帰宅
ムス、肩で跳ねるデネブラ、ラム、ユリアはダーラスに帰宅した。
「父さん、ただいまー!」
「ただいま、ペディロ」
「ただいま戻りました」
「戻った〜!」
「おかえりなさい」
3人が1階の客間、中央の赤茶色のテーブルを囲む、椅子が4つあるティータイム部屋に向かう。ペディロはその部屋にいた。
「ムス、ギルドは無事に?」
「うん。報酬は明日の朝に取りに行くことにしたよ。狙いの品物は貰えるだろうって。ついでにラムをギルドに登録してきた。その方が安全だと思ったから。うちの預かりだからすんなりいったよ」
「そうか。ラムさん、これでギルド依頼を受けれるし、身分証明書に使える。ここにいる間は使えるから使いなさい。受けたい依頼があるなら、ユリアと一緒に肩慣らしにいくといい」
「はい。ありがとうございます」
ラムは頭を下げる。
「ムス、検問でラムさんを通した時の書類が今回の騒動で駄目にしたとラーズから連絡がきた。2人で行ってきなさい」
「はーい。ラム、行ける?」
「普通に歩けるから、大丈夫」
その返事をきいたムスは財布を取りに2階へいく。
「私が背負っていくわ。疲れたでしょう?」
「ユリアは店番だ。流石に閉めっぱなしは駄目だ。残ってくれ」
「あーーー。そうね。残念」
「後は着替えてくれ。それだと、客が驚く」
「まぁ!そんなことないわ」
「着替えてくれ。完全に戦闘用だと、店の雰囲気に合わない。ワンピースの方がいい」
「!ワンピースに着替えてくるわ!」
ユリアはペディロのワンピースの方がいいという言葉に反応して、すぐに2階にいく。
「うわぁー、父さん策士。ラム、今のうちにいこ」
戻ってきたムスが、呆れ、諦めのような微妙な表情をする。
「行こう〜」
デネブラがムスの頭の上に乗って翼をパタパタさせながら、言葉を話している。
「?うん。策士?」
(デネブラは可愛いけど無視)
ラムは必死にデネブラを視界に入れないようにしながら聞き直す。
「母さん、父さんにベタ惚れだから。ワンピースの方がいいなんて言われたら、すぐ脱ぐよ」
「なるほど」
「で、抱き着くまでセットだから、今のうちにいかないと」
「?」
(悪いことなのかな)
ラムはよくわからなかった。
「あー、わからないならいいよ。息子に両親のイチャイチャシーン見せるなってこと。いこう」
(イチャイチャシーンって何だろう。とりあえず、ムスは見たくないみたい)
「うん」
ラムはゆっくりムスの後ろをついて行って、外に出る。
「あ。街の案内してないよね。通り道で良ければ説明するよ。この辺は商店街で、商売している店が多い。隣が化粧品専門と眼鏡専門店で、服が反対側の方。スーツやドレス専門店、軽装系、ファッション目的、ちょっとした防具系、後は下着類とか。反対側歩いてれば服は一通り揃うよ。逆に服の反対側はアクセサリーとか、革専門店、鞄専門店とか身に着ける小物系の店でまとまってる。この通りは着飾る系。飲食店と宿泊施設は外側で、中心部に市場があるよ」
「なるほど。門番は西側の方?」
「そう。危ないし、手を繋いでいこう」
「え?」
「だって、人攫いだよ?脇からあっという間に来られたら防げないもん。射線があるしね」
ムスが左手を差し出す。
「で、でも」
(手を繋ぐ。手を。エスコートみたいなものだけど。繋いで歩く。したことない)
左手を見つめたままラムは戸惑う。
「俺、効かないから大丈夫だし!」
「う、うん。じゃあ」
(勘違いされてる。異性と手を繋いだことなくて、戸惑ってるだけなのに)
ラムはおずおずと右手を出すと、ムスが握る。
「じゃあ、行こう!変なやつはワイバーン騒ぎでいないとは思うけど、索敵はしとくから」
笑顔をみせるムス。
「みょーん」
デネブラはムスの肩まで落ちてきて、コロコロと転がる。完全に寛いでいる。
時折、耳がピコピコと動いている。
「うん。私も警戒はしておく」
(ゴツゴツしてる。ペンだこもあるし、皮が厚くて仕事をしている手。男性の手はこんな感じなのかな)
「歩くスピード速かったら言ってね。怪我してるし、歩き辛いだろうから。そうそう、ラーズには世話になってるから、手土産買うから製菓店による」
「製菓店、、?」
「うん。美味しい店。あ、何か欲しいなら買ってく?クッキーあるけどさ」
「ーーいいの?」
「美味しいからね。お茶請けに!それぐらいなら大丈夫。見て、食べたいのあったら言ってね」
「うん!」
2人は仲良く通りを歩いて行くのだった。




