スープパスタ
「ラムー!スープパスタ!」
コーグはラムが寝ているムスの部屋に突撃して、ぼよんぼよんと布団の上で跳ねる。
空には太陽があがり、朝焼けが始まったばかりの時間帯である。とても早い。
「うーん?コーグ、おはよう」
ラムがベッドから身体を起こすと布団の真ん中にコーグが座っていた。
「おはよう、ラム!寝坊しないようにきたよ。手伝うよー。スープパスター」
「朝ね。着替えはまだいいかな。じゃあ、一緒にいこうねー」
「うん!」
コーグはラムの頭の上にのる。
コーグとラムは下に降りて、顔を洗ってから朝早い時間に料理の準備を始める。
「鍋!フライパン!菜箸!パスタ!」
コーグは楽しみなのか、いるとわかっている物をせっせと用意してくれた。
「鯵と鰯、しらすとホノホノ貝、ワイバーンの骨か。まずはワイバーンの骨から出汁を取るのだけど、コーグ、ユリアさんを呼ばないと」
「ユリ母さん!そうだ、呼ばなきゃ!待ってねー!!ラムは準備してていいから」
コーグはハッとして、すぐに飛び出していった。
「ユリアさんは精霊が見えないはずだけど、合図や紙で意思疎通するつもりなのかな?」
(いっちゃった。昨日もコーグは見えないと言っていたけど、ムスに言われた通りにコーグを撫でたり、通訳して話してたから大丈夫なのかな。家族で合図ぐらい決めているのだろう)
「鍋にワイバーンの骨を取り出して、水に入れないと」
ラムがワイバーンの骨を取り出して、鍋にいれる。次に魔法で火をだしてコンロにかける。
すると、上から降りてくる音が響く。
「ラムちゃん、おはよう!スープパスタを教えてくれるのでしょう?」
明るい黄色のワンピースを着て、にこにこと笑っているユリア。
「呼んできたよー!」
「コーグ、ありがとう。ユリアさん、おはようございます。スープパスタを出汁を作ろうと思いまして。骨を水に浸したところです」
「まぁ。このままで出汁が出るの?」
「煮出さないとだめなので、沸騰させて灰汁を取ってください。綺麗な出汁ができますよ」
「わかったわ!他はどうするのかしら?」
「ホノホノ貝をまずは茹でて貝から身を外しましょう。出汁はワイバーンの出汁と合わせます」
ラムはフライパンにホノホノ貝を並べて水から煮る。
「コーグ、貝が開くまで見てるよ!」
コーグは目をキラキラさせて、フライパンを小さな手でもち、中をみている。
「そう?なら、お願いするね。しらすはそのままでいいから、鯵と鰯を焼いて身を解しておくね」
ラムはオリーブオイルをしいて、鯵と鰯の腹を裂き、内蔵を取り出して3枚下ろしにしてから焼く。
その数、10匹ほど。
表面が焼けたら、水を入れて蓋をし、蒸し焼きにしている。
「火が通ったので、取り出して」
ラムは魚を取り出して、大皿にのせる。鯵と鰯それぞれ一匹ずつ、小皿にのせ、皿の上で骨を取りながらほぐす。
取り除いた骨は纏めて紙袋にいれておく。
「ラムー!!開いてきたよー!」
「お鍋を下にしてざるを上に置いてと。コーグ、ここにフライパンの中身をあけて。汁は捨てないでね。貝だけざるの上にのるからね」
「うん!」
ラムはまた、魚の身をほぐす。
コーグは返事をして、フライパンをざるにあけた。
「ざばばばー。わぁー。真っ白で見えないー」
コーグが目をしばしばさせる。
「コーグ、火傷するから白い煙から離れて。開け終わったら、大丈夫だから」
「火傷やだー」
コーグはラムにぴったりくっつく。
「離れたら大丈夫だよ。すぐ火傷するわけじゃないから」
「よかった。あけたよー!!汁は?」
「ユリアさん灰汁を取り終わったら、汁を入れて貰えますか?」
「わかったわ。たくさん出るから、なかなか大変ね」
鍋は沸騰してたくさんの灰汁がでていた。ユリアは丁寧にお玉で灰汁を取っている。すると、黄金色の綺麗な出汁が出来上がっていく。
「汁、置くねー」
「ユリアさん、コーグが近くのテーブルに置いとくそうです」
「わかったわ。ありがとう、コーグ」
「うん!中の貝は?」
コーグはざるを空中に浮かせて運んでいる。
「貝はね、身だけ取り出したいから、綺麗に身だけ別に外してお皿にいれるの。貝の外側はいらないよ」
「うんうん。中身だけ」
「そう。フォークを使った方がいいよ。直接触ると熱いよ」
「わかったー」
コーグはフォークを手に持って、貝から身を剥がし始める。
「こっちも綺麗に終わったね」
ラムは鯵と鰯をほぐし終わり、一息つく。
「わーん!ちょっと残るー。悲しみ」
コーグは貝柱だけ残ってしまった貝殻を見つめている。
「先に貝柱を取るといいよ。ね、コーグ。こうするの」
ラムが先に貝柱を外してくるっと円を描くように外すと綺麗に外れた。
「ラム、すごい!コーグ、頑張る!」
ラムを見ながら、コーグはフォークで貝柱を先につついて外す。
身が綺麗にとれた。
「やったー!」
コーグは翼をパタパタと動かして、喜びをあらわにする。
「上手だね。一緒に頑張ろうねー」
「うん!」
コーグとラムが貝を取り終わるのと、ユリアが汁を鍋に入れるのは同時だった。
「ラムちゃん、終わったわ」
「ありがとうございます。ユリアさん、パスタを盛り付けられる皿を4つ。コーグ用も用意して貰えますか?その中にスープを三分の一ほどいれてください。しらすもだして欲しいです。私はパスタを茹でます」
「ええ!」
ユリアは皿を取り出して、作ったスープをいれる。
「パスタだー!コーグ、何かする?」
「茹でるだけだから、大丈夫だよ」
「なら、みてるー。美味しくなるように踊る!パスタ、パスタ、スープパスタ」
コーグは鍋の周りで飛びながら、くるくる回っている。
「可愛い」
ラムはコーグのその様子をみながら、塩を少々つまみ、鍋にいれる。パスタを鍋に入れ、ゆでる。
3分ほどで茹で上がったパスタをざるにあけて水でしめる。
「パスター!」
「うん、もりつけてと」
小さめのコーグの器にパスタと鯵と鰯にしらすを飾り付けて先に完成。
他はユリアさんと一緒に盛り付けて完成させた。
「コーグ、どうぞ」
「スープパスター!」
コーグはラムからスープパスタを受け取り、目をキラキラさせて、嬉しそうに笑っている。
「コーグ、味見していいよ。おかわりあるからね」
ラムがそう言うと、コーグはくるくる回ってからフォークを持ってきて座る。




