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生贄聖女とお人好し魔技師  作者: 綴螺
一章 捜索
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ワイバーン


火曜日に投稿順番を間違えました。すみません。これは、土曜日投稿の後の話になります。


ーーー3人はワイバーンの近くまできたーーー


「うわぁ~、でっかい」

 

 ムスがワイバーンの大きさに驚いている。ワイバーンの標準的な大きさは家1軒ぐらい。モンスターの中ではオーガと並ぶ大きさ。

 ムスの肩に闇精霊のデネブラは転がっている。ワイバーンを見ると、転がるのをやめて肩にお行儀よく座っている。


「首の骨は細そうね!折ったら楽そう」


 身体は蜥蜴、蝙蝠のような翼は大きい。首はブレスを吐くために細いので弱点なのは間違っていない。


「ユリアさん、金属みたいに硬いですよ」


「あら。〈骨砕き〉使えばいけるかしら」


「も、持っててそこそこ使いこなしているなら、いけます」


(〈骨砕き〉は硬いものを砕く技能の技でドラゴンにも通用するレベル。熟練者になれば、砕く場所まで指定できる便利な技。ギース兄とアルマも持っていて、強い戦士には必要な技能といわれている。習得には手間がかかるが見返りも大きい)


 さらっと強力な技をだされ、ラムは驚きながら頷く。


「なら、問題ないわね!あなた達ー!加勢しにきたわよー!」


 ユリアは下で魔法を使っているパーティーに手を振りながら声をかける。

 戦士が何名かいるらしく、魔法使いを護っているようだ。


「その声はユリアさんかー!ムスもいるのかー?助かるー!弓兵は門前にいるゴブリン達の迎撃で出払っていていない!撃ち落とせるなら頼みたいー!魔法使いは、結界の修復と足止めで精一杯で戦力も足りない!戦士が今、飛び技を使ってるが刃が通らない。落とせたら、倒せそうだー」


「あら。そんな状況みたいよ。ラムちゃん、ムス、落とせる?」


「問題ないです。あまり、強い個体ではなさそうですし」


 ラムが頷く。


「ラム、寒冷地から来てないみたいだし、氷魔法でよさそうだよ。〈見破り〉でみたけど、変な魔法が皮膚や生まれつきかかってない。大丈夫そう」


 ムスも頷く。


「じゃあ、私が地面に向かってキックすれば突き落せるわね!空間は大丈夫かしら?」


 門に近いので通路は比較的に大きい。だが、城下町は家が連なる場所。家と家の距離が近いので、ワイバーンが入るスペースはない。

 落としたら近い家が壊れそうだった。


「圧縮使わないと被害が」


「なら、俺がやるよ。弾もあるし、詰替えしないで続けて別の弾も装填できるから。維持もあるだろ?たくさん、状態異常の弾は持ってるから安心して。魔法耐性低いのはわかったから」


 ムスは弾丸を入れ替えて、一番最初だけ《物質の魔法》(スモール)に変えた。


「じゃあ、お願いするね」


「任せとけ!」


(ムスって、弓兵+魔法師みたいな感じか。だと、索敵しながら遠距離から高火力叩き出せるとしたらかなり強い。上にデネブラもいるし。見えてたら強いのに)


 相変わらず、闇精霊のデネブラはムスの側にいる。お気に入りなのは明らかだ。


「よし、撃ち込むからよろしく!」


 ムスは下に向けてブレスを吐こうとしているワイバーンの腹を狙う。


 パァン!


 高い音が響き、ワイバーンの腹に命中。 

 命中と同時にワイバーンに近づくためにムスは走り出す。

 ワイバーンは音が響いた瞬間にこちらを睨む。こちらをみたのだが、次の瞬間。

 身体が半分に縮んだ。


「ガァァァアアアア?」


 ワイバーンが驚いている隙にユリアはワイバーンに屋根を使って近づいていく。


「凍てつく氷の嵐、凍える口吻を。《氷の精霊》(アイスストーム)」


 ラムの氷が魔法がワイバーンの左翼を


「そこ!」


 動揺しているワイバーンの右翼をムスの銃弾が狙う。

 2人共、ワイバーンに攻撃が当たり、翼に当たった場所から氷が広がっていく。

 

「ガァァァアアアア!」


 ワイバーンが準備が整ったブレスを一番近い距離のユリアに吐こうとするが


「あら。ブレスは下に吐きなさいな」


「え。わっ!」


 ユリアはワイバーンの高度が氷の影響で下がってきていて、屋根より下になった瞬間を見逃さなかった。

 ユリアは屋根を蹴った。

 ワイバーンより高い位置に跳んで、首めがけて踵落としを決める。


「グゥェアアアア」


 衝撃で頭が下に下がった。ブレスは下に吐かれた。いや、正しくは吐くしかなかった。

 下の方は盾をしっかりと構えた聖騎士がそこにいた。


「悪いが、防がせてもらう!」


 聖女の加護をうけた盾が大きくなり、盾を中心に街を囲む。ブレスは空中で飛散した。

 翼は完全に凍りつき、飛べなくなったワイバーンは地面に落ちた。

 その上にユリアも落ちていく。

 ただし、ユリアは〈骨砕き〉を構えて左手で着地すると同時にワイバーンの腹に打ち込んだ。


 ゴキッ!


 骨が砕ける聴こえたらやばい音が響く。


「ーーっと!砕いたわ!でも、手も痛い!着地は足ですればよかったわ」


 左手をひらひらとさせて、ラムを抱えたまま地面に降りた。

 ううっと泣きそうな顔になるユリア。


「みんな、ユリアさんに続けー!」


 下にいた戦士がワイバーンに切り込みに入る。


「アアアアア!」


 尻尾を動かそうとしたワイバーンは動けずに苦しんでいる。


「尻尾もだめな。ラムー!まだ、どっか封じた方がいい?」


 ムスは上から落ちていく最中に《氷の精霊》(アイスストーム)を込めた弾を手足と尻尾に撃ち込んでいた。

 下に落ちた頃には全て凍りついて動かせなくなっていた。

 最早、ワイバーンが動かせる部位は頭と首だけ。


(ムスは落ちていくワイバーンに軽々と当てて、動きを封じたのか。これだとワイバーンの武器はブレスしかない。ただ、戦士達が攻撃しているので吐く時間はないだろう)


「もう、下の人達で討伐できるから大丈夫!」


「了解ー!じゃあ、後は何もしない。よろしくお願いしますー!」


「任せろー!」


 ムスが下の戦士達に手を振る。

 すると軽く戦士達は手を上にあげて合図した。


「ユリアさん、下ろしてもらって大丈夫です」


 ラムはずっと抱えて貰っているので、ユリアに申し訳なさそう言うと


「私は抱えたままがいいわ。まだ、魔法を使っているでしょう?今日の私はラムちゃんの足だもの」


 ユリアはにこにこと笑いながら、ラムを抱きしめる。


「いいのですか?」


「もちろん!」


 満面の笑み。

 ラムはユリアに甘えることにした。


「ありがとうございます」


「うわぁーーー!みんな、門外から火の玉が!!真っ白いワイバーンがきてる!!ブレスがこっちにくるから逃げろーーー!魔法防御貫通ついてるから、俺じゃ全体無理だー!」


 ムスの叫び声が上から聞こえた。

 



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