ティータイム
ーー数十分後ーーー
「ごめんなさい!ケーキをひっくり返しちゃって。慌てて2次被害が。片付けてたら、時間経っちゃったの。とりあえず、ショートケーキとチョコレートケーキが無事!好きな方を、いや、どっちも食べる?」
謝りながら、ユリアがケーキを運んできた。
後ろからペディロがティーカップをおく。そして、ティーポットからティーカップに紅茶をそそぐ。薫りはアールグレイだ。柑橘系のいい薫りが広がる。
ペディロは手際よく、3人分紅茶を注いで目の前におく。
ラムは紅茶もお菓子もケーキも大好きなので嬉しそうに頷く。
「甘い方がいいです。いただきます!」
ティーカップを持ち上げて、紅茶を一口飲む。
芳醇な薫りが広がり、自然に頬が綻ぶ。
「おいしいー」
「甘い方はわからないから、両方どうぞ」
ユリアは大きく2つ切り分ける。ラムが甘党なのは先程のレモネードでわかっているからだ。
「ありがとうございます!」
(わーい。2つだ。家だと怒られるけど、今日だけならいいだろう)
嬉しそうにケーキを口に含む。甘い生クリームに苺の酸味が広がり、とても美味しい。紅茶とよくある。
「ペディロは?」
「ショートケーキでいい。ユリア、次からラムさんには一つだ。甘い物のとり過ぎは身体によくない。毎日ティータイムするかわりに、一つにしないと。体型が変わったら大変だ」
「今日だけなの、、」
(兄さん達と同じこと言われてしまった。ペディロさんは心配性みたい)
少しだけしょんぼりする。
「わかったわ。ラムちゃん、がっかりしないで。美味しいの買ってくるから。私はチョコレートケーキをとるわ。後はしまっておくわね」
ユリアがケーキを冷蔵庫にしまう。
「ラムちゃん、ラムちゃん、美味しい?」
ユリアが戻ると、ラムの隣に座る。
「はい!」
頷きながら、味わうようにケーキを食べ進めている。チョコレートの香りと苦み、さらにビターなスポンジが美味しく、ゆっくりとラムは食べている。
「あ、治るまで何もしないのは、申し訳ないので何かします。魔力補充なら余裕ですから。働かないと」
お世話になりすぎるのはよくないと、ラムが真剣に発言する。
「いや、怪我を治すのに専念してくれ。無理して働かなくていい」
「ですが」
「ペディロがいいって言うならいいのよ。それに、思ってるより怪我は酷いわ。怪我が治ってからありがたく、働いてもらうから。ラムちゃん、何ができる?」
ラムの頭を撫でて可愛がるユリア。
「炊事洗濯はほぼできます。他は魔法系なら補充も簡単です。後は簡単な縫い物ができるぐらいです」
(私は公爵令嬢だけど野宿ぐらいは普通にする。一般家庭の料理は問題ないはず)
「料理!」
ユリアが目を輝かせる。
「私はユリアの料理でいい」
ペディロが紅茶を飲みながら静かに呟く。
「ペディロ、嬉しいけどレパートリーが少ないのよね、私。しかも、女の子と一緒に台所に経つのは私の夢だったの!ムスはまだ結婚しないし、、相手もいないし、、。ラムちゃん、私に料理教えて!王都で生まれたわけじゃないのでしょう?地方には名物料理があるじゃない。知りたいわ!」
ユリアは子供のようにはしゃいでいる。
「私はよくジャムやお菓子は作りますが、料理上手ではないですよ?」
(精霊がお菓子は喜ぶのでよく作る。ジャムは大好きだからだ)
期待されても困るので、真実を伝える。
「まぁ。ムスが喜びそう!いいのよ、レシピだけでもしれれば。一緒に料理しましょう?」
(ムスは甘党。覚えた。ペディロさんは恐らく普通で、ユリアさんは甘いのが好きぐらいな気がする)
ケーキの食べ進み具合でなんとなく、ラムは味覚を予想する。
「私でよければ」
「わっ!やったあ!新しい料理が増える!しかも、可愛らしい女性のラムちゃんと一緒に台所に!嬉しい!」
ユリアは満面の笑みを浮かべながら、ケーキを食べ、紅茶をのむ。
「ラムさん、無理しなくていいから」
「大丈夫です。ただ、あの、料理でいいのですか?」
「怪我が治ってから軽く運動するにはいいだろう。ユリア、無理はさせるなよ」
「はい」
ユリアが頷くと
「ただいまー!!」
玄関から元気な声が響く。




