空旅
4人はフェニックスの上に乗っていた。
ひとまずは追われていた怪しい集団は振り切ることができたようだ。
風がとても気持ちいい。
「わーい!フェニックスの背中ー!」
コーグはフェニックスの背中に転がり、ムスの方を見てはしゃいでいる。
「ふわふわー!降りたらスケッチしたいー。夢みたいに綺麗!」
ムスもコーグと同じようにはしゃいでいた。
(似てるなぁ)
ラムはコーグとムスをみて、勝手に頷く。
「フェニ、スケッチ駄目?侯爵家の庭なら大丈夫だよね?ムスにはお世話になってるからサービス」
「主がいいなら。ムスというのか、お主?」
「はい。ムス・ダーラス・グリザス・ディーラです。はじめまして。寛いでいるのはコーグです」
「コーグだよー。聖獣に会うのは久しぶりだよー」
ムスの頭の上に戻って挨拶する。
「そうか。スケッチは構わぬが、どれほどの腕か見せてもらいたい」
「うん。じゃあ、スケッチしたら、刺繍?いや、色糸ないか。それとも何か金属に加工しようか。うーん、せっかくだからアクセサリーにする?素材どうしようか。やっぱり板に加工が無難かなぁ」
「金属は家にあるし、色糸もたくさんあるよ。綺麗なら飾る。野党騒ぎでめちゃくちゃにしたから、壊れたかも」
「じゃあ、刺繍にしようかなー」
「ずるーい、コーグも!」
ムスの頭の上にいたコーグが主張する。
「じゃあ、コーグもいれよう」
「わーい!」
(コーグ、入りたがりなのかな)
「あの、お二方、話し合いは終わりましたか?」
「ええ」
「あ。大丈夫です。すみません、忘れてしまいました」
「ラムさん、ありがとうございます。このまま侯爵家に行くのですか?」
「はい。フェニックスなら誰も止めません。ただ、そろそろ寒くなる頃ですよね」
バース領は夏でも涼しいくらい気温が高くならない。普通に四季がある場所から移動すると、寒く感じる。
流石に今の季節に雪は積もっていないが、それでもひんやりしている。
「コーグガード!」
コーグが手を空に突き出して、シールドを張る。
(簡単に防御張った。コーグ、賢いし素早い)
「これで、寒くないよー」
「ありがとう、コーグー」
ムスがコーグを撫で回す。
「ありがとうございます、コーグ」
クローディアがお礼をいう。
「コーグ、ありがとう」
「うん!で、ラムの家に行くの?」
「そう。皆にコーグを紹介しないとね。私の家族は見えるからね、心配しなくていいよ。使用人も半分ぐらいは精霊が見えるの。一緒に食事、遊ぶぐらいなんてことないよ」
「コーグ隠れなくていいよね、普通に話していいよね、ムス?」
「問題なし。普通に頭に乗ってていいよ」
「やったー!」
「ムス、あなたも精霊が見えるとみて間違いないか?」
今まで黙っていたアステラが声をかける。
「あ、うん。そう」
ムスは頷く。
「私だけ見えず聞こえずということか。ラム侯爵令嬢様、バース領についたら、ガーディソード侯爵様に会えるだろうか?できれば、クローディア様を休ませて頂きたい」
「討伐に出ていたら1週間は戻らないから遅くなるかもしれません。強力な個体がいるかどうかも関係します。滞在許可は相談しますが、ガーディソード侯爵夫人が許可なさると思うので大丈夫です。無理な場合は私がいい宿を手配しますからご心配なく」
「わかりました」
「何を話すか決めておいでください。兄は忙しいので、完結にはっきり言わない人は嫌います。時間は有限です、交渉も厳しいですよ」
「わかりました。簡潔に重要なことははっきり言います」
クローディアとアステラが頷く。
「俺も挨拶しないと駄目?終わるまで町を見ててもいいのだけど、、」
「駄目。コーグを紹介して、兄さんにも言わないと、黙って出てきたから捜索に、検査にとても大変な目に合うことになるから、挨拶しよう。わかるまで追跡されるから」
「うぐっ。侯爵様、怖い」
「大丈夫、兄さんには私も言うし、ムスは口調そのままでいいから。大丈夫」
「コーグ、何かあったら助ける!心配なし」
「え、、?大丈夫なの?この口調で、、?」
「うん。私も皆と話すときはこうだもの。丁寧な話し方をするのは貴族パーティーぐらいだよ。大丈夫」
(ギルドの皆と話すのに貴族言葉は疲れる。面倒な言い回しは貴族だけで充分だ)
「そうなの?なら、このまま話すけど、不安がいっぱい」
「あ、見えてきた。フェニ、入口に止まって」
「承知。背に捕まれ、降りるから風に煽られる」
4人はフェニックスの背中に捕まり、コーグはムスの頭の上に張り付く。
徐々に高度を落として、最初にラムが降り、次にクローディア、アステラ、ムスが最後に降りる。
空の旅はあっという間に終わってしまったのだ。




