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生贄聖女とお人好し魔技師  作者: 綴螺
一章 捜索
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ラムとダース

「止める間もなく出ていったな、、。随分と元気な精霊だ」


 ダースはコーグがすぐに居なくなったのをみて、呟く。


「コーグ、元気で可愛いから。私も行くよ。ムスの顔に張り付いているかもしれないから」


(作業中だったら、容赦なしに張り付いてそう)


「私もお供します。迷子になられたら大変です。ご案内しなければ」


 レオンはラムについて庭に行くつもりらしい。


「行きましょう。ダース兄、夕飯にね」


「ああ」


 ラムが部屋を出るとレオンも後ろからついていく。




 ラムが庭について、コーグを見ると、大きな声が聞こえた。


「ムスー!侯爵様が呼んでるよー」


 コーグがムスの頭の上でボヨンボヨンと跳ねている。


「あ、あと、もう少し!!」


 ムスはコーグに邪魔されているにも関わらず器用に刺繍している。


「ブーブー!3分経ちましたー!」


「うっ!わ、わかったから、ボヨンボヨンしないで!しかも、目の前!」


 コーグの身体が伸びて、ムスの顔を覗き込む。

 刺繍糸と針が見えないように覗き込み、ボヨンボヨンと跳ねて振動を与えるという器用なことをしていた。


「うう、もう少しなのにー」


 ムスは諦めて刺繍糸と針を刺していた布を押さえている刺繍枠ごと机に置く。


「ムス、兄は気が短いよ?」


(まあ、時間がないだけなのだけど)


「え゛」


 ムスが固まる。


「作品持っていけば大丈夫だろうけどね。どれ、、わっ」


 ラムがムスの刺繍を見ると綺麗に刺繍されたフェニックスの身体がキラキラと七色に輝いていた。


「綺麗、、」 


(フェニックスの身体が輝いてる!)


 ラムが目を輝かせて作品に魅入っている。


「あー!まだ、完成してないから駄目!見ちゃだめ!瞳は刺してないし、コーグはいないし、もう少し動きが欲しいから黄色とオレンジ上からさして、青色を隠しながら胴体に厚みをもたせて、足りなかったら緑や紫も足さなきゃだし、フェニックスのオッケー貰ってないから!」


「まだ、未完成?」


 ラムはそっと刺繍枠を反対にして作品を置く。


「そう!まだ、納得できるものではありません。まだ、刺したりません。半端はだめ」


「そうなの、、。完成じゃないの。完成するまで家にいる?」


「ラムの聖獣だよね?なら、完成まで滞在許可貰えるなら、いるけど」  


(ムスは暫くいてくれるつもりみたい。お礼もしたいし、フェニックスも嬉しそうだった)


「レオン」


「お嬢様のお客様としてですね、侯爵様に許可を貰いましょう。伝えておきます」


「お願い」


「コーグも!コーグもいてもいい?」


「コーグは許可いらないから、大丈夫。むしろ、私の家は精霊だらけだよ。明日になったら、ルミニスもトニトもウィンディーネもシルフもノームもグラキもたくさんくるよ。デネブラだっている。山のような精霊が押し寄せたりしなかったりだから、大丈夫だよ。精霊は出入り自由で、好きにきて好きに遊んでいいの。壊したら報告しなきゃ駄目だけどね」


「わーー!みんな、たくさんいるの!?ムス、明日、遊んでいい!?」


「いいよ。いっぱいいるなら、楽しいだろうし。俺も作業してるから。遠くに行くときだけ言って。心配するから」


「うん!言う!やったー!」


 コーグはムスの頭の上でぴょんぴょん跳ねる。


「ムス様、侯爵様がお待ちですので」


「はい。すいません、コーグいくよ」


「うん!」


 コーグはムスの頭の上に大人しく座り、ムスはレオンに連れられて庭を後にした。

 庭にはフェニックスとラムだけになった。


「主」


「フェニ」


 ラムがフェニックスの側による。

 伝説の火の鳥、生命の鳥と呼ばれるフェニックスは攻撃より守り向きの聖獣。人を傷つける指示はしたことはないし、私を守る聖獣なので、当然なのだが。


「あの青年のような者は久しぶりにみた」


「ムスのこと?」


「ああ、古の精霊付きで全てを視て聴こえる技術者。中々おらぬ者だから主、縁を大事に。あの者、強い」


(珍しい。フェニが大事にした方がいいと言うのは。全てを視て聴こえるとは何だろう)


「精霊が視える聴こえること?」


「精霊もだ。あの者は聖獣も視えるし、聴こえるだろう。姿を現そうとしない者も視える。魔法や呪いも簡単に視える。聴こえるは物の悲鳴がわかる。どれぐらいで何が壊れるか、結界や魔法の悲鳴もわかるだろう。そういう能力を持っている。全てわかるから強いのだ。しかも、善良で魔力も多い。困ったことがあれば、聞くといい。感覚でわかる者だ」


「感覚で。〈見破り〉のことかな、、。ムスは強いと思うけど」


(襲われたゴロツキの大群みて普通にしてるし、ワイバーンも初めてにしては普通だったから、戦闘は慣れているのはわかる。視えるよーとも言ってた)


「技能もしっかりあるなら、尚いい。主、護衛が欲しいなら勧める。おそらく、ムスはぴったりだ。傍を離れる必要なく敵を叩ける」


「お店あるから無理だよ。ギルドなら雇えばいいけど、ムスは違うから」

 

(フェニはムスが気に入ったみたい)


「ふむ。無理なのか。主を持ち運ぶことのできる異性は珍しいから逃す手はないと思ったが」


「ーー女性でも運べるから、大丈夫」


(兄達もどうしても1人男性を私の護衛につけたがるのだけど、体質的に無理なのに。ムスの例外はびっくりしたけど)


「精霊が視えるのは貴重だろう。まあ、主が遠慮するなら仕方ないが」


「お嬢様、こちらでしたか」


「?レオン、どうしたの?」


(なんか、慌ててるみたい)


 ラムがレオンの方を振り返る。


「ムス様が素晴らしい提案をしてくださったので、来てくださいますか?何でもアルマ様の場所がわかるそうです」


「え!?直ぐにいく!フェニ、ちょっと戻って!」


「わかりました」


 フェニックスはラムの指示通りに姿が空に溶けていなくなった。

 ラムは庭を走り出す。


「お嬢様、走るのはお行儀よくありません。ムス様は逃げませんから」


「いいの!急ぐ!」


 ラムは廊下を駆けていく。後ろからレオンは早足でラムについていくのだった。

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