事情聴取
ギルドに捕まえた人達を預けると、中に貴族がいた作戦チームはこれから王宮で事情聴取があるとのことだった。そのため、ギルマスと一緒に『グリザス』も王宮に出向くことになった。ユリアは店があるため、事情聴取は2人に任せて先に戻っている。
王宮に近づくにつれ、石畳の通路に複雑で綺麗な左右対称の模様が彫られていた。
周囲も煌びやかな雰囲気になり、ベルサイユ宮殿のような大きく綺麗で見事な装飾された造りの王宮がみえてくる。キラキラと輝く王宮は立派だ。
その王宮の前にある門は磨かれた黒い石でできており、厳格な雰囲気を醸し出している。
門の前には剣を帯剣した門番が二人いて、王宮に向かう馬車や人を検問している。
門の前に並んでいるのは圧倒的に馬車が多い。そんな中でギルマスが門番に声をかけると、慌てた様子で駆け出す。
「珍しく慌ててる」
(門番は慌てないように訓練されているのに)
「だよね。王宮には来た時があるけど、あんなに慌てないよね。ギルマスは何を言ったのかな?」
「コーグ、証言して早く帰りたい。ラムのスープパスタ楽しみ!」
ムスの頭の上に乗りながら、キラキラとした目でラムをみる。
「コーグ、お前なぁ、、」
ムスはコーグの素直な意見に呆れている。
「うん、早く帰ろうねー」
ラムがコーグを手招きすると、ムスの頭の上から、ラムの腕の中に降りてきた。
「コーグはふわふわだねぇー。いい子だねぇー」
ラムはコーグの頭を撫でて、ふわふわな手触りを楽しむ。
「ふわふわ!コーグは手触りいいよ!」
コーグも嬉しそうに撫でられている。
「えーと、ラム。精霊すき?で、証言って、どうするといいの?」
「精霊大好き。コーグもとっても可愛い。精霊の証言はアステラティーア王国に精霊登録をした人が、他に精霊が見えて聞こえる人と一緒にいる状態で、取り調べ室で精霊が証言をすればいい。後は普通だよ」
(シェーラ元気かなぁ。心配してるだろうけど、連れていけないから)
ラムは仲良くしている光の精霊、ルミニスを頭に浮かべていた。
あの子の名前は自分がつけた。見た目は可愛らしい羊の毛のようなもこもこしている髪の女の子。胴体はひまわり。顔をひまわりの上に乗っている姿でよく、自分の周りを浮いている可愛らしい子。
「げ。俺、登録してない、、」
ムスは目を逸らす。
ラムはムスの信じられない言葉に現実に引き戻された。
「え。わかった。今回は私がするよ。ムスも登録していた方がいいよ?」
(ムスは登録してないのか。問題ありだよ。登録してれば、精霊捜索や精霊癒しの仕事もできるし、なにより王国から保護が受けられる。精霊使いになる特訓も受けられる。メリットが多い)
「面倒くさくて、、」
あはは、と力なく笑う。
「だめだよ。危ないよ。隠したい理由でもあるの?」
「あまり、王宮に関わりたくなくて。政権争い怖いし。俺は綺麗な装飾品を作って売って平和に暮らしたいだけだから」
「うーん」
(ムスは争い事が嫌いって聞いてたけど、物理的な争い事じゃなくて、腹の探り合いみたいなのも嫌いなのかな。商人としてそれは大丈夫なのだろうか。強かでないと取引きは難しいと思うけど)
「ラム。コーグ、質問されたら答えるで大丈夫?」
コーグがラムに声をかける。
「うん、大丈夫。あちらに専門の人を呼んでもらうから」
「わかったー」
コーグはラムの腕の中でパタパタ翼を動かしている。
「おまたせしました。こちらへどうぞ。チームごとに個室になりますので、ご案内いたします」
ラムがムスに何かを言おうとした時にちょうど門番が戻ってきた。
ギルドのメンバーは頷いて門番が案内してくれた受付の人にそれぞれ引き継がれ、王宮へ案内される。
『グリザス』についた人は年の若いメイドだった。
メイドに案内されて、王宮の奥へ奥へと案内されていく。
途中に綺麗な庭や、精霊がふよふよと漂っていたが、ムスとラムは気にしないで進む。コーグは大人しくラムの腕の中にいた。
華やかな場所を過ぎると石畳の寒そうな、寂しい黒1色の部屋に案内された。
そこは中も寒く、部屋は石畳で作られ、中は簡易的な椅子とテーブルがあるだけ。
ここが事情聴取の場所のようだ。
「では、お願いします」
メイドが中にいる厳つい三十代ぐらいの黒いローブを来た魔法使いに礼をする。
「わかりました」
返事をしたのは魔法使い。
中にいるのは2人。1人は戦士。軽装ではあるが佇まいで強いのがわかる。隙なくこちらを見ている。年は二十代ぐらいにみえ、若そうだが金髪は手入れされているのがわかるぐらいツヤがあるので、貴族だろう。
「どうぞ」
促されたため、2人は椅子に座る。
「まず、精霊が見えて聞こえる者を呼んでください。証言はそれからしたいと思います」
「お調べします。お名前を伺いしても?」
魔法使いが聞く。
「ラムです。膝の上にデネブラがいます」
「コーグだよー。この2人は見えないし、聞こえないみたいだねー」
コーグがぴょんぴょんと跳ねるが、2人は見えてないらしく、ラムを見たままだ。
コーグは見えてないとわかると、大人しくラムの膝の上に座った。
「使いを出しました。精霊使いがここに来ますので暫くお待ち下さい」
「はい」
ラムとコーグ、ムスは座ったまま来訪者を待つのだった。




