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生贄聖女とお人好し魔技師  作者: 綴螺
一章 捜索
21/114


ーーーラムが目を覚ますと、ベッドではなく、四人でお茶をしたテーブルだったーーー



 中央の赤茶色のテーブルを囲む、椅子が4つ。その一つに毛布をかけられてラムは座っていた。


「あれ?私、上で寝たはずなのに」


 ラムはキョロキョロと周囲を見渡すが昨日、記憶している風景と変わらない。


「ユリアさんーー?」


 声を出してみるが、返事はない。部屋から見える位置にユリアはいない。

 少し悩んだが、ラムは動けそうなので、ゆっくりと椅子から立ち上がる。

 傷口は塞がっている。薬草の手当がよかったようで、激しく動かなければ大丈夫だとラムは判断した。

 耳を澄ますと台所の方から音がする。

 傷口に触らないようにゆっくりと台所まで歩くと、長い金髪を後にまとめたポニーテールに花柄の白いワンピースが見えた。


「ユリアさん?」


「ふんふふーん。今日は〜、あ、ラムちゃん!歩いて大丈夫なの!?」


 鼻歌を歌いながら、フライパンで目玉焼きを焼いている。

 慌てて振り返ると寝ていたはずのラムが後にいたため、驚いてユリアは駆け寄る。


「ゆっくりなら。でも、外を歩くのはやめておきます」


(走り回ったり戦闘したりはまだきつい。外は危険らしいので、大人しくしていよう)


 ユリアの問にラムは頷く。


「まあ。手当がよかったのかしら。良い知らせね!あ、でも、寝床が変わったせいで起こしちゃったかしら。心配だから運んできたのよ。襲われたらすぐに撃退するために」


「私は元々、今の時間帯に水やりするために早起きなので、気になさらないでください」


「そうなの。あ、まだ寝てていいわよ。私は食事の用意をしてるの。ムスは買い出しに行ってるから、そろそろ戻ってくるし、聞きたいこともあるって言ってたから、戻ってきたら呼ぶわ」


(なんとなく、焦げ臭い臭いがする)


「私、居間にいます。座っています。ユリアさん、焦げてないですか?」


「わかったわ。ーーえ?きゃーーーー!焦げてる〜〜!やっちゃった」


 ユリアが振り返った時には目玉焼きは焦げてしまっていた。


「私も手伝います」


 ラムが台所に近づこうとすると


「いえ!ラムちゃんは居間に!力仕事になるから、怪我がひらいたら大変よ!」


「ですが」


「ラムちゃん、気持ちだけでいいから。手持ち無沙汰ならティーカップとティーポットを温めてもらってもいい?入れてもらってもいいわ。魔法使えるなら、その場でできるでしょう?」


「ーー!やります!」


(紅茶がいれられる)


 紅茶やお茶等の飲み物が大好きなラムは目を輝かせる。


「お願いするわ!」


「はい!」


 ラムはゆっくりと居間に戻る。

 ラムは部屋に戻ると椅子に座る。

 中が見える棚に可愛らしい花柄のティーポットにティーカップがあるのがみえる。


(少し熱めの風で)


「穏やかな陽風、空へ花を舞い上がらせて。《風の精霊》(ウォームウインド)」


 棚の扉をあけ、花柄のティーポットと花柄のティーカップ4つを運ぶ。

 ふよふよ浮いているポットとカップは風によって温められていく。


「アッサム、アッサムはどれかな?」


(昨日、ミルクを開けたはずだからミルクティーにしたい。だから、アッサムがいいはず。穏やかな香りだし、朝にはぴったり)


 棚の中からアッサムとかかれた瓶を発見する。

 ラムは《風の精霊》(ウォームウインド)でアッサムの瓶をテーブルまで持ってくる。

 ついでにティーソーサーも運び、テーブルにおく。

 ティーソーサーを4つ並べる。

 浮かせていたティーカップとティーポットをテーブルに下ろして魔法を解除する。

 手でコツコツと触りながら、ティーポットが温められたことを確認したのでアッサムの茶葉を4人分いれる。

 お湯を注ごうとしたら、この場にないことに気づく。


「あ、お湯、、」


(魔法で出せるけど、せっかくだからティーポットに注ぎたい)


 ラムがゆっくりとティーポットを抱えて、台所に歩きだそうと立ち上がる。

 

「ラムちゃん、お湯よー」


 ユリアがやかんを居間に持ってきた。


「ユリアさん!」


「あら、ちょうどよかったかしら。下に置いてね、熱いわよ」


 ラムはティーポットをテーブルに置いて、蓋を開ける。

 ユリアはティーポットにお湯を注ぐ。


「はい。蒸らし時間は任せるわね」


 ラムがユリアの言葉に頷く。


「ただいまー!」


 そんな時にムスが玄関から帰ってきた。


「「おかえりなさい」」


 2人は返事を返す。


「ムス、ラムちゃん、もう起きて居間にいるから」


「本当に!?今からいくからまっててくれ!食材もたくさん買ってきたし、これですきな料理作れればいいけど」


 元気な声が響き、食材を抱えたまま居間にくる。

 ムスはティー食器達を傷つけないように脇に買い物袋をおいて食材を取り出す。

 卵、玉ねぎ、人参、鶏肉、羊肉、ホルモン、レモン、はちみつ、砂糖、塩、レモングラス、お米、小麦粉、牛乳を買ってきた。


「わぁ、、いっぱいある」


「甘い物は買ってきたら怒られるからからやめた。ハーブも苦手だとなぁってそんなに。甘い物はジャムだらけだから」


「随分、買ってきたわね。明日は行かなくていい感じね」


「甘い物、、ジャム!ブルーベリー、苺、みかんにレモンある?たっぷりいれたら美味しい。あま~い幸せが広がる」


 ジャムを作るほど甘い物が好きなラムはジャムの種類を言う。


「もちろんーー!ジャムはたくさん作って、山程かけなきゃ。母さん、ラムも甘い物好きだよ!!ほら、今すぐフルーツ買わなきゃ!」


 すかさず、ムスはユリアに畳み掛ける。


「お昼はパンケーキに、はちみつたっぷり

。とっても甘くておいしい」


 ラムはムスの言葉に頷く。

 二人が真剣にユリアの方をみる。


「ムス、貴方、本当に病気になるからやめなさい。甘いのは一日一回。お茶の時だけにしなさい」


「ぐ。ガードがかたい」


「兄さん達と同じこと言われた」


 2人はユリアに甘い物をたくさん摂取できる機会を阻まれる。


「健康が一番よ。長生きして甘い物、長ーく食べたいでしょう?だから、ほどほどにしなさい」


「はーい」


「わかりました」


 2人は頷く。


「この食材だと全部大丈夫。特に羊肉とレモングラスの香草焼きは好き。でも、よく見るとモンスター肉ないね。ウルフボアとかオーガとか。こっちは羊肉より高いの?」


 ユリアはモンスター肉ときいて固まる。


「あーー、母さんが捌けないから買ってこない。それに、安くないよ。こっちはモンスターがそこまで生息してないから」


「そうなの。バース領だと、そっちの方が安いからたくさんあるけど。特にウルフボアは毛皮はさらさらで売れるし、肉はもちもちでおいしいのに。その場で解体しちゃえば臭くないし、氷漬けして運べば後から捌ける」


「、、、ラム、もしかして野営バリバリできる?しかも、狩りしながら移動するのか?」 


「野営できるよ。王都に来る時は狩りよりは撃退しながら来るよ。一週間、馬車に揺られながら保存食だけの食事でも我慢できるけど、大抵モンスターに襲われるから。襲われた中で美味しいやつは保存して運ぶ。もったいないから、後で捌いて皆で食べるよ。だから、バース領では業者さんはモンスターがでたら中の人に狩るか逃げるか聞かれる。商人がいると、戦闘終了時に肉や毛皮が保存できて持ち運べる場合は、交渉が入る。お金も食事も豪華になって一石二鳥だよ」

 

(ガーディソード公爵家の馬車を狙ったモンスターは悲惨な末路を辿る。強い場合はダース兄で黒焦げに、弱い場合はギース兄が肉と毛皮を意識し解体しやすいように関節切りで撃退するから、戦闘終了時には血抜きと細かくするしか作業がない。保存は私が氷漬けして小さくする。解凍する時に私が戻してダース兄がこんがり焼いて、粉砕はアルマがしてくれる。料理はルー姉がする。王都につくまで何故かパーティー状態のお肉の量に毎回なる。それは、言わないでおこう)


 ラムは家族で王都に行くときに撃退したモンスター数は異常で、肉の量も異常だと気づいているので、言わなかった。


「普通なのか、、、。うーん、バース領に徒歩で行くけど、馬車に乗ったことなかったからなぁ。そんなことになるのか。今度は馬車に乗るかな。戦闘に出れば食事代うくなら安全も速さもあるし、いいかも」


「徒歩だとモンスターに襲われない?」


(寒いのに、よく徒歩で)


 ラムは目を丸くする。


「遭遇しないように行った。普通に着いたら、門番の人が親切にしてくれてどんな道を通ったか聞かれた。もし、引っ越しなさるなら歓迎しますと名刺交換までしたし」


「バース領でモンスターに合わないのは難しいから、すごい人がきたって思われたと思うよ。名刺は取っとくといい。おそらく、何かあれば好待遇で領主様に口利きしてくれるよ」

 

「え!?そ、そんなことなってるの!?」


「うん。門番で名前確認するでしょう?有能な人が次に来たら歓迎するよう良い宿と安くて美味しい食事に、割引券を渡すの。滞在時間が長ければ嬉しいから。何日か滞在するならば、有事の際に戦闘に協力してくれるか聞かれるよ。ムスの技量的に足止めに絶大効果。協力要請を受けてくれるなら、お金貰えるし」


「バース領、こわ、、。ラム、詳しいな」


「噂があるからね。領主様はそうして人を集めてるって」


(あまり詳しすぎるとバレるかもしれない。本当は名刺交換した次の日には領主の耳にその人物の名前が知れ渡るのだけど、言ったらひっくり返りそうだから言わないでおこう)


「なるほど、、、。あ、忘れる前に。ラム、可愛いの好き?」


「可愛いの?アクセサリーみたいなのは好きだよ」


(急にどうしたのだろう)


 疑問に思いながらも頷く。


「なら、よかった。持ってくるから待ってて。母さん、固まってないで荷物を冷蔵庫にいれて」


「はっ!あ、、あら。ごめんなさいね。直ぐに入れるわ!」


 やっと我に返ったユリアは荷物を持って台所の方へ向かう。

 ラムはムスに言われた通り、椅子に座って待つ。



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