王都
星霊ヴァーゴの力で王都の聖剣の場所、結界の間に飛ばされたアーマラ、アステラ、ラム、ヴァーゴ、コーグ、ムス。
結界の間に剣はなく、薄暗いさっきの神殿のような場所に、地面にびっしりと文字が書かれていた。
文字は青白く浮かび上がり、呪文のように見える。
「ここ、言い逃れできない場所ー!!ま、え、ヴァーゴやり過ぎー!!」
ムスは真っ青になってしまった。
「星霊の私がいるから、大丈夫。疲れたから寝る。お休みー」
星霊ヴァーゴは魔力球から出てきて一言だけ話して魔力球に戻り寝てしまった。
「ここは、結界の要か。流石にこの文字の量は壊すのは骨が折れるだろう」
ヴァーゴが頷く。
「私とムスは休ませて貰うね。ムス、血だらけだもの」
「あ。確かにこの格好は、、」
ムスが自分の服をみて固まる。
「幻惑魔法使ったら怒られるもんねー。王都は大変。だから、コーグ、ムスとラムは連れてく。ペディロに連絡したー。いこー。うまーく、会わないように影で自宅まで飛ばすよー」
コーグがムスの頭の上から降り、空中に飛ぶ。
「コーグ、転移使えるの?」
「使えるー。でも、気に入った人しか入れるの嫌だから、言わない。ムス、ラムを抱えて。しゅるんってする」
「えーと、3人共、後はよろしく頼みます」
ムスは3人に頭を下げる。
「アーマラ、ギース兄にうまく言ってね」
(外出駄目だと言われたら困るから、上手くいってもらわないと)
ムスに抱えられながら、アーマラに手を振る。
「わかりました」
アーマラが頷く。
「いくよー!!」
コーグの声と共に一瞬で周囲が真暗になった。
(!?これ、転移魔法ではない。コーグの精霊魔法だ。力が強い。見たことないから、コーグが生み出した魔法かもしれない)
次に辺りが明るくなると、そこは1週間前にいた、中央の赤茶色のテーブルを囲む、椅子が4つのダーラス家の客間。
本当に一瞬で来たようだった。
「お帰り、ムス、ラムさん」
黒統一の黒い瞳に黒い短髪、服装は黒いシャツに黒いワイドパンツの40代ぐらいの男性、ペディロはいつも通りに2人を迎えた。
「ペディロただいまーー!!」
コーグは元気よく返事をする。
「コーグおかえり」
「父さん、ただいま。えーと、ラムが怪我してるから安静をお願い」
「あら!おかえりなさい!ムス!?大丈夫!?」
花柄のピンクのワンピースを着たユリアがにこにこと笑いながら居間に来て、ムスの血だらけに驚いて近寄る。
「大丈夫!俺じゃなくてラムの血だから!母さん、ラムをよろしく。止血もしたし、回復魔法も使った後。でも、あまり動かない方がいいから」
「なんてこと!」
「いえ、大丈夫です」
ラムが普通に答えたが、
「それは、殴り飛ばしておかないといけないわねー。ラムちゃん、また無理したのでしょう?今、ケーキあるから食べましょう」
「「ケーキ!」」
ラムとムスの言葉が重なった。
「食べながら詳しい話を聞くことにする」
ペディロがため息を吐く。
「コーグもー!」
「あ。ケーキは俺が出すよ。紅茶はラム?いや、父さんが出す?」
「私がだそう。ユリア、ラムさんと待っていてくれ」
「ラムちゃん、待ってましょう」
「コーグ、ラムの膝の上ー!」
コーグはラムの膝の上に座る。
「コーグ、膝の上に座っているよ」
「あら。コーグ、珍しいわねー。ラムちゃん、安静にしなきゃだから動いちゃだめよ?ゆっくりしてね」
(ユリアさん、目が笑ってないから怖い)
「はい」
ラムは大人しく頷く。
「お待たせー」
「紅茶だ」
ムスとペディロが戻ってきてテーブルにケーキと紅茶を並べていく。
「さて、ムス、要約して話を。ラムさんにも聞く」
席についたペディロとムス。これから、長い話が始まるのだった。




