遊んでもいいのに。買い物は従者を連れていけばいけるよね?」


「そうだけど、あまり欲しくもないし、荷物はあまり増やさない主義。いなくなった時に大変だから」


(最終決戦は間近。結界が壊れ始めているから、力はあった方がいい)


「え?」


「ううん、何でもない」


「いや、今いなくなるって、、、。何か予定でもあるの?」


(余計なことをいった)


「時がくれば、かな」


 ラムは誤魔化さずに曖昧にぼかした。ムスには何となく嘘をつけないと思ったからだ。


「いや、そんな時は来ない、来てはいけない。指名されたのと関係があるの?」


(指名されたのは本物の聖女だとわかったから。復活の手順に聖女の生贄が必要だと知っていれば、指名された説明がつく。知っているかが、問題。どうかはわからない)


「思い当たるのは魔力量が多い聖女という点。後は復活には生贄が必要な点を知っているかどうか」


「え、生贄?」


「教会の奥に本があるの。そこにかかっているよ」


「!!」


 ムスは目を丸くする。


「ラム、狙われているの!?だ、ぜ、絶対に1人になるの駄目だからね!!」


「コーグ、護る!!」


 ぴょんぴょんとムスの頭の上で跳ねる。


「私と決まっては」


「決まっている風だった。ケーキたくさん食べて、遊んで、彼奴は一緒に倒そう。平和を脅かすのは退散させる。心配しないで」


(それを倒してもアルテマヴィーナを倒さないと繰り返される。私が倒さなければ同じ) 


「ありがとう。ムスも狙われている風だったけど」


「俺は邪魔なだけ。やり過ぎたかもしれないけど、あぶなかったから。大丈夫、大丈夫。まぁ、何とかなるから!ラムより危険じゃないよ。コーグもいるし、うん」


「コーグいるよー。コーグ強いよ!」


「技能的に敵と思われたでいいのかな。なら、いいけど。個別に狙われたら大変だから」


(何の意図もないならいいけど)


「まあ、そうなったらなったで対策するから。ラムは1人になっちゃ駄目だよ。倒すまでは。で、ケーキ全種類食べたけど、美味しかったのおかわりしない?」


「する。ショートケーキ、抹茶」


「えーと、ショートケーキ、抹茶、フルーツタルト、レアチーズ」


「はい、お持ちいたします。お待ち下さい」


「よし、真面目な話は終わりで、今日は楽しまないと!ラムも魔法の研鑽は忘れて、見てまわろう」


「美味しい」


 ラムは運ばれたケーキに手をつけて、笑顔で食べすすめていた。


「今日は楽しむことにする」


(たまにはいいかな。最後の休息になるかもしれないし、星夜祭は楽しい。ムスは割と索敵に関してはかなりの腕で頼りになる)


 ラムとムスはケーキを食べつつ、ゆっくりと何気ない話をしながら、時間を過ごしたのだった。





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