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生贄聖女とお人好し魔技師  作者: 綴螺
一章 捜索
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侯爵家の庭

「残念」


 コーグがムスの頭の上で悲しそうに縮こまる。

 ラムは侯爵家を案内しながら庭を目指す。

 廊下は綺麗な赤に金色や銀の刺繍がされた絨毯が敷かれており、扉や手すりの木はピカピカに磨かれていた。

 何個も大きな扉の前を通り過ぎる。廊下に飾られている装飾品は壺や花瓶が綺麗に磨かれ、絵も繊細な風景画が多く飾られている。


「仕方ないから。びっくりして心臓止まるかと思ったよ。本当に」


 ムスはコーグを乗せたまま震える。


「他にもたくさん精霊いるから、大丈夫だと思うよ。明日には大量に来ると思う。庭にフェニックス待機しているから、私はティータイムしながらみようかな。ムスはティータイムいる?」


「いる。でも、集中すると飲まないかもしれないけど」


「いいよ。私がいれるから。ああ、メイドに糸と布を運ばせなきゃ。それと、コーグ用に厨房に使いをだす必要あるね。コーグ、何食べたい?」


「コーグ、じゃがいも!じゃがバターか、スープパスタ!」


 庭に向かう廊下何人もメイドとすれ違う。

 ラムは近くにいたメイドに言伝し、通り過ぎる。


「これで大丈夫。庭はここ」


 ラムのお気に入りの庭の扉をあける。

 鬱蒼としげる草木に整備された石畳の通路。木々たちに太陽の光が硝子を通して木漏れ日となって当り、背の低い薔薇やラベンダーが花を咲かせる。

 水が流れる小道に、石畳の通路は涼しげに続いていて、真ん中の少しだけなだらかな丘になっている場所に白いパラソルとテーブルに机が置かれていた。


「お嬢様、お持ちしてました。全て机に並べております。ティーセットとお菓子は脇に置かせて頂きました。お好きなだけどうぞ。肌寒いと悪いので膝掛けをお使いください」


 入口で礼をしてメイドは伝えると、部屋から退出した。

 石畳の通路を歩きテーブルまでくると、机には上質な糸と、布。脇にはスコーンにパイにケーキにクッキー等の山のようなお菓子にティーセットが置かれていた。


「ムス、お菓子たくさんあるよ。食べよ!コーグは?」


「たーべーる!」


 コーグはムスの頭の上から降りて、椅子に座る。

 屋敷の物が用意した椅子は座高が高く、コーグが座って物を食べるにちょうどよい椅子を用意してくれたようだ。


「俺の分取ってて!コーグ、収納!」


「うん!1種類ずつ収納する」


 コーグは魔法で綺麗に1種類ずつお菓子を取り出して小さくし、手の中で握ると物が消えた。


「よし、フェニックス待たせてるから、おーい!」


 庭のラベンダー畑で佇むフェニックス。会話が終わるまで待っていてくれたようだ。


「フェニもお菓子食べる?」


「いただく。どのようなポーズがいいのか?」


 頷くとムスに質問する。


「翼を広げてくれれば、後は楽にしてていいですよ。コーグは動き回って勝手にするぐらいですから」


(コーグの摸写は難易度高すぎるのではないだろうか?動いていていいのは、珍しい)


「それは、絵をかけないのではないか?」


「いや?絵は大体でいいから。色は目に焼き付けて、大まかに刺繍しながら色を調整していくだけだから、大丈夫。何回もみるから」


「ならいい」


 フェニックスはラムが差し出しているクッキーを食べた。


(やっぱり、ムスは職人の中でも変わっているよね。絵を書く時はモデルは固まってないと普通は駄目なのに)


「うーん、やっぱり七色だぁー。綺麗ー!!」


 まずは、ムスは自分のバックから写し紙を取り出し、ポケットにさしてあるペンにフェニックスを摸写し始める。目は輝いていて楽しそうだ。

 ラムはその間に紅茶を入れて蒸らしていた。

 テーブルの左端に布と糸をまとめて置いておく。


「わー、ふわふわ!おいしーー」


 コーグは気になったふわふわなケーキを一口食べて気に入ったらしく、紅茶を飲みながら食べている。

 コーグはお行儀よくフォークとナイフを使っていた。


「それは、シフォンケーキだよ。ブルーベリー味」


 ラムが入れた紅茶はアールグレイで爽やかな香りが漂う。


「ふわふわー、珍しい!」


「コーグも食べれない分はお持ち帰りいいからね。好きなだけいいから」


「うん!ありがとー!大事に食べる!」


 そう返事をするとコーグは何個かお菓子を選び、ムスのお菓子と同じ方法で圧縮して消した。

 気になるものだけコーグは収納した。

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