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生贄聖女とお人好し魔技師  作者: 綴螺
一章 捜索
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交渉相手


 ラムとムスは音をたてないように紙の鳥の後をつけていく。

 紙の鳥が止まり、ムスの肩に戻る。

 辿り着いた部屋は商談をするために大きめで、観葉植物が部屋の隅に飾られている。

 豪華なふわふわの大きめなソファーに、磨かれた大理石の机。左右対面に座っているのは、1人は先程みた太ってる交渉人、もう1人は質の良い黒いジャケットを来た身なりの良い男性。顔つきは普通で、身長は高めで細身の体型。

 ラムはその身なりの良い男性に見覚えがあった。

 

 

「ーーコールビット伯爵」


「え?ラム、知り合い?」


 ラムが呟いた言葉にムスが小声で呼ぶ。


「遠くから少し見かけただけ。闇商売していると噂が流れてたこともある。これは、権力者に手紙か知らせを出して爵位剥奪しないとなくならないよ。どうする?」


(兄さんに頼めば終わらせるのは楽だけど、私が公爵家の人だとバレると困るし、居場所がバレるのは避けたい。でも、何とかしないと)


「ーー貴族は面倒、、。魔技師の知り合いに手紙をだして、領主様に告発してもらうにしても、、。うーん、遅いしなぁ。どーしよう。平民は貴族に手を出せないし、ギルドも荷が重い。セイジさんに任せると教会が睨まれるし、、」


(思ってる以上に大変そう。貴族の爵位剥奪は確かに面倒で確実性がいる)


「そもそも、証拠をもみ消されないようにするにどうしたらいい?証言は採用されるか怪しいから映像を残せばいいのか?」


「本人は生け捕りはするとして、、。現場保存は欲しいと思う。ティーカップで紅茶を飲んでいるから、今、凍らせればティーカップを飲んでる形で固まる」


「凍らせるより、出られなくしたほうがよくない?ほら、助けを求めた瞬間に逮捕して貰えば言い逃れできなそう。とりあえず、眠らせてしまうか?」


「その状況を作り出してもいいけど、ユリアさんは?」


「あ」


「あ?」


 ラムが首を傾げる。

 扉が急に開いた。


「悪いことはやめなさい!大人しく捕まりなさい!!」 


 ユリアが入口の扉から出てきて叫んでいる。


「誰だ、君は!」


「部外者は出ていきなさい」


 周囲が臨戦態勢になっていく。


「ムス?」


 作戦と違うため、ラムがムスを訝しげにみる。


「扉の前で待機っていったのにー。こうなったら、やるしかないよ。あー、もう。母さん、なんで突っ込むの。はぁー。なんで、いつもこうなるの」


 ムスは盛大なため息を吐き出す。


(いつもって、作戦崩壊するのか。ユリアさんにはシンプルに指示しないと駄目なのね)


 苦労しているようなムスの呟きに、これはムスのせいではないと認識した。


「コーグ、仕事する!」


 ムスの頭の上で寛いでいたデネブラがシャキッと起き上がる。

 逃げようとするコールビット伯爵と闇商売のリーダーを椅子に縫い付けて、柱の壁まで持っていった。


「なんだ!?」


「動けない!?」


 2人はジタバタしているが、闇精霊魔法が解けることはない。

 足を前後に動かすだけである。


「主犯確保!スープパスタは貰った!」


 嬉しそうにムスの頭の上で飛び跳ねるデネブラ。


「わぁ」


(このデネブラ強い。勝手にムスの魔力を使って魔法使ってるけど、ムスは気づいてないのかな?)


 チラッとラムがムスをみると


「うげっ。めちゃくちゃじゃん、もう、、。母さん、かたっぱしから殴って蹴ってノックアウトしてるし、、。人質は無事だからいいけど、現場保存できないし、どーするの、これ」


 ムスは遠い目をして現状を見ていた。

 闇商売人はボディーガードを雇っていたが、ユリアに次々にふっ飛ばされている。まぁ、ワイバーンを殴り飛ばしたユリアはこれぐらいは余裕らしく、更生しなさいと言いながら殴っている。


(これは、気づいてないというか、意識してないから無理か。でも、どうやって証拠を確保するかは大切)


「デネブラいるよね、、」


(精霊の証言はここアスティラータ王国では信用性が高い。なぜなら、精霊は嘘をつかないから。しかも、気に入らないことをすると、精霊は攻撃をしてくるし、寄り付かなくなる。しっかりした機関で取り調べをすれば証言になる)


 ラムがムスの頭の上に視線をおくる。

 それに気づいたデネブラがラムの方をみる。


「コーグだよー」


 しかも手をラムに向かって振っている。


「ムス、少し屈んで。後、魔法は解除するね。ほぼ、敵がいないから。後はこの子に証言してもらえば解決するから。そうしよう?」


(ムスはデネブラに気に入られている。きっと、精霊の存在を信じてくれると思うしかない。これをしないと、潰せない。これで疑われたら出ていくしかない)


 ユリアはノックアウトした敵を部屋の隅に蹴り飛ばして整理していた。

 立っている敵は僅かだが、逃げようとする人はユリアに追撃されていて、倒されていくため、危険はないと判断した。


「え?わかった」


 ムスが頷くと同時に魔法を解除する。

 そして、頭の上にいるデネブラを掴む。


「わー。うん?ラム、やっぱり、見えてる!!コーグ、わかるの!?」


 コーグはラムの前で翼をパタパタと動かす。


「うん。協力してくれる?ムスには」


「ムスーー!!ラム、精霊見えてるよー!!これ、終わったら3人で一緒に遊ぼーー!!」


 ラムが言い終える前にムスに話しかける。


「え」


「え」


 2人は固まった。

 ラムは言葉を遮ってデネブラがムスに精霊が見えると伝えたことで。

 ムスはラムが精霊が見えて聞こえるという事実に。

 デネブラだけが嬉しそうに2人の周りを飛び回る。


「ふう。終わったわ!」


 ユリアは椅子に座ったまま柱から動けない2人を最後に気絶させて、満足気に頷いていた。



 



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