結界3
「《聖の魔法》(リカバリー)」
ラムは傷口に回復魔法をかけ、立ち上がる。
白いローブが血で赤黒く染まっていた。
「ラム、動くなよ」
ムスはタオルで傷口を縛る。
「止血したから、大丈夫。動ける」
「俺、抱えるから!動かない!!絶対に駄目!」
ムスの服もラムの血で赤黒く染まっていた。
ムスは必死だった。ラムを離さないように、抱え込む。
(そんなに必死にならなくてもいいのに。血は流れたけど、まだ戦える。あれは、何。急に魔力が出現したから、慌てて突き飛ばしたけど)
ラムは佇んでいる黒いローブの人型を見ていた。
「やっと、見つけましたからね、本物の聖女を。貰って」
「お喋りね」
アルマは低い声を出して、腹を蹴り飛ばした。
黒いローブを着た者を突き飛ばした。
その場所にアーマラとアステラがいたため、2人で黒いローブを切る。
しかし、全く手応えもなく、傷もつかず空を切った。
「これはー」
「魔法の可能性が高いか」
アステラとアーマラは構えたまま、ラムの方へ移動。
「《闇の魔法》(拘束)」
影から手が伸びてくる。
「ーー全員!?」
ムスが驚く。
「《光の魔法》(異常回復)」
ラムが簡単に全員分拘束解除の魔法で《闇の魔法》(拘束)を打ち消す。
「まだ、動けるか。狙いはいるからいいが」
「ーーヴァーゴ。《聖の魔法》(身代わり)」
ムスが魔針を動かして人型の模様を描く。
「ーー守護者か」
「ーー!貫通は流石に」
ムスは身代わりが機能していないことに気づく。
魔法師が《聖の魔法》(身代わり)を貫通する攻撃に切り替えたのだ。
魔力球に徐々にひびが入る。
「ヴァーゴ、おいで」
ラムがヴァーゴの名前を呼ぶと、魔力球から小さな子供が出て、ラムの腹部に乗った。
「聖女様!」
「護れ、大切なものを。守れ、大事なものを。一片足りとも侵入を許さぬ、城を《守護の魔法》(シールドハート)」
ラムが唱えると髪に淡い黄色い光が溢れる。
大量の魔力を消費した証。
光が星霊ヴァーゴの周囲に集まり、透明な城の形が出来上がる。
「《守護の魔法》(シールドハート)は魔力消費により威力の増減が認められてるけど、、これ、は」
ムスが魔法の完成度を見ていた。
「駄目だよ、こんな可愛い子に酷いことをしては駄目」
ヴァーゴが目を丸くして息を呑む。
「ーー本物はそっちか」
「この!」
ムスが銃を取り出し、弾を入れ替えて撃つ。
「ん?」
「〈還れ〉」
ムスが一言告げる。
「ーーー!?」
「今なら物理攻撃で倒せるから、お願い、皆」
「貴様、名は」
「ーー合わせるぞ」
アーマラとアステラは合わせて槍、騎士剣を振るう。
「ーー代わりに」
(魔法の気配!?)
「ーー回避は不可か」
アルマの身体が透ける。
「アルマ!」
ラムが手を伸ばす。
「ラム、動いたら駄目!!傷、駄目だから」
ムスがラムを押さえ込む。
「代わりだ。そこの武器を持ったやつと、聖女は一緒にこい。聖なる夜が終わりの日に荒野で待っている。交換だ」
黒いローブの者は切られて消えた。しかし、アルマも一緒に消えた。結界はーー
バリン
凄まじいガラスの音と共に壊れた。




