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生贄聖女とお人好し魔技師  作者: 綴螺
一章 捜索
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 駆け足でボルドーの絨毯が引かれた廊下を走り抜ける。


「《風の精霊》(ウォームウインド)!」


 眼の前に賊がいれば、すぐさま魔法でなぎ倒しながら、先へ進んでいく。


「娘だ!」


(狙いは女性?)


 賊が声をあげると、ラムに向かって数人が一気に襲いかかってくる。

 剣士が自分の身体を傷つけるより速く、魔法使いもろとも魔法で気絶させる。それを3回ほど繰り返した後、立ち止まる。


「着替えてきた方が、よかったかな、、」


 今夜はまだ春になったばかりで肌寒い。ラムの身体は少し震えている。家の中とはいえ、冷えるのだ。


「アルマ、、大丈夫かな。もう少しで…つくけれど、、」


(思ったより、賊の数が多い。速く合流しなくては。それに、賊の目的が金銭ではないとなると、嫌な予感がする)


 ラムはここにくるまで、廊下に飾られている高級な花瓶や、絵、装飾品が盗まれていないことに気づいていた。

 数十分かけて、アルマの部屋の前に辿り着く。


「アルマ!いる!?」


 扉を思いっきりあけて、部屋に入るとそこには倒れたメイド長がいた。


「シエル!」


 慌てた様子でラムはメイド長に駆け寄って、声をかける。

 部屋はタンスやテーブルにひびが入っており、激しい戦闘があったことがわかる。


「……ラム、、お嬢様」 


 身体を起こそうとすると、腹部から血が流れ、絨毯に染みができる。


「シエル、治療するから動かないで。『傷のない温かな身体、緩やかに元に戻して。《聖の魔法》(リカバリー)』」


 白い光が、初老の彼女を包み込む。傷がある場所に光が徐々に集まり、消える。


「、、思ってるより悪いから、シエルはここで待機してて。傷は治せるけど、体力までは戻らないから。何があったの?」


「……申し訳ありません。力及ばず、アルマお嬢様が連れて行かれました」


「アルマが!?」


 ラムは目を丸くして聞き返す。


「……部屋に着いた時、賊をアルマお嬢様と追い払い、部屋の外にでようとしたところ、大剣を持った者が押しかけてきました。二人で攻撃したのですが、返り討ちにあい、この有様です。かなりの腕です。ギース様と張り合うほどだと思われます」


「返り討ちにあってから、あまり時間は経ってない?」


「……そう、ですね、、」


「追う。せめて、追跡の魔法をかけるまでは」


「お嬢様、危険です!せめて、私も一緒にいきます!」


「駄目よ。安静にしてて。追跡の魔法をかけたら逃げるし、正面からは戦闘しない。私は魔導師。遠距離で見えない場所から攻撃できる。それを活かさない手はないわ」


「ですが!」


「いいえ。私だけで行きます。門から出るはずだから、見張り塔に続く通路から魔法で狙いを定める。私なら射程圏内。大丈夫、うまくやる。待ってて」


「お嬢様!」


 身を翻して部屋を出ていく。シエルはその姿をみつめるだけしかできなかった。


 



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