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生贄聖女とお人好し魔技師  作者: 綴螺
一章 捜索
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脱走計画2


 木々たちに木漏れ日が辺り、背の低い薔薇や黄色いフリージアが花を咲かせる。

 水が流れる小道に、石畳の通路は涼しげに続いていて、真ん中の少しだけなだらかな丘になっている場所に白いパラソルとテーブルに机が置かれていた。


「ラム様、どうぞ」


 後ろに三人のメイドがついており、それぞれ、紅茶をいれ、お菓子を用意し、ひざ掛けをかけてくれる。


「ありがとう。少し、ゆっくりしているから、後ろに下がってて」


「かしこまりました」


 シエルだけは他に仕事があるため、側を離れる。三人はテラスの入口で待機する形でラムを待つことにした。


「ふぅ。今日は雨は降ってない、と。視界も良好」


 焼き菓子を口に放り込んで紅茶を一口飲む。

 ゆっくりと息を吐く。


「探せ、探せ。大事なもの。とてもとても大切なもの。世界の何処にいてもわかりたいの。探せーー《感覚の魔法》(サーチ)」


 ザワッ


 大きな木々がゆれうごき、花の花弁が舞う。

 ラムの身体から淡い白い光が漂う。

 それは、たくさんの魔力が消費された時に起きる現象だった。




ーーーこれはーー


 ラムの意識は現実にはなかった。眼を明けると、先程までいた屋敷のテラスではなく、痩せた土地の上を飛行している感覚。

 

 身体は透けていて、意識だけ浮遊している感じ。

 耳に聴こえるのは蹄の音。見えるは馬車。野党に追われているらしい。駆け足だ。

 

ーーー情景が切り替わるーーー


 今度は違う馬車。王都に入国する大量の家紋が入っている貴族の馬車。


ーーー次はーーー


 水辺で休んでいる馬車。商人の団体がいることから、商業用だとわかる。


(多すぎる、、か)


 指定を馬車にしたのだが、多すぎてどれかわからない。外に出た方がやりやすいと思ったが、何時間しても絞り込めそうにない。


(あの時、特徴だけでも、見ていれば、、)


 ラムは魔法の力を弱めて、眼を明ける。




ーーーざわざわーーー


 淡い白い光がきえる。

 木々達が小さく揺れるて、花弁が地面に落ちる。

 美味しそうな焼き菓子と紅茶。

 屋敷のテラスだった。


「はぁ、、。収穫なし。まずは王都の方角にいって、周辺の情報収集かな。脅すなら人が多い場所か僻地だろうし」


(アルマ、無事でいてね)


 残った紅茶と焼き菓子を食べながら、ゆっくりと時間が流れていく。

 メイドが部屋に戻ると呼びかけられるまで、ラムはお菓子を食べながらこれからどう動くかをシュミレーションしていた。



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