正体
「どうして、私が侯爵家だと?こんな場所に普通はいるはずないでしょう」
(少し暴れすぎたかな)
「幼いころから魔力が多く魔法の才能があり、とても使い方が独特だと聞いています。魔法で乗り物を出す等、普通はできません」
「ラムが侯爵家かは置いといて。で、強行突破する?逃げるなら暗闇の魔法をコーグにお願いするけど。迫ってるから決めないと」
ムスが割って入って、敵がいる方に銃を構える。
「どーすーるーのー?」
コーグは頭の上で円形状に転がっている。
「私はラスティー王国、王女のクローディア・エレキフォース。もし、ラム・ガーディソード侯爵令嬢でしたら、ガーディソード侯爵面会とアルーダス国王へ謁見を取り付けていただきたいのです」
フードを外し、礼をするクローディア。
「えーーー!!え?王女様!?本物!?」
ムスは目を丸くする。
「嘘を言ってないから本物ー。足止めしとくねー」
コーグは話がこじれそうだと察し、黒い煙を出して目眩ましし、時間を稼ぐ。
「姫様」
「いいの。ラムさん?どうですか?せめて、安全な場所まででもお願いします」
(コーグが言うなら本物なのだろう。だけど、ガーディソード家はそこまで甘くはない。後は私も嘘はつけないから言うしかないよね)
ラムはじっーとディアを見ている。
(あまり、顔はみたことないからわからないな)
「ちょ、コーグ、父さんに連絡。とりあえず、御息女が生きてるなら戦争とまるかも」
「ムス、それは甘いよ。止まらないと思うけど、事態は最悪からは脱したのは確か。私は連れてくのはいいけど、侯爵には自分で交渉してください。兄様は甘くないですよ」
「え?ラム?え?!」
ムスは固まる。
「ムスー、ペディロに連絡はしたけど、後で手紙だって。で、どうしたの?ムスー」
固まったムスの頭の上でコーグはぼよんぼよん跳ねる。
「その前に、ムスの父親は何者か?」
「ま、まって。パニック。まず、父親に手紙だす。メモ紙!次!父親は魔法師!以上!」
ムスは1個1個、確認し始める。
(ムス、完全にパニックになっちゃったみたい。私が侯爵だと言ったからか。ムスは今のままでいいから、変な風になったら嫌だなぁ。後は、もう呼ぼう)
「面倒だから飛ぶよ。バース領まで。全て検問無視で。質問は空の上か侯爵家でお願いします」
「では!」
ラムは頷く。
「フェニ。皆を家まで」
そう、ラムが口に出した。
すると、彼女の側から火が舞い上がる。
「え!?ラム、危ないよ!?」
パニックになってた、ムスは慌ててメモ紙をしまい、ラムの手を引っ張って火から出そうとするが
「おや。珍しい。ほう、精霊付きか。しかも、古きものか」
火の周りから声がしたと思ったら、ワイバーン並みの大きさの鳥。全身が燃えている火の鳥が現れた。
ラムの周囲から火は消えており、側にいるのはフェニックスだけ。先ほどの異様な炎は消えてラムの側の崖に飛んでいる。
「あれ。炎消えた。ラム、大丈夫?後ろから声?わーーーーー!!フェニックスだあ!!綺麗!」
ムスは声をした方を見ると聖獣であるフェニックスがおり、キラキラとした目でみていた。
「七色の羽!火を纏う身体、青い水晶の目、綺麗すぎるー!!スケッチしないとーー!!滅多にみれない、聖獣。どうしているか、わからないけど、少しその場にいてください!ちょ、ゴロツキ吹っ飛ばすから。もう、あっち方向に半分の魔力ブッパして倒す。スケッチの邪魔!他に入れないようにトラップしかけなきゃ!」
(な、なんか、さっきまでの動揺が消えた。さらに変なスイッチ入った)
「ははは、主、ずいぶん変わった人を連れてきたな」
フェニックスが笑う。
「トラップ仕掛けたよー。やったー!空飛べるー!」
コーグはムスの頭の上で跳ねている。
「主、飛ぶのなら速く」
ラムがフェニックスから促され、頷く。
「ムス、大丈夫だから乗って。他の二人も」
「わかりました、姫様」
「はい」
2人は乗り込んだ。
「えーと、魔力」
「ムス!はやく」
「てぃ!!」
「ぶっ!」
コーグがムスの顔に張り付く。
「ムス、フェニックスに乗るよー!はやくはやく!
ムスが暴走したら、叩かないと現実に戻ってこないからね、ラム!こうしないといけない!」
コーグは頭の上に戻ってぼよんぼよんと跳ね出す。
(すごく痛そう。ムス、夢中になっちゃうと駄目なのか。次は軽く燃やしてみよう)
「うー、痛い」
ムスは頬を擦る。
「ムス、乗って!もう、来てるから!」
「あ、はい」
ラムは慌ててムスを引っ張ってフェニックスにのせる。
ラムの目には弓を構えて射る者が見えたからだ。
「捕まりなさい」
フェニックスがラムを乗せた直後に空へ飛び立つ。
射られた弓は燃やしながら、真っ直ぐにバース領へと向かうのだった。




