魔技師
「ムス、アルマを見つけられるって本当なの!?」
ラムが勢いよく扉を開ける。
中にはムスの頭の上に乗ったコーグとムスとダースがいた。
ラムはムスの隣まで来て、逃げれないようにムスの腕を掴む。
「わ!!う、うん」
目を丸くして、ラムの言葉に頷く。
「どうやって!?」
「えーと、説明するから。座ったら?レオンさんもきたみたいだから」
レオンがムスの隣に席を用意し、お嬢様、どうぞと促す。
「わかった。で?」
ラムは大人しく椅子に座り、すぐにムスに向き直る。
「ラム、腕、痛い痛い。握りしめすぎだから」
「む。はい。で?」
ラムはムスの腕を離して続きを促す。
(はやく聞きたい)
「他言無用ね。魔技師は、魔工品に追跡をかける人が中にいる。俺みたいに人同士の争いで使うなら遠隔で魔工品を使用不可の状態にする用途で使う者と魔工品が機能し使用者を護ったと製作者に知らせる目的でつける者。後者はかなり多いから、おそらく製作者に問えば番号はわかる。何回も使える魔工品の場合、もう一度魔力補充すれば使えるため、図面を注文者に渡すのが普通。魔力補充はやり方がある。代々魔工品を受け継ぐなら設計図がないと後々、困るからね。だから、図面さえあれば魔力補充のやり方が魔技師にわかるから、魔力の波長分析できて持ち主が何処にいるかわかる仕組み」
(魔技師は魔工品に自分にわかるように細工してるのか。まあ、こちらが注文するから、自分のためにつけるのは簡単だろう。まずは図面がないと話にならない。後は波長分析がいるのか)
「ムスは図面さえあればわかるの?」
「俺は実物でもわかる。模様みればおおよそ何を込めてるかわかるから。特殊な封印みたいなのや、呪系は解読に困るけど、父親にきけば大体はわかるし、危険か危険じゃないかはコーグもいるから大丈夫。だから、4つのどれでもいいけど、設計図がみたい」
「ということだ、ラム。ムスに設計図を見せることにした。今、アルマは守護系で何回も使えるのは一つ持っている。設計図があるのは間違いない。しかし、何処にあるかわからない。ラム、アルマが持っていると思うか?」
「えーと、魔工品で何回も使えるのは、贈り物だったよね?」
「ああ。流石に装飾品までチェックはしていないし、装飾品にデザインがあるのは知っているが、追跡魔法の仕込みの図面は見たことない」
「設計図は魔技師に最初に言わないと見せませんから。最低限の人数だけに見せます。そもそも、お客様に出す設計図は追跡魔法はないように書きますね。追跡魔法は内部仕込みでいいでいいですし、必要な人だけ知っていればいいですから」
「その話だとアルマが持ってるのは駄目そうだけど」
「いや、持ち主本人なら持っててもおかしくない。他に間違いなく持っているのは製作者かな。でも、贈り物ならジール王子様からでしょう?王室のお抱え魔技師長のラーさんはこの間、亡くなったばかりで書類整理なってないと思うから、何処にあるかわからないかもしれない。息子さんいるから、ひっそり渡してるかもしれないけど」
「ムス、亡くなったの知ってるの?」
(混乱招かないために、あまり亡くなったことは公開されてないはずだけど。何処から情報を仕入れたのだろう。ペディロさんは王宮の重鎮だったみたいだし、割とムスも謎ではある)
「うん。教えてもらった」
「それは、王家と親族、一部の者しか伝えられてない」
ダースが冷静にムスに伝える。
「え」
ムスが固まった。
「コーグ、大人しいね、ひま?そうそう、話の内容からコーグも知ってる人?」
「難しい話をしてるから、大人しくしてるー。知ってるよー」
「教えてー」
ラムがコーグを手招きして呼び寄せる。
コーグはラムの手招きに気づいてラムの太腿の上に座る。
(コーグ教えてくれないかな。後はもふもふしたい)
すると、ラムはコーグを撫で始める。
「コーグは賢いねー。我慢もできる、いいこ、いいこ」
「わーい!コーグ教えていい?ムス」
にこにことラムの膝に座って撫でられている。
「わっ!コーグ、自分で言うから待って!」
「そう?なら、ラムのところの上にいるー」
「ふわふわ手触り。癒し。で、ムスは誰から聞いたの?」
ラムはしっかり撫で回して癒やされつつ、コーグを可愛がっていた。
「コーグは癒しを提供してます!ムス、ラムに言っても大丈夫だよー。他はどうせ知られるだろうから」
コーグはムスに促す。
「コーグ、ラムに甘いんだから。あー、結婚指輪頼まれたから、その、ジール王子から聞きました」
「ーーーほう。別の人に頼んだとは聞いていたが」
ダースの目が鋭くなった。
「う、、。ラーさんかおかかえ達に頼めと言いましたが、駄目で回ってきただけですが」
「ーーじゃあ、あの注文はムスだったの。水の玉と風の玉が欲しいって」
「え゛、ええー!?じゃあ、送ったのラムだったの!?」
「妹の指輪だもの。他の魔法師に頼むはずないでしょう?ありったけ魔法込めたもの。私、魔法師1級だし、守護魔法は随一と言われてるよ」
ムスは固まった。
「ラム、すごく強い?」
コーグが頭を傾げる。
「魔法たくさん使えて、上手な証を持ってるだけだけどね」
「ラム、強いのわかった。ムスは制御下手で危険」
「どうせ、魔工品作製と魔力の塊を当てるのと、魔法は陣しか使えないし魔力は制御できませんよー」
(まあ、ムスは本当に制御下手だから、魔力入れるのは得意でも狙った魔法の威力を玉にいれるのは無理そう)
「設計図か。ジール王子を呼び出すか。ラムも心当たりないのだろう?」
「ない。呼び出して探させた設計図を解読で解決するから賛成」
「決まりだな。呼び出して持ってきて貰おう。ムスは暫く滞在してもらう。不自由はさせない」
「え?本当に呼び出すのですか?」
「ああ。見つからないのはこちらも悪いが、そもそもアルマが戻って来ないのは、派閥争いの関係性が高い。もう少し宥めてもらわなければ困る。ジールがしっかりしなければならない」
「侯爵様つよ、、。滞在させてくれるならいますが、あの、父に早急に手紙を出したいです。すっかり忘れてまして、、。問題を起こす前にその、、出さないと暴走するので、、。闇魔法全開で焦土にされても困るので」
「ペディロさん、そんなことしないでしょう?」
(冷静だし、そんな被害を出すように見えない)
「いや!ラム、甘いよ!俺が予定日より3日遅くなった時、周辺モンスターが全部いなくなってた!!探し回ってて、オーガ掴んで投げて、群れを殲滅してて!!やばいから!!町で暴れたらやばいって!!攫われたら火炙りだって言ってたから」
ムスは奮え始める。
「ペディロならするかもねー」
コーグが頷く。
(しちゃうの?ペディロさん、冷静に見えるのに)
「ラム、送ってやれ。便箋を」
「はい」
「かしこまりました」
「助かります」
「後はいってよし。部屋は用意させて案内させる。不自由があれば、部屋の者に言いつけてくれ」
「あ、は、はい」
ムスが頷いて、部屋を後にする。
「兄さん、設計図はアルマに伝えた方がいいかな?」
「戻ってきたら、だ。魔技師は特別な職業とは聞いていたが、ここまでだったとは。秘密にする訳だ。利用する奴は利用するだろう。だから、管理が必要だということか」
「アルマが帰ってきたら伝えるね。コーグ、行こうねー。兄さん、夕飯でね」
ラムがコーグを抱えて部屋を後にした。




