侯爵家
「これが家。今から呼ぶね」
ラムが案内した家は、普通の1軒家ではなかった。
白色のレンガが積み上げられ、高い城壁に。屋根まで全て白色。窓は複数あるが、どれも分厚く簡単には割れそうにない。門はごつごつとげとげした、黒光りする盗賊よけがされた素晴らしいもの。極めて大きさが、横が1軒家を4軒並べたぐらいで、高さは後ろの崖(200メートルはある)まであり、素晴らしく大きい。下から見上げると城または要塞といった言葉が相応しい。
着地した場所は門の中の侯爵家の庭らしく、そこは馬が100頭並べるほどの広さがあった。
ラムが入口の扉の前まできて開けると、たまたま数人のメイドと執事、
「侯爵様にお知らせを。ラムお嬢様がお戻りになられました、と」
レオンがラムをみた瞬間に、バタバタと後ろをかけていく若い執事がいた。
「お嬢様、おかえりなさいませ!すぐに支度をしますので、お部屋へ!」
メイド数人が掃除の仕事を後回しにし、ラムの側へ寄る。
「ううん。まずは、お客様がいるから、1人は庭に招くからお茶の準備をお願い。さらに、兄に話があるから、先に兄に会う。旅先で疲れた人がいるから、お湯を沸かして。レオン、お客様が3人いるの。精霊も一緒。先に兄に滞在許可を貰いたい」
「かしこまりました!すぐに知らせます」
数人のメイドが礼をして、左右に散る。
「かしこまりました。侯爵様はたいへんご心配されておりました。侯爵夫人も心配されていましたので、早目に顔をお出しください。お客様、こちらです」
優雅に礼をしたのは執事のレオン。後ろのお客様を見て、礼をする。
「うん。3人共、先に兄に」
「ラム、無事か!?」
廊下を駆け足でかけていく青年が1人。よく見ると金髪の短髪で、ブルーの瞳は海のように澄んでいた。
「ダース兄。そんな、慌てなくても」
「何を言う!居なくなってから心配したんだ。任せろと言っただろう!傷が治る前に出ていく奴がいるか!傷は!?跡は残ってないか!?大事ないか!?痩せたり、襲われたりしなかっただろうな。危険なこともしてないだろうな?」
ラムを抱えて、くるくると回し怪我がないか探す。
「大丈夫だから。危険なことはしてないよ。降ろして」
「ーー問題なさそうだな」
ダースがラムを地面に降ろすと
「あー!サラマンダーだー!」
「わっ!コーグ、大人しく。まずは挨拶してから」
コーグがダースの肩に乗っているサラマンダーを見つけて側に寄ろうとしたのを、慌ててムスが捕まえて腕の中に閉じ込める。
「ぶー!こんにちはー!コーグだよー!」
「ぶー!じゃないの。えーと」
ムスはダース侯爵と視線がバッチリ会ってしまい、固まる。
「ラム、この人は何だ?」
若干、目を細めてから笑顔を作り、ラムに聞く。
「ムスだよ。助けて貰ったの。精霊も見えるし、腕の中にいるコーグはとても賢いの。腕の良い職人だよ」
「職人?何の?」
さらに胡乱げな視線を投げかけられる。
「侯爵様に後で教えます。ここは耳がありすぎるので」
「ーーふむ。危害を加える者ではないのだな?」
「し、しません!まだ、長生きしたいです!」
ムスが必死に訴える。
「む。ムスに攻撃したらコーグ怒るよ!ボーンする!!」
コーグがキリッとした表情でダースを睨む。
「うわーーー!!余計なこと言わないで、コーグ!!ありがたいけど、やらないで!駄目だからな!絶対に駄目!仕事ができなくなる!」
ぎゅうっとコーグをだきしめる。
「精霊と仲がいいな。その黒いモヤは全て魔力か。制御下手でこれほど濃い色を垂れ流しているとは珍しい。後で詳しい話は聞かせてもらう。ラム、先に後ろの2人から話を聞いた方がいいな?」
「時間あるの?」
ラムが首をかしげる。
「作らなければならないだろう。エレキフォース王国、クローディア皇女、何用で我がバース領に来られましたか?」
クローディア皇女は僅かに驚いてから、直ぐに表情を引き締める。
「国を護るためです」
「詳しい話は中で聞こう。騎士も同伴で構わない。レオン、紙の用意を。ムスと言ったな。こちらを聞いたら執事を向かわせる。後できなさい。ラムは最後だ」
「は、はい」
「私は庭でお茶してるから」
「サラマンダー、あーそーぼー!」
コーグが逃げ出して、ムスの頭の上に乗って、飛び跳ねる。
「遠慮しておく」
サラマンダーはダースの肩に乗ったまま返事をする。
そうして、ダース、サラマンダー、アステラ、クローディアとムス、ラム、コーグは別れたのだった。




