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生贄聖女とお人好し魔技師  作者: 綴螺
一章 捜索
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閑話 ダース2

ーーーーーー数時間後ーーーーーー



「な!?」


 ダースはいつも通り執務室で仕事をしていた。

 すると、空から強い魔力を感じた。異常なまでに多くこちらに向かっているのがわかった。


「モンスターだと危険だ。サラマンダー」


 ダースは肩で寝ているサラマンダーを起こす。

 

「ん?何かあったか?」


 サラマンダーは目を擦りながら返事をした。


「ああ。魔力の塊がいるから着いてきてくれ。モンスターなら燃やす」


「わかった」


 ダースはサラマンダーを伴い執務室から玄関へとむかう。


「侯爵様!」


 若い執事のレオナルドがダースを見つけて、慌てて礼をして報告する。


「ラムお嬢様がお帰りになりました!」


 お客様に対応しているのは執事長のレオン。


 玄関前に人が4人。

 1人は黒い魔力の塊。珍しい黒い目に金髪。格好は半袖のシャツにズボンの格好。腰に珍しい銃のホルスター、ショルダーバッグを肩にかけている。

頭上に闇の精霊である蝙蝠のような姿をしたデネブラが頭の上に乗っかている。精霊としては大きい。先ほどの魔力の塊の正体で間違いない。

 もう1人は金髪に黄色の瞳。軽鎧をしており出で立ちは騎士のようで、帯剣している。

 もう1人は艶のある深緑の髪に、隻眼。肌は白く美しく、立ち振る舞いが上品で品がある。着ているフードも上質な絹でできており、下に隠されたドレスも品がいい。そして、顔立ちに見覚えがある。エレキフォース王国、クローディア皇女で間違いない。

 もう1人は輝く金髪に、アイスブルーの瞳。可愛らしい白いワンピース。顔は間違えるはずもない、ラムだ。


「ラム、無事か!?」


「ダース兄。そんな、慌てなくても」


「何を言う!居なくなってから心配したんだ。任せろと言っただろう!傷が治る前に出ていく奴がいるか!傷は!?跡は残ってないか!?大事ないか!?痩せたり、襲われたりしなかっただろうな。危険なこともしてないだろうな?」


 ラムを抱えて、くるくると回し怪我がないか探す。


(よし、怪我もしてない。戻ってきたら安心だ。護衛を増やせるし、安全だ)


「大丈夫だから。危険なことはしてないよ。降ろして」


「ーー問題なさそうだな」

 

 ダースがラムを地面に降ろす。

 

(クローディア皇女はいい、騎士はクローディア皇女つきだろう。問題はあの男性か)


「あー!サラマンダーだー!」


「わっ!コーグ、大人しく。まずは挨拶してから」


(コーグ?精霊の名前か?)


 コーグがダースの肩に乗っているサラマンダーを見つけて側に寄ろうとしたのを、慌てて男性が捕まえて腕の中に閉じ込める。


「ぶー!こんにちはー!コーグだよー!」


「ぶー!じゃないの。えーと」


 男性はダース侯爵と視線がバッチリ会ってしまい、固まる。


「ラム、この人は何だ?」


(危険な奴や変な虫なら処分しなければ)


 若干、目を細めてから笑顔を作り、ラムに聞く。


「ムスだよ。助けて貰ったの。精霊も見えるし、腕の中にいるコーグはとても賢いの。腕の良い職人だよ」


「職人?何の?」


 さらに胡乱げな視線を投げる。

 ムスと言われた男性は震えていた。


(わかりやすい。普通の魔力が高いだけ、か?精霊もじゃれついているみたいだ)


「侯爵様に後で教えます。ここは耳がありすぎるので」


 ムスはキョロキョロと見回していた。


「ーーふむ。危害を加える者ではないのだな?」


「し、しません!まだ、長生きしたいです!」


 ムスが必死に訴える。  


(ラムに聞いたのだが)


「む。ムスに攻撃したらコーグ怒るよ!ボーンする!!」


 コーグがキリッとした表情でダースを睨む。


(どうやら、ムスについている精霊のようだ。怒っているみたいだ)


「うわーーー!!余計なこと言わないで、コーグ!!ありがたいけど、やらないで!駄目だからな!絶対に駄目!仕事ができなくなる!」


 ムスはぎゅうっとコーグをだきしめる。

 さらに震えている。


「精霊と仲がいいな。その黒いモヤは全て魔力か。制御下手でこれほど濃い色を垂れ流しているとは珍しい。後で詳しい話は聞かせてもらう。ラム、先に後ろの2人から話を聞いた方がいいな?」


(明らかに悪いやつではなさそうだ。面白そうだ)


「時間あるの?」


 ラムが首をかしげる。


「作らなければならないだろう。エレキフォース王国、クローディア皇女、何用で我がバース領に来られましたか?」


 クローディア皇女は僅かに驚いてから、直ぐに表情を引き締める。


「国を護るためです」


「詳しい話は中で聞こう。騎士も同伴で構わない。レオン、紙の用意を。ムスと言ったな。こちらを聞いたら執事を向かわせる。後できなさい。ラムは最後だ」


「は、はい」


「私は庭でお茶してるから」


「サラマンダー、あーそーぼー!」


 コーグが逃げ出して、ムスの頭の上に乗って、飛び跳ねる。


「遠慮しておく」


 サラマンダーはダースの肩に乗ったまま返事をする。

 そうして、ダース、サラマンダー、アステラ、クローディアとムス、ラム、コーグは別れたのだった。


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