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生贄聖女とお人好し魔技師  作者: 綴螺
一章 捜索
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うさぎのストラップ

申し訳ありません。日付を勘違いしました。本日投稿します。


「お待たせ!」


 ムスは客間を出たかと思うとすぐに戻ってきた。

 手の平にはつぶらな黒い目の可愛らしいうさぎが花束を持っていた。

 上には鞄や財布につけられるように、キーホルダーになっている。脇には落とした時にわかるよう、鈴までついている。


「可愛いね」


 精巧に可愛らしさを追求したうさぎはとても可愛らしい。花束もカラフルで丁寧にレース糸で編まれていた。


「本当に!?よかった。あげるよ」


「え?」


 ラムがびっくりしている間にラムの手にうさぎを載せた。


「え?ええ!?で、でも」


「いいから。悪夢、見てたんだろ?お守りだよ、お守り。悪夢よけ」 


「悪夢よけ、、って」


 うさぎのキーホルダーからぽわっと小さな光がでてくる。

 それは祝福が刻まれている物の証。光が小さいので、小さな魔力しかないが、立派な魔工品。


「ま、魔工品だよ、これ!?こんな高価なのもらえないよ」


 ラムが慌てだすとムスが首を傾げる。


「力が弱いから四つ葉のクローバー並の祝福しかないよ。本格的な魔工品として造ってないし。悪夢よけぐらいにしかならない。店に売ってるアクセサリーの見本品だし、値段つかないやつだもん。あげる」


「値段つかないって、、、」


(私からみるとかなり価値があるものだけど、魔技師の感覚的にこれは値段がつかないの?)


「店に出してるやつは全部これぐらいの加護はつけて出してるよ。身につけると“幸せが訪れる装飾品”としてね。他の店と比べられるから、ちょっとしたファッション+αみたいなやつで安く出してるから」


「けっこう、力あるような、、」


(悪夢を弾く効果って魔法的に何を刻むのか疑問だけど、そこまで弱くないような)


「もし、俺が本気で魔工品造るなら依頼者の値段にもよるけど、オーダーメイドでしか受けない。まず、刻むのは強力な防御魔法、認識阻害魔法、強度強化、回復魔法、追跡、相手に幻覚、目眩まし。他は場合にもよるけど、空間魔法、攻撃魔法はつけるが?」


 ラムはムスの回答に目を見開く。


「つ、つけすぎじゃない?」


(魔工品一つに何個の魔法を詰め込むのか。普通は3つぐらいなのに、最低5つは刻む口ぶり)


「えーー?防御魔法だけじゃ解除されたら、その人どうなる?危険だろう?発動したら、阻害かけて、発動した魔法強化して、相手を戦闘不能にした方が安全だろ?魔工品は力がない人が持つのがほとんどだから」


「それは最もだけど、高くなったら買える人は限定されちゃうよ」


(魔工品は刻む魔法の種類によっても値段がかわる。石によってもどれだけ魔力を溜められるかもあるため、つければつけるほど石もいるし、値段もかかる)


 ラムはそう言うと、ムスは首をふる。


「それは、宝石で造るから高価になる。はっきりいって、外側に見えないように小さな宝石や石を何個かいれても簡単に造れるよ。規格外とか失敗したやつとかかけた破片とか貰ってさ。仕入先に言えばそんな高くない。それに、石じゃなくてもいいし。糸でもガラスでも、人口物でも。石が効率よく魔力が定着するだけで、他に込められないわけじゃない。まあ、難しくなるから技術料が上がるけど。宝石より安いよ」


「そうなの?じゃあ、極端な話、土やモンスターの牙や骨なんかでもいいの?」

 

「いけるよ。でも、土は固めないと陣と印が崩れるから器と蓋がいる。後は土は一番効率悪いから収支マイナスになるからしないけど。モンスターの素材は痺れとか毒とか素材自体に特殊効果があるのは無理。魔法定着の阻害になって、思うような効果がでない。それ以外ならできる。要は何で造るかで値段はかなり変わるから気にしなくていいよ」


「へぇー。いいこときいた」


(魔工品は魔力を込められた品と説明されたのはそういう仕組みだからだろう。そして、ムスは腕がいいらしい)


「まぁ、魔技師で糸とかガラスで造るやつは少ないだろうけど。やっぱり、魔工品は高級品のイメージが強いから。俺みたいに市民向けに魔工品を造って売るやつが何人いるか」


「じゃあ、これは貰うね」  


 高くないとわかるとうさぎをいそいそとポケットにしまう。

 

(後でネックレスの脇につけよう。昨日は大変でネックレス取りにいかなかったけど、あれはつけてないと危ない)


「そうしてくれ」


 大事にラムがうさぎをしまったことに安心して笑顔を向けるムス。


「ムス、妹が見つかったら私が依頼したら何か作ってくれる?」


「いいよ。でも、他に依頼があるからすぐには無理だけど」


「本当に?なら、骨でお揃いの髪留めほしい!結婚式につけるの。骨は軽くて丈夫だし、軽いし、綺麗だから。私も髪はもともと長いし」


「いいけど、、結婚式につけるなら、殺生系は縁起悪いよ?違うやつで作ろうか?」


「あ、、。なら違うのでもいいけど、重いのはいや。ゴテゴテきらい、、」


(もう、金銀で装飾されたティアラ、ごてごてついた宝石ペンダント、イヤリング。さらに、腕輪。重くて重くて、綺麗なのはいいが、肩が凝って嫌になる)


 暗い表情でラムが呟く。


「嫌いって、、。軽い素材ねぇ、、。木をベースに宝石でもつけようか?小さな宝石持ってくるぐらい稼ぎは悪くないだろ?」


「木」


「檜を加工して、宝石ちりばめて、とか。いい香りもする。まあ、見目がよくて軽くすればいいんだろ?真珠辺りも軽いから、その辺狙えば比較的軽くなるし」


「軽い?」


「金属よりはね。まあ、その時に決めようか。新しい新素材が出るかもしれない。鉱山で新種の宝石がでたり、ガラスもいい質、プラチナが安くなる確率だってある。軽いやつがいいなら軽量化するよ」


「軽い、奇麗、豪華!これなら、兄さん達も納得するはず、、!」


 ムスはラムの言葉に苦笑する。


「速く妹さんが見つかるように協力するから、無理は駄目だからな?そろそろご飯だろうし、大人しく座ってよう」


「うん!」


 ラムは紅茶がそろそろいい時間だとわかったので、ティーカップに注ぐ。

 ふわりといい香りが充満して、2人は紅茶を飲みながら朝ご飯の時間を待つのだった。



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