コーグとラム
「えい!えい!」
コーグはまだ、紫色の球を出してラムを狙う。
逃げ道を塞ぐように四方に同時に投げ、その後に10個続くように四方同時に投げた。トンネルのように紫色の球が続いている。
「コーグは大技、まだ使ってないね」
ラムは逃げ場がなく絶体絶命のはずだが、普通に呟いている。
そして、自分に《風の精霊》(ウォームウインド)をかけて浮き上がる。
「えー!ラム、空飛べるの!?」
コーグは目をキラキラ輝かせて、ホーミングする紫色の球を白い球で相殺させているラムをみる。
「操れば、空中戦ぐらいできるよ。魔法師だもの。空に陣ぐらい描かなきゃね」
ラムは白い球を10個ほど出す。
「わー!」
襲いくる球を掻い潜ってコーグも空へ。
その後、白い球と紫色の球が無数に空で衝突。
小さな球と大きな球、白と紫。決着がつきそうな気配がない。
「んー、コーグ、1時間ぐらい経ったけど続ける?違うのする?」
「そんな時間!?」
「うん。せっかく空間魔法で作ったから、建物にお城も奥にあるし、ピクニックもできるよう滝もあるよ。後はムスは退屈してそうだし、多分、このまま決着つかないまま戻されるよ」
(魔力は有るのだけど、1時間これではそろそろ飽きてくるはず。決着は魔法制限されている以上、おそらくつかない)
「んー、やっぱり?」
「多分。コーグ、強いもの。私は魔法制限されてるから、組み合わせ魔法使えないから戦略はない。後は撃ち合いになるだけ」
「むむ!コーグ、探索もしたい!一回、引き分け!」
「うん、そうしようか」
コーグとラムはそれぞれ頷いて地面に落ちる。
「あ。おかえりー」
ムスは暇だったのか、花畑がある場所辺で花冠を作っていた。
シロツメクサで作っていたようだが、飽きたのか間にクロッカスや薔薇まで刺して華やかになっていた。
「ただいまー。引き分けにして戻ってきたよー。それ、どうしたの?」
「優勝者の王冠のつもりで作ってたけど、なかなか来ないからさ。店で売れそうな花アクセサリーのスケッチや試しで作ってたら、10個ぐらいになっちゃった」
ラムが下に視線を落とすと、確かに花冠が10個下に作られていた。
ベースはシロツメクサで、クロッカスだけやラベンダー、薔薇、色とりどりの花冠が出来上がっている。
ムスは万年筆にスケッチブックを持参していてそこにはラフ画が描かれている。
「コーグ、これ欲しい!貰っていい?」
コーグはシロツメクサだけのシンプルな花冠を手に取る。
「いいよー。でも、消滅しちゃうかな?」
「まあ、空間魔法だからね。場所を解除したらこれもなくなっちゃうけど」
「限定品かぁ、、ムスー」
じーっとコーグがムスの目をみつめる。
「あー。わかったよ。シロツメクサ咲いてる草原で作ろうか?今はもう遅いかなぁ」
「咲いてたら作ってくれる?」
「春先はいつも忙しいけど、気晴らしの時にな」
「わーい!」
(ムス、コーグに激甘らしい。まあ、ねだるものが可愛らしいものだからいいけど)
「ラムは?ラムはいらないの?」
「え?」
ラムはコーグの言葉にきょとんと首をかしげる。
「ムスの装飾品はとっても綺麗でいいやつだよ?すごい綺麗。花冠も可愛いの作ってくれるよ?」
「でも、枯れちゃうから」
「いや?枯れないようにしちゃえばいいけど。氷魔法で《氷の魔法》(アイスクリスタル)使えば薄く膜張れるから、そのままの色でばっちり残るよ。維持費は20年ぐらいにするか?100年でもいい。魔力球売ってるし、維持も簡単だよ」
「え」
(魔工品になっちゃうよそれ!?しかも、上級魔法使うつもりだし)
「商品にするつもりなの?」
「え?普通にあげるけど。試作品だし。でもさ、綺麗なままがよくない?つけるなら。花を飾るなら生花のままがいいけど」
「コーグ、綺麗なまま保管!」
「あいよ。ラムは?気に入ったら普通にするけど」
「お金出すよ!魔工品だよ!」
「いや、込めるの2種類で実用的なやつ何もないし。魔工品でもただの装飾品にしかならないから、いいよ。サービス」
「サービス?」
(私、何かいいことしたっけ?)
「遊んでもらってるし。ほら、コーグ満足してボール投げ終わらせたみたいだし。俺じゃ無理。後は試作品に金取るとか駄目だよ。出来栄えやつけた心地の感想を聞かせて欲しいから手間賃で相殺。で?いる?」
「う」
(花は好き。保存できるなら、してほしい。でも、遠慮が)
「花、好きでしょ。だって、綺麗に咲いてる。これは好みの花ばかり。違う?」
「わかるの?」
「まあ、本物に遜色ないぐらい綺麗だから。魔法は力の入れ方でわりとあやふやになるとこはなる。細部まで綺麗なら、好きに決まってるよ。思いれあるってことだから」
「ーーじゃあ、あれ」
ラムは奥に咲いているベルガモットと月光草を指す。
「あの2つ?白い花と赤い花ね。ブレスレットにする?流石にコーグみたいに頭の上にぽんは恥ずかしいでしょ?髪飾りにしてもいいけど」
「髪飾り、、」
(絶対に可愛いだろう)
ラムは花が咲き乱れる飾りを想像して微笑む。
「じゃあ、髪飾りにしようかー。ベルガモットは買うとして、月光草は祭りの時に確保しようか。花屋さんに予約入れとくよ」
「コーグ、全部持ってくね!」
ムスが作った花冠を魔法で浮かせて、頭の上に全て乗せる。
「で、移動するの?コーグ、何するつもり?」
「探検!キレーな場所、よくみたい!」
「ここからだと、もう少し先に滝があるよ」
「滝!コーグ、滝みたい!」
「そっか。ラム、いこうか」
「ええ」
コーグはムスの頭の上に、ラムとムスは並んで歩いていく。




