表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
生贄聖女とお人好し魔技師  作者: 綴螺
一章 捜索
6/108

屋敷2


 ラムはその場に崩れ落ちる。


「一緒にきてもら」


「凍てつく氷の嵐、凍える口吻を。《氷の精霊》(アイスストーム)」


「、、、っ!」


 男は後ろに下がる。

 地面はラムを中心に、徐々に氷ついていく。


「ーーまだ。決着は、ついて、ない」


 脇腹からながれる血を抑えながらゆっくりと立ち上がる。


「ーーそれ以上戦ったら、死ぬぞ、お前」


 大剣を構えてラムを鋭く見据える。


「関係、ない。私は、まだ、戦え、る、、《氷の精霊》(アイスストーム)」


 傷口を凍らせることで応急処置をし、男を見据える。

 その目は戦意を失ってはいない。


「打ち砕く閃光、貫け闇を《光の魔法》(ブレイクライト)」


 上空へ無数の稲妻を出現させ、滝のように通路へ叩きつける。

 凄まじい轟音が周囲に響き渡る。

 それは、室内にいても何事だと驚くほど。


「ーーそれぐらい」


 男は同様に稲妻を切り払いながら、ラムとの距離をつめる。

 ラムが男の大剣の間合いに入る寸前


ブンッ


 風を切る音と共に、男を突き落とすように横から大剣で攻撃する金髪の青年。

 男はそれに気づき後退。

 青年は稲妻が降り注ぐ中、そのまま走りきり、ラムを背後に庇うように大剣を構える。


「ギース兄」


「ラム、早馬は出してある。だから、休め。俺に任せろ」


 ギースはチラッとラムの方を見、傷をみてからに視線を男に戻す。

 ギースは普段つけている鎧はつけていない。町にいくような軽い軽装だ。慌てて支度をしたとうかがえる。


「大丈夫、、手強いから援護する。屋敷は大丈夫?」


「屋敷内はあらかた片付けた。心配しなくていい。魔法は?」


「魔法は使えない。魔力は感じないから、魔工品の所持確率は低いと思う。確実にはわからない」


「わかった。無理はするなよ!」


「打ち砕く閃光、貫け闇を《光の魔法》(ブレイクライト)」


 稲妻を上空と左側、右側に出現させる。 

半分ほどを一斉に射撃する。

 ギースはタイミング合わせて、男に向かって駆け出す。

 

「ーー!」


 稲妻を掻い潜り斬りかかるギースと稲妻を切り払いながら迫る男。

 体重をかけて上から斬りかかるギースと男は大剣で弾き返す。その瞬間に残りの稲妻が襲いかかる。


「流石に分が悪いか」

 

 男は通路の縁に上がり、石造りの壁を滑り落ちるように下へ落ちていく。


「ーー待て!」


 反応が遅れたギースが後に続こうとするが、ふいに足を止める。

 背後の音に振り返るとラムが崩れ落ちて、地面に倒れていた。

 

「ラム!」


「構わず、追って。居場所、突き止め、、ない、と。回復、魔法使え、ば、大、丈夫」


 途切れ途切れに伝える。

 集中が途切れて、止血していた氷がとけていた。それにより、脇腹から血が流れる。その量は思っているより多く、危険だ。


「馬鹿野郎!追うより、お前の方が大事に決まってるだろう!その怪我で動かせるか!」


 ギースは服の裾を切り裂いてラムに止血を施してから、左腕で抱えて走る。


「ギース兄、お」


「運ぶのが先だ!身体も冷えているのに、置いていけるか。大人しく、回復魔法かけてろ!」


「でも、アルマが」


「アルマはああ見えて、素早いから捕まってたとしても、隙を見て逃げ出せる。今は、重傷なラムを運ぶのが先!回復魔法、使えないなら人呼ぶぞ!?どうなんだ?」


 聞く耳もたず。その様子をみたラムはため息をつく。


「《聖の魔法》(リカバリー)」


 傷を回復魔法で塞ぐ。みるみる傷口が元通りになる。

 ラムは深く息を吐く。


「ギース兄、、。ありがと」

 

(もう、ギース兄がいるから、大丈夫。ねむ、い……)


「ラム?お、おい。ラム!」


 ぎりぎり意識を保っていたラムは、安心した途端に意識を手放す。

 焦ったギースの声を聞きながら目を閉じた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ