解読
「依頼された設計図だ。解読は?」
ジール王子が懐からA3サイズの用紙を出す。
「はい。私がやります。5分待ってください」
ムスが手を上げる。
ジール王子はそのままA3サイズの設計図をムスに渡す。
ムスは受け取って設計図を広げて、ポケットからメモ紙と万年筆をだし、設計図とにらめっこしながら、メモ紙に文字を書いていく。
ラムは脇から設計図を除く。
(指輪だ。大きなエメラルドの婚約指輪。裏側に月光草の装飾、他に薔薇等の花に、魔技師用の呪文か何かかな?魔法の陣とわからない模様が何種類かある。細かい。15個ほどわからない模様があるし、石に何個も注意書きが。魔力大、綺麗、好み、風?)
「んーーー、ラーさん、やっぱり細かいな。王子様の方よりたくさんつけてる」
「そうなの?」
「うん。攻撃魔法と身体強化入ってるから、完全に戦闘用かな、これ。防御もあるけど、回復魔法入れてるから、わざとだね。戦闘できるから、補助魔法ばかりついてる。一般的にこんなカスタマイズしないよ」
「え」
ラムがギースとダースを見ると、ダースは無表情。ギースは笑いを堪えている。
「ムス、お前に婚約指輪は見せてないだろう」
ジールは訝しげに顔をしかめる。
「今、着けてるでしょう。実物見れば何がかけられてるかわかるよ。ここから、見える。さっき、コーグと話している間に解析した」
「ーーそうか」
「それは魔技師は魔工品の解析は遠隔でできるということか?」
ギースは疑問を口にする。
「高レベルなら。最悪、敵になったら、魔工品を砕かないと攻撃が通らない。砕き方は解析しないとわからないから、速さに差はあるだろうけど、皆できる。砕けない魔工品は魔技師は造らないよ。最も、他人の魔工品を砕くのは時間がかかるけど」
(入ってから5分、か。ムス、職人にしては速すぎるような、、)
ラムはフェニックスが言っていた事を思い出す。
視える、聴こえる。感覚でわかる。これは、そういうこと、、?
「かけられてるのはこれで全部、、。この中だと、身体強化魔法が1番珍しいから、これを軸にして探索すればいいかな。追跡魔法もあるし、2つを主軸にすれば、絞れる」
「探せるの!?」
「魔法無効結界が張られている場所にいなければ。珍しいし、こんな魔工品ないと思うし。ラーさんが作るのは王室関係品がほとんどだから、一般的に出回らないから。魔法無効結界は封印されてる12箇所だと思ったけど、減ってますか?」
「8箇所だ。4箇所はない」
ジール王子が答える。
(1箇所はかけられてない、1つは盗まれ、1つは破壊され、1つは砕けたから、合ってる。まだ、英雄伝説の結界は生きてる)
英雄伝説とはアステラティーア王国建国の物語。中身はアルテマヴィーナという強力なモンスターを12人の英雄が封印し、とけないよう強固な12個の結界を創った。二度と復活させないために、アステラティーア王国を建国し、結界を守る職業を守護者として配置。世界を平和にしたとされている。(しかし、この物語に出てくる12箇所の結界は3つは完全に破壊され、残るは9つ。完全に破壊された場合はアルテマヴィーナが蘇ると言われている。
教会所属の聖女と聖獣もこの封印に関係していて、復活には聖女の生贄が必要とされている。だから、聖女の適性があるのは保護される決まりがある。最も、必要な生贄は1人だけだと知っているのは何人いるかーー)
「ラム?具合悪い?」
心配そうにムスが隣を覗き込む。
「え?」
(しまった。魔法無効結界という言葉で英雄伝説を思い出して考えに沈み込んでしまった)
「返事ないから。具合悪いなら時間かかるけど、1人でやるよ?」
「ううん、考え事してただけ。大丈夫だよ」
「そう?無理しないでね。探索魔法の指定は物体、指輪。補助魔法は速度と力、絞り込みで上級回復魔法。これで2桁台まで落ちると思うから、後は魔技師の判別使う。範囲はアステラティーア王国全体で。魔力は俺の使って」
「わかった。今からしても大丈夫?」
「大丈夫!」
「2人共待て」
「?どうしましたか、侯爵様」
「問題ありますか?」
ムスとラムが首を傾げる。
「何かあると危険だ。レオン、部屋を移す。2階の広場へ。コーグだけでなく、サラマンダー、ノームもいたはずだ。協力を仰ぐから、待機。ジール王子はどちらにいかれますか?」
ダースが指示を飛ばす。
「クローディア皇女は出発したか?」
「シルフのやる気があり過ぎて、本人が朝早く寝ている間に飛ばされたと報告が入っている。今頃は王宮にいるだろう。手紙は持たせたから大丈夫なはずだ。こちらには置き手紙があった」
(朝食の時に知らされたけど、シルフ、よっぽどやる気増々だったのだろう、、。アルマがいないから、シルフは情報収集に出ている。アルマに何かあったら、八つ裂きだと息巻いていたなぁ、、)
「そうか。なら、同席させてもらう。コーグ、トニトも連れてきているから、後で遊ぶといい」
「わかった」
「わーい!!トニト!!遊ぼう!!」
「時間がありそうだから、いいぞ。まずは、用事が終わったらだ」
ジール王子の肩の上に姿を現して、コーグと話した後にまた姿を消した。
「用事、早く終わらせよう、ムス!」
「よかったなぁー、コーグ。よし、いこう」
「案内する。ついてきなさい」
ダースが先頭を行き、ムスを次に、ラムも後に続く。ジール、ギース、レオンと後にする。




