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生贄聖女とお人好し魔技師  作者: 綴螺
一章 捜索
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戦闘開始

 身のこなしの速い暗殺者はムスの弾を悠々に躱す。


「!?」


 だが、何故か足が止まった。《闇の精霊》(影縫い)弾丸の効果だった。対象に当たるか、対象の影に当たれば効果がある。


「打ち砕く閃光、貫け闇を《光の魔法》(ブレイクライト)」


 上空へ無数の稲妻を出現させ、滝のように暗殺者へ叩きつける。

 身のこなしが速い人も足止めされてはひとたまりもなかった。

 ラムの魔法の前に倒れた。


「身体を、心を、纏う強き光、そのまま纏い盾となれ《光の精霊》(ガードマインド)」


 さらに近づかれる前に防御と状態異常を防ぐ魔法をかける。

 近づいてきた1人はアステラが割って入り


「速い」


「ラム、どんどんやる?」


「止めるのたくさん持ってきたの?」


「外に出るから凶悪な弾ばかり山程ね。普段より多め。足りなくなったら頼むか作れるから大丈夫。コスト気にしなくていいよ。これ、やらなきゃ駄目だから」


「わかった」


(ムスもやる時は徹底的派らしい)


「遠距離2人なら」


 アステラが反対側を相手してる間にすり抜けてラムを狙って剣を横薙ぎに切る。


「暖かな花、綺麗に咲いて《火の精霊》(ファイヤーフラワー)」


「な」


 ラムが全く動じず、魔法詠唱を素早く終わらせた。

 目の前の剣士が凄まじい火の火力の前に火達磨に燃えて、倒れる。

 続いて飛び出してきた人と魔法を唱える崖の上の魔法使いにむかって


「きらい。ぽいっ」


 コーグが黒い玉をそれぞれの頭の上にだして、2人を黒い玉へ吸い込ませて、退場させた。

 騎士の方も2人目の相手をしている。

 その間に真後ろから


「暗殺者ならそうだよね」


 後ろにいるディアを狙って弓矢が射られる。

 アステラは2人目を斬り伏せてディアの元へ向かう。

 ムスはアステラが割って入る前に簡単に弓矢を撃ち落として、一旦、攻防は終了する。


「お二方、遠距離なのはわかるが、どういう鍛え方をしてる?後ろに下がろう」


「じゃあ、俺が先導するよ、近所みたいなものだから」


 ムスが道案内をするように先頭に立って、バラーヤイヤーの方へ向かう。

 後ろにはディア、ラム、アステラと続き、移動を開始する。


「私は1人でごろつき殲滅ぐらいは」


(バース領だとモンスターの集団の方が厄介だけど、ここは人の方が大変そう。腕前もそこそこ。魔法耐性も低いみたいだから、何とかなる)


 ラムは後ろの方に気をかけながら移動する。


「俺はまあ、1人で逃げ切るぐらいは」


 ムスは危ない場所を避けて、岩場を歩いていく。


「ーーそういう鍛え方ではないようにみえるが」


「まあ、狙われるとーー。あー、反対側から回ってきたな。コーグ、いっぱいいたりする?」


「んーーーー、音するよ。武装してる。ガチャガチャ、魔力あり!嫌いそうなやつ」


「コーグ、ありがとう。ラム、囲まれた。強行突破する?ディアさん大丈夫?」


「あ、あの。コーグに指示を出さないのですか?」


 ディアが控えめに尋ねる。


(ディアはムスを精霊使いだと思ったか。本人は精霊使いではなく、コーグが好き勝手にやってるだけなのだが)


「出さないよ。コーグは友達だから。危なくなったら一緒に逃げるし、一緒に生活してるだけだよ。お願いはするけど」


「コーグ、ムス大好きだから一緒にいるだけだよー。指示されたことないよー」


 びょんびょんとムスの頭の上で飛び跳ねて、また頭の上に座る。

 ディアが目を丸くして呆然とする。


「走れますか?ムスとコーグの衝撃は置いといてください」


「は、はい」


 ディアは躊躇いがちに頷く。


「姫様、足裏が痛いでしょう。走るなら私が背負います」


「え。なら、歩くの辛いでしょ。全部倒す?アステラはそのまま。流石に近接いないと困る」


「後から複数来ます。狙われてますから。今なら2人だけ逃げれば間に合いますから逃げてください」


「なら、乗り物を作ればいいか。馬、鳥、牛は駄目だから、、、。寒さに強い狼とか。乗り心地的に馬がおすすめだけど、悪路だから最初は狼がいいかなぁ」


 その場の全員が固まった。


「ラム、乗り物を出せるってことは、捕獲したの!?」


 コーグが目をキラキラさせてラムをみている。


「え?魔力で形を作って人を乗せて走らせるだけだよ。ただ、形を作る以上、イメージ先行があって、速さが動物と同じぐらいしかでなくて」


(どうしてもイメージに引きづられてしまうから、それがよくない)


「捕獲してないの?でも、すごい!コーグ、鳥に乗りたーい!」


「はっ!コーグ、それは後にして。来るから決めないと。倒すか逃げるか」


「ーーーまさか、ラム・ガーディソード候爵令嬢でございますか?」


 ラムはアステラが放った言葉に固まった。


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