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生贄聖女とお人好し魔技師  作者: 綴螺
一章 捜索
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庭にて

 ムスはスケッチが終わり、刺繍糸を吟味。色糸を悩みながら選び、嬉しそうに糸を針に通す。


「上質な糸!綺麗な色になりそうー!」


 まずはベースになる赤や黄色を大まかに刺していく。


「ムス、楽しそうだね」


(刺すの速い)


 ラムはムスの手元の糸がなくなるのを見ていた。

 色糸も次々と変わっているのをみている。


「作ってる時が1番楽しそうだよー。婚約指輪や結婚指輪の装飾を頼まれた時は入れ物まで凝るから、密かに回ってくる時があるのー。早目に頼んで刺繍や彫りだけする時あるもん」


「一生物の品を?」


「うん。受けすぎると品物が間に合わなくて駄目だから、かなり時間もらって1ヶ月に1個だけ作るみたい。暇な時は入れ物に刺繍して買い取って貰ってるよー。人気らしく何回も定員さんくるけど、あまり作れないから、断ってるねー。でも、暇あると作るから定員さんよく来るよー」


「そうなの?」


「うん。だから、ムスはほぼ作ってるー。暇な時はコーグと遊んでくれるから、大好きー。ちゃんと遊ぶ時間とってくれるの!」

 

(コーグはとても大切にされているらしい)


「失礼します、ラムお嬢様」


 年老いた執事のレオンが礼をしてラムに声をかける。


「レオン、兄から呼ばれた?」


「はい。ムス様をお呼びに来たのですが、、作業中ですか」


 レオンが視線をムスにやると、フェニックスをみながら刺繍しているのを確認し、苦笑する。


「ムス?ムス呼ぶ?ボヨンボヨン跳ねて顔に貼り付けば気づくよ?」


(さっきの混乱したムスを正気に戻した方法と近いような気がする。痛そう)


「大丈夫。コーグ、ムスが可哀想だから、いい。私が先でも問題ないよね?」


「大丈夫でしょう。お嬢様、ご案内します」


「そう?ここ、フェニックスいるから、コーグついてく!終わったらムスを呼ぶ!」


「フェニ、お兄様のところ行ってくるからその間にムスをお願い。コーグも連れてく」


「わかった」


 フェニックスは頷いて大人しくムスの刺繍を眺めている。 

 ムスは刺繍に夢中で気づいていない。


「コーグもついてくー」


 コーグはラムの手の辺りに着地する。

 ラムはコーグを両手で抱えるように持つ。


「ふわふわ」


(可愛いし、ふわふわで大人しくて人懐っこいコーグは本当に可愛い)


 ラムはコーグを撫で回して嬉しそうに感触を楽しんでいる。


「精霊様もご一緒で?」


「ええ。レオン、名前はコーグ。闇精霊だよ」


「レオンは見えない?」


「見えないし聞こえないけどばっちり扱い上手いよ」


「ご案内しますね、コーグ様、ラムお嬢様」


「悲しみ。コーグ見えないのか。でも、扱い上手い期待!」


 ラムとコーグはレオンの案内で屋敷を移動する。



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