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生贄聖女とお人好し魔技師  作者: 綴螺
一章 捜索
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事情聴取2


 ラムとコーグ、ムスが座っていると部屋の扉が開く。


「おまたせしました」


 丁寧な言葉ではあるが、意思の強そうな低い声がした方へラムは軽く視線を向ける。

 その人は輝くさらさらの銀髪に、海のような蒼い瞳。丁寧に仕立てられた白と青を基調とした上質な服。名はあえて名乗らないのだろう。

 ラムはこの人物を知っている。知っているからこそ、困惑した。


(何してるの、この人は。私の正体はバレただろう。連れ戻すつもりなら、魔法で逃げなきゃ)


 この人物は間違いなく、アステラティーア王国の王子、ジール・オプティクラーズ。アルマの婚約者で、この国の権力者である。精霊は見えるが、忙しい人なのは間違いない。なぜ、ここにいるのかと疑問を持つが、そんなことは後回しにする。声をかけられたので、何かしら反応しなければならない。


「あー!トニトだー!!久しぶりー!!」 


 ラムがアクションを起こす前に、コーグはラムの腕から飛び出して、ジールの肩にいる、黒い丸い球体に目がついたぼやぼやした光に声をかける。


「コーグか。久しぶりだ。証言はお主がするのか?ジール、100%真実だ」


(コーグとトニトは知り合いなのか。コーグは嬉しそうにトニトの周りを飛び回っているし、仲が良いみたい)


「トニト、早急すぎる。事情聴取はしよう」


 ジールが精霊の言葉に首を振る。

 トニトと呼ばれる精霊は雷を司る精霊の総称の名前。ぼんやりした光を出しているが、戦闘になると恐ろしく攻撃的になる。滅多に怒らないが、怒るとその場所に1ヶ月は落雷が収まらないという伝説をもつ。


「お主が言うなら、隣で聞いている」


 ジールの右肩に乗り、大人しくしているトニト。


「トニト、後で一緒に遊ぼー!」


「遊ぶ時間は今はない。もろもろ立て込んでいる。また、時間がある時に。国内が落ち着いたら訪問する」


「残念。ん?来てくれるの!?わーい!今から楽しみ!事情聴取?始めよー!」


 コーグはしょんぼりしたかと思うと、嬉しそうに飛び回ってから、キリッとした表情でラムの手に座る。


「では、始めよう。2人共大丈夫か?」


「はい、お願いします」


 ラムは軽く頭を下げる。


「お、お願いします」


 ムスはしどろもどろに返事をする。


(ムスは気圧されているかもしれない。それと、挨拶を交わさないということは、名乗りたくないのだろう)


「2人共、質問内容を読み上げてくれ。精霊の言葉は私が翻訳する」


「では、始めます。被害者は地下にいたとのことですが、間違いありませんか?」


「ないよー」


「はい」


「はい。牢屋みたいな場所でした」


 2人とコーグが頷く。

 コーグの言葉をジールが通訳して伝えている。

 魔法使いが文を読み上げて、証言をメモする。


「わかりました。次に何の取引きをしていたかですが、わかる範囲でいいので教えてください」


「コールビット伯爵が誰かを引き取る話でした」


「上玉5人と言ってました。誰かを選ばせる予定みたいです」


「目的は?」


「途中でタイミングを失敗しまして、奇襲の形になってしまい、聞いてません」


「一応、建物は無事です。お茶を飲んでましたし、全員生け捕りしています。全員弱いです。情報はそれ以上は知りません」


「彼奴等、ぶっ飛ばしてトニト!あの2人は悪いことするつもりだよ!邪な空気流れてた!黒!よくない。嫌い」


 コーグが激しく主張する。


「まて。コーグ。黒とは?」


「嫌な空気たくさん。人を不幸にしようとする黒霧がぼわわって湧き出てる。よくないから、ポイしないと。放置すると呪いになるよ?恨み妬み増加して取り返しつかなくなる。たくさん、恨まれてる」


「ジール、急いで処罰しなければ危険だ。コーグが呪になるというほど念が強いなら、危険だ。今すぐ、取り調べるべきだ。闇精霊は感情の機敏に詳しい。コーグほど危機察知能力が高い精霊は少ない」


「2人共、他にいうべき点はあるか?ないなら、すぐにあの2人を尋問しよう。危険なようだ」


 ジールが事情聴取を切り上げようとする。


「案内したメイド。武器持ってましたが護衛ですか?斬りかかる様子がなかったので、放置しましたが。隠してる様子もないし、敵意もない。コーグがいたから安全だと判断しました」


「え。ええ!?ラム、本当に?」


 ムスは目を丸くする。


「歩き方、少し違う。見た目より重すぎるから、武器持ってるよ。足に隠してるだろうから、ナイフかな」


 部屋の中にいる王宮側の人達が静まりかえる。


「ラム、すごい!コーグ、気づいてたけど、害がないから言わなかった。弱々だったもん」


 コーグがぴょんと跳ねて、キラキラした目でラムをみる。


「可愛い、、」


「うわぁ。こわっ。王宮怖いよ、、。俺、気をつけよう、、」


 コーグを撫でるラムと震えるムス。


「武器携帯を許可した者か確認しよう。協力感謝する。他は?」

 

「呪いを撒かれたら嫌なので、気休めの守護を置いていきます。ギルドに納品している物です。使えると思ったら使ってください。逮捕は任せます。後はお願いします」


 ムスはバッグから魔工品を3つだす。ギルドに収めているもので、効果は長くないが呪いを弾く効果がある。


「わかりました。ありがとうございます。お二人を帰してよろしいですか?」

 

「精霊も他に言うことはないらしい。大丈夫だ」


「では、失礼します」


「お願いします」


 2人は軽く頭を下げて、外へ出る。

 ラムはジールのすれ違い際に魔法で手紙を出して押し付ける。内容は余計なことは兄達に知らせないようにと。




 

 



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