表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
生贄聖女とお人好し魔技師  作者: 綴螺
一章 捜索
55/114

バラーヤイヤー


ーーーー王都から東にある町[バラーヤイヤー]にコーグ、ラム、ムスは《空間魔法》(テレポート)で飛んだーーーー 



 大通りの町並みは全て木造建築で統一されていて雰囲気がよい。

 今は朝だから人通りは少なく、疎ら。桜並木である大通りは桜が散り、葉桜となっていた。川に散った桜の花弁が浮かんでいる。

 ムスとラム、コーグはその大通りを横切って、商店街の奥、鍛冶屋や武器屋、ギルドが立ち並ぶ方へと足を進める。

 その中でもレンガ造りの鍛冶屋だとわかる剣と盾の下に『ガーディア』という名の看板が掲げられている店へ入る。


「いらっしゃいませー」


 奥には火が燃えており、トンカチの音がする。

 床は汚れており、数名の職人が作業中。

 入口近くのカウンターは流石に綺麗ではあるが、無造作に置かれている印象だ。

 無愛想な挨拶にムスはすかさず返す。


「いらっしゃいませー!」


 ムスは元気に返事をする。

 コーグはムスの頭の上に収まり、大人しくしている。

 ラムはムスの後ろから顔を出して、鍛冶屋を覗き、仕事場をみている。


(ふむふむ。お抱えの職人がたくさんいる。良さそうな槍に良さそうな剣。ピカピカに光ってる。室内は乱雑だけど)


 キョロキョロと室内を見ていると、

 

「いらっしゃいませー!!」


 また元気に声を張り上げるムス。


「は?って、お前かよ、ムス。魔針はまだだぞ?」


 意外な返答に奥で作業をしている、腕がパンパンに膨れた筋肉質の男性が顔を上げる。

 客をみた瞬間に厳つい顔をしかめた。


「ちょっと見てほしい素材があって。加工できるかと、見本みたいから来た」


「見本?なんのだ?」


「ワイバーンの骨と鱗。さらに皮。骨に鱗加工するとどうなるか見たくて。簪にすると柔軟性は?後は、魔針にできるかを見たい」


「ワイバーンか。ふむ。魔針には向く。見本は、、。あるにはあるが。待ってろ」


「変異種の鱗なの言わなくて大丈夫?」

 

 ムスが鱗について何も言わなかったので、ラムが尋ねる。


「ソーマスなら、大丈夫だと思うけど。うーん、後で言っとこうか」


「上手く加工できないと困るから」


「ほら、これだ。どうだ?鱗を加工すると光で鮮やかに光るようになる」


 テーブルに並べられたのは木に加工されたワイバーンの鱗達。

 透明に薄く平にしているのもあれば、あえて格子状に模様を作ってみたり、斑にしている物もある。


「手に取っていい?あ、魔針の方はワイバーンの骨と皮の素材でお願いしてもいいか?」


「魔針には充分な素材だ。2本、、3本作れそうだ。どうする?」


「作れた分だけ買い取る。どうせ、寿命はくるし、摩耗激しいから頼む」


「わかった。注文書かけよ。で?そっちは?」


「綺麗。やっぱりソーマスは腕がいいよね。うーん、ラム、どれが好み?輝きに合わせてモチーフ作って簪にするよ」


「え。いいの?」


「もちろん。ラムと妹さんでお揃いにする約束でしょ。ちょうど木だし。ソーマス、桜の木で加工しても、丈夫でこの色が出るか?あ、後、鱗は変異種ワイバーンのものだけど」


「桜の木なら、問題なく大丈夫だ。ーーー、そーゆーことは早くいえ!ったく、鱗みせろ」


 思いっきりムスを睨みつけるソーマス。

 

「あ、はい」


 ムスは頷いてソーマスに鱗を差し出す。 


「ーー、まぁ、大丈夫そうだな。お嬢さん、どれにする?」


「光が上品なやつがいい」


(斑も格子状も美しく加工されていて、素晴らしい腕前。ムスの目は確かなようだ。どれを選んでも間違いない)


 ラムは薄く平に加工されたものを指差す。


「わかった。ムス、簪はいつだ?」


「大分先。魔針は注文書を書いたから、よろしく。簪はラムの妹さんを見つけてからになるから。依頼はその後」


「おう。確かに受け取った。出来上がったら連絡する。行方不明なのか?」


「攫われたからこっちのギルドにも顔を出すつもりです」


「ーーーなるほど。ムス、今、出歩くのは」


 ソーマスが真剣そうな顔で小声で話しかける。


「ソーマス、大丈夫。隣国の情報は入ってる。動けなくなる前にちょっと出るだけ。彼女、魔法師だから。俺より強い。問題ない。で、これを職人さん達に配って」


 テーブルの上に山のように積まれた魔工品ストラップを出す。

 形は丸い花の模様を形どった編み物の中に石が入ってる。

 ソーマスが息を呑む。

 

「魔工品か。おい、値段」


「いらないって。店潰れたら困るの俺だから。まあ、レース編みに石入れて作ったやつだから、1回だけな。急増のやつだよ。まあ、余りや見本もあるのも勘弁してくれ。効果は防御だけだから、すぐ逃げろよ。あ、割引してくれるなら、魔針でよろしく!」


「いつの間に」


 ムスの魔工品の山をみて、ラムは目を丸くする。


「ーー貰っておくぞ。お前が作ったのは間違いないからな。お得意様だ。魔針1本、無料な。皆、喜ぶというか安心するだろう。お前のことだ、家族分もあるのは量をみればわかる」


 ソーマスは魔工品を奥に仕舞いに行く。後で渡すつもりのようだ。


「よし!これで、オッケーと」


(ムスは最初から魔工品を渡すつもりだったのか。危険な目に会わないようにするために)


「ムス、気をつけろよ。魔針の件は任せろ。簪は連絡よこせ」


「わかった。じゃあ、よろしく!」


「お嬢さんも武器が入り用ならよるといい」


「ありがとうございます。お願いします」


 ラムは頭を下げて『ガーディア』を後にした。

 続いてムスとコーグも店を出る。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ