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生贄聖女とお人好し魔技師  作者: 綴螺
お迎えの時間
91/114

結界4

「アルマが」


(魔法の発動気配はした。けど、詠唱はなし。《空間魔法》(テレポート)は詠唱なしは不安定。でも、できる者は)


「大丈夫だから。ああ見えて強いでしょう?彼女。拳闘士は怖いほど速いし、狙いは俺とラムみたいだから」


 ムスに言われて、ラムはムスをみる。


(魔技師と私。私は狙われるのは聖女だから。ムスは守護者と間違われていたけど、魔技師として修復は速いし、素晴らしいから?ムスは完全に巻き込まれてしまった。申し訳ない)


「俺としては結界が壊れた方が不思議だよ」


 ヴァーゴがいた剣は粉々に砕けてしまった。

 結果はヴァーゴは無事だが、結界は砕けてしまったのだ。


「そろそろ、寿命。ムスというの?私、ヴァーゴ、助かった。ありがとう」


 ラムの腹部にいる星霊であるヴァーゴが笑いながらムスの掌に乗り、頭を下げる。


「寿命?」


「うん。そろそろ、剣は寿命。だから、壊れても仕方ない。結界は時間稼ぎ。アルテマヴィーナを倒せるようになるためのもの。私達、星霊はたまたまできた存在だから、消えても仕方ない。でも、魔技師を連れてきてくれたから。移せる仔を連れてきた。なら、ヴァーゴはもう少し頑張れる」


「たまたま?」


「そう。とても世界を愛した者が封印の結界を作り、聖女が祈り、守護者が生まれ、封印の要の王都ができた。星霊は封印の結界を作った者が入れた生命体。守護者と対となるもの。結界を護るもの。結界がなくなれば消えるだけ。だけど、繋ぎ止めをした魔技師がそこにいる。これをしたら消えない。何でわかったの?」


「え。いや、だって、嫌だから。可愛いし、消える理由ないでしょ?」


「ーー可愛い?」


「可愛い。消えるの駄目」


 ラムが脇から頷く。


「そうなの?なら、もう少しいる。代わりの剣ができるまで、魔力球にいるよ」


「寿命」


「コーグ、結界分析完了。確かに魔法の寿命確認。他の結界も消滅予定。壊れないの王都だけ」


 ムスの頭の上で耳をピコピコ動かす。


「ええ!?じゃあ、アルテマヴィーナ復活するの!?」


 ムスは目を丸くする。


「まだ、復活には足りないけどねー。王都の聖剣が頑張るから、まだ猶予あるよ。でも、戦える人は集めた方がいいねー」


 コーグはムスの頭の上を転がる。


(結界が壊れる。一大事。決戦を挑む必要がある。後は、これで終わらせましょう)


 ラムが頷く。


「ヴァーゴ、結界が壊れるのは」


「寿命。守護者は役目おしまい。ヴァーゴ、何処にでもいけるよ?いいよ、私はここにいるか、聖女についていくか、そこのムスについていく」


「いや、王都に報告しよう。もうすぐ、全ての結界が壊れ、アルテマヴィーナが復活することを。ヴァーゴ、一緒にいこう」


 ヴァーゴは星霊ヴァーゴと一緒に王都にいることをきめた。


「ヴァーゴがいいなら一緒」


 魔力球に入り、ヴァーゴはおとなしくなった。


「ラム様はお休みください。アルマ様のことは私の実力不足。どうか、責めにならず」


 アーマラが側にきて礼をする。


「ムス、さっきの技は?何で切れるようになった?」


 アステラも戻ってくる。


「そう。ムス、何を使ったの?」


「それは俺も気になる。あれは?」


「呪を〈還れ〉と返して、実体を強制的に連れてきた?貫通させたに近いかな。特殊な魔法を使っていたというか、うーん。強制的に形にして攻撃したに近いかなー。とにかく、そんな感じ」


(意味不明な説明)


「ムスは視えるからねー。よくない思念体みたいなのを固定化した。呪い返しだよ。だから、魔技師いなかったら危なかった。ラムがいたから、護れたけどラムがいなかったら大変だったよ。とりあえず、ラムは安静!ムスは星夜祭ある!ラムはムスの家。他はジール王子にいって。ラムはコーグのお気に入り!」


 コーグはラムの頭の上に飛び乗る。


「アーマラ、アステラは王都に。私はムスの家にいく。ユリアとペディロがいるし、強いし、ゆっくりしてるよ。ムスと一緒にいた方が敵にあっても安全そうだから。後は聖剣をお願い。ギース兄によろしく」


「そういう段取りでいいのか?」


 ヴァーゴが確認するようにいう。


「ラム様がいうなら。ムス殿、よろしく頼みます」


「私も聖剣を守護し先手を打った方がいいだろう。怪我を治した方がいい」


 アーマラはムスに頭を下げ、アステラは頷く。


「じゃあ、それぞれ」


 ラムがいい終える前


「聖女様、私が飛ばします。王都アステラティーア王国に」


 星霊ヴァーゴがいい終えると全員の姿が透明になり、その場から消えた。

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