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生贄聖女とお人好し魔技師  作者: 綴螺
一章 捜索
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報酬


 家が2軒繋がっているぐらい、大きな珍しいシンプルな木造建築の建物の中に3人は入る。

 まだ、朝早いため、人は疎らだ。

 ムスが受け付けで報酬を受け取りにきたというと、そのまま職員に1階の奥に案内された。

 1階の奥は木の椅子と大きめの木のテーブルが置いてあるおおきめな部屋。

 この間、来た部屋と同じだ。

 暫く部屋にあるソファーで座って待っていると、自分の身長と同じくらいの大剣を背中に装備している、筋肉ムキムキの背の高い40代ぐらいの男性、ギルマスが現れた。


「ムス、よくきたな。報酬は準備できてる。ユリさん、今日は情報がきていて、人拐いの根城のような怪しい場所を見つけたらしい。何でも、ボロ家に綺麗な人が入るのをみたと」


「怪しいわね」


 ユリアが怪訝な表情で呟く。


「アルマがいるかも!殲滅しないと!」


 ラムが身を乗り出す。


「ちょ、ちょ、待って。殲滅って、、?」


「情報集めて、眠らせて潜入、証拠掴んだら、縛り縄で家ごと氷漬け」


「え。だめ!だめ!やばいって、それ!」


「どうして?丁寧に解凍すれば、五体満足で普通に暮らせるよ?騎士団に任せたら腕飛ぶよ?行動封じは安全だよ」


 きょとんとした表情でムスに問う。


「そ、そうだけど。家ごとは、、びっくりするし、騒ぎになるからなぁーって、」


「中だけ凍らせればいい?」


(バース領なら騒ぎにならないが、王都は騒ぎになるのか。それは、よくない)


「ーーそういうわけじゃ、、。父さんよりましなだけで、ラムが怖いよう」


 ムスは震えだす。


「?犯罪者を安全にお縄につけれるよ?魔法防御したら場所がわかるから、戦士に任せられる。無理なら、生半可な防御は破壊すればいい。人質をとるつもりなら、《空間魔法》(テレポート)で転移した後、防御を張る、または異常状態にすればいい。締め出せばいいから。人質とった場合は、ただでは帰さない。死なないように丸焼けにする」


「ひぇ、、」


「最近の女性は恐ろしいなぁ。まあ、死なないならいいが。殺生はよくない」


「うわぁぁん。ギルマスが正常だよう。慈悲がないよ、、」


 ムスは半泣き状態である。


「お灸をすえないとつけあがるでしょう?人攫いだめ。氷漬けぐらい普通だよ。大丈夫、食材のように冷凍保存になるだけ!」


(しっかり処罰しないと)


 ラムは真剣な表情で宣言する。


「お説教は必要ね!ギルマス、それ受けるわ。メンバーは?」


「おう、俺もでる。何人か声をかけているが根城が複数あるから、同時にいこうと話している。グリザスが協力してくれるなら、心強い。他は俺、聖騎士が何人か。後はギルドのパーティー2組は決まってる」


「アルマがいそうな場所がいい」


「今のところ、情報はないが」


「なら、1番攻め難い場所がいい。アルマならわざとそこにいく」


(アルマなら、他の人を安全な場所に行くように仕向けるぐらいはする)


「そこを希望するなら、そこに行ってもらう。ユリさんもムスもいいのか?」


「私はどこでもいいわ。ラムちゃんの好きな場所で」


「うぇ!?俺も参加!?」


 ムスが驚いた顔をする。


「ムス、ユリアさんと一緒なら大丈夫だろうしついてこなくても大丈夫だよ」


「コーグ、ついてく!悪いやつ倒す!そして、帰ったらスープパスタ食べる。美味しそうな気配!」


 ムスの頭の上でぼよんぼよん跳ねるデネブラ。やる気満々のよう。

 

(コーグ?って何だろう。自分の名前?)


 精霊が固有名を名乗るのは聞いたことがない。この人懐っこいデネブラは変わっているようだ。しかも、スープパスタを食べたいと主張している。人の食べる物を食べたいと主張するのも聞いたことない。

 ラムは少しだけ疑問を抱くが、精霊は珍しいし、色んな個体がいるだろうと無理やり納得させる。それよりも、デネブラにスープパスタをどうやって食べさせるかの方が問題で、ラムは頭を悩ませる。


(何処かにおく?それとも、皿に何故か持って放置しておく、でも、食べるかわからない。うう、どうしよう)


「ええ!?うーん、気になって仕事が手につかないから、いくよ、、」


 諦めた表情をするムス。


「わーい!」


 デネブラはムスの頭の上で跳ねて、喜んでいる。


「そう?大丈夫?」


(疲れたような表情してるけど、大丈夫かな。ものすごく跳ねてるし。そもそも、好かれ過ぎな気も、する。後、本当にどうやってスープパスタ食べさせればいいのだろうか)


 ラムは少し心配したが、そもそもムスは見えているのかわからないので説明ができない。これだけ、デネブラが張り付いて寛いでいるのを見ていると、視えてないほうがおかしい気もする。見えていれば、簡単に話をつけられる。そうなのだ。簡単な話、本人に精霊が視えるか聞けばいい。それだけで回答は得られる。でも、信じてもらえない場合、変な娘、頭がおかしい、可哀想、そんな目で見られ、家に居づらくなる。そうなったら、困る。せっかく、ユリアさんとは仲良くできそうだし、ムスは優しいし、ペディロさんは良い人だから、この縁を無くしたくない。

 結局、聞けないのだ。悲しいことに。ムスがポロッと何か言ってくれるミラクルが起きたら楽なのに。

 ラムは悲しそうに目を閉じる。


「ただ、急ぎのやつあるから手早くしないといけないけど」


 優しいテノールの声でラムは思考の海から現実に引き戻される。


「よし、氷漬けしよう」


「却下で、、。俺が、魔力当てて魔力酔い起こさせて気絶させます、、。その方が安全」


「それも、酷くない?」


(魔力酔いは魔力が少ない人に魔力の多い人が魔力の塊を思いっきり当てると起きる現象のこと。引き起こす現象は乗り物酔いのように吐き気や目眩が起き、ひどい場合は気絶する。数時間で治るため、問題はないとされている)


「命に別状ないし、家全体に眠らせる魔法かけるよりはいいかなって、、、。魔法対策貫通するし」


「まぁ、、魔力の塊を当ててるだけだから、貫通する。疲れない?力技だし、魔法といわないから」


「まぁ、、。俺はぶつけるだけで、終わるから。氷漬けの方がひどいよ」


「あらー。脱臼させてぽいっもあるわよ?」


 ユリアはにこにこと笑う。


「母さんが入ったら人質取られるからだめ。面倒くさくなる。その前に、母さんは人質を運ぶ役あるから」


「残念」


「作戦は後で決めてくれ。報酬は普通に払う。現金で、3000ラータだ。午後2時頃にギルドに集まってくれ。その時間帯に取り引きしているらしい。取り引き相手も捕まえるつもりだ」


「わかりました」


 ラムとムス、デネブラ、コーグが頷く。


「ワイバーンの報酬だ。皮に肉、骨と牙、さらに鱗だ」


 3人はそれぞれ報酬を確認する。


「わぁー。鱗が7色に光ってる。すっごい綺麗。これは、創作意欲がわく。骨も、大きいし、首周りの太いのに硬くて本当にしなる!すごい!皮も良い素材だー。白いのと緑色。骨は丈夫そうだから、ソーマス喜ぶといいなぁ。翼の骨もある!うわぁー、いっぱい骨あるからたくさん作れる〜。何造ろう。楽しみだなぁー!」


 ムスは目を輝かせて、鱗と骨を触ったりして、素材を確かめる。


「これは、牙はつやつやして綺麗だし、装飾品として合成したら、期待大じゃん。いやー、いいものもらった」


「ラムちゃん、肉貰ったけど、どう?」


 ユリアは良し悪しがわからないので、ラムに肉をみせる。


「鮮やかなピンク。尻尾のが複数ブロックと、腹肉の方かな。筋肉質で硬い場所と脂肪が多い場所。問題ありません。美味しい料理ができます。内蔵が来たら、少し面倒だと思いましたが」


「内蔵は料理店店主がもってったよ。肉は細かい骨と皮は取らないでブロック報酬にした。鱗は欲しいやつがたくさんいたから取った。肉を食べた余りの骨や皮は好きに使うといい。解体はできると踏んだから、解体手間賃を抜きにして多めにした」


「ーーいつ、解体できると思われました?」


(私は料理ができるとは言ったが、解体できるとは言っていない。骨は取り除けるにしても皮は技術がいる)


 ギルマスには話してないと理解しているため、ラムは疑問を投げかける。


「魔法師の口から木端微塵、鱗剥ぎなんかの技名だされたら、誰だって思うさ。しかも、大体の部位の肉は大丈夫だと言われればなぁ。誰か知り合いに腕のたつ剣士がいるだろう?なら、モンスター肉は捌けると思った。できなくても頼むだろうとな。無理なら俺が捌くさ」


「ーーそういうもの?」


 隣りにいるムスにきく。


「うーん、わかんない。俺、頭を使わない時は本当に使ってないし、細かく注意してない。商談や初めての人には注意してるけど。ギルドで生計を立ててないし」


「そうだよね。結論は捌けますので、ありがとうございます」


(ギルドの統括の人だし、言動や性格、発言にも細かくチェックしているのかもしれない。気をつけよう)


 ラムは頭を下げつつ、発言には気をつけようと思った。


「さあて、荷物が増えるわね!良い物を貰ったし、帰りましょ!お肉が悪くなる前に」


 ユリアは肉類をしっかり別な買い物袋に入れ、ムスも装飾品に使うものはしっかりと別な買い物袋にいれた。荷物は3つになった。


「じゃあ、ギルマス後でね。お邪魔しました!」


「おう!待ってるからな!」


 ユリアの掛け声と共にムスとラムは頭を下げて部屋を出ていく。

 3人はそのまま家に帰るのだった。



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