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生贄聖女とお人好し魔技師  作者: 綴螺
お迎えの時間
101/114

星夜祭前日8

 10階の部屋に案内され扉の前で止まる。


「認証しますので、お二人とも手をお出しください」


「はい」


「わかりました」


「魔法認証開始」


 案内の兵士が棒読みで扉にそう声をかける。

 すると白い光が二人の手に包まれる。


(声に対する魔法発動か。最初から準備されていて、認証だけ後付と)


 光が収束し、何もなかったように元通りになった。


「これで認証されました。二人だけ自由に部屋を出入りできます。私はご覧の通り開けられません。二人共開けてみてください」


 案内の兵士が扉に手をかけるが全く開く様子はない。

 代わりにムスが扉に手をかけると簡単に開いた。


「すごっ、、」


「人をお招きはできますが、必ず先に扉を開けてください。二回手を出して開けようとすると警備の者に連絡がいき、様子を見に来る仕組みになっています。そのまま連行もありますので注意してください」


「わかりました」


「はい」


「では、お二人とも中へ。軽い説明をさせて頂きます」


 三人は部屋の中へ入る。


「まず、棚にある紅茶茶葉はお好きな物をお使いください。3階ロビーにはお酒やジュース、紅茶、お茶、軽食等もございます。そちらもお好きに食べお飲みになってください。お風呂は備え付きの物と露天風呂があります。お好きな方をお使いください。テラスから庭を一望できます。星空も綺麗に見えますので是非ご覧になってください。料理はメイドに申し付ければ、ルームサービスとして運ぶこともでします。メニューは毎日テーブルに置いていきますので、お好きなのを好きなだけご注文ください。食事は召し上がる2時間前まで、夜七時まで注文を受け付けています。それ以降は舞踏会の隣にバイキング式で食事が用意されています。好きな物をお取りになり、召し上がってください。他にわからないことがあれば、側にいる兵士かメイドにお申し付けください」


 手を示しながら、説明を終えた兵士が2人をみる。


「わかりました。ありがとうございます」


 ラムは頭を下げる。


「ありがとうございます」


「では、ゆっくりお過ごしください。失礼します」


 兵士は丁寧に頭をさげ、部屋を下がっていった。


「俺は荷物だけおくけど、部屋広いね」


 ラムは部屋を見渡す。

 ふかふかなソファーに、大きな茶色のテーブル。

 正面には大きな窓からベランダに繋がり、温泉が見える。上には満天の星空。

 奥の扉は寝室、キングサイズのベッドが2つ。黄緑色のカラーに月光草が輝いている模様。寝室にも小さな木のテーブルがあり、薔薇柄のポットとカップがある。 

 さらにクローゼットもあった。

 左奥はトイレとバスだった。バスも大きめで入浴には困らなそうだ。

 右奥にはキッチンにはフライパンや鍋、お玉等一般的なものは揃っており、冷蔵庫、さらに温める魔法石がある。何でも持ち込み調理してもいいようだ。


「広い、」


「うん、いい部屋だね。申し分ない機能」


 ラムは頷く。


「ふかふかー!!」


 コーグはムスの頭の上からソファーに降りて跳ねていた。


「荷物を置いてくる!」


 ムスは寝室に向かう。


「コーグ、これから舞踏会行くけど来る?」


「いーくー!みてるー!コーグ大人しくしてる!」


「じゃあ、一緒にみようね」


「うんうん」


 コーグはソファーに転がっている。


「お待たせー!」


 ムスが荷物を置いて戻ってきた。


「ムス、舞踏会行く時、コーグは頭の上に乗ってる!」


 コーグは早速、ムスの頭の上に乗った。


「舞踏会の様子を見てくる?ギース兄もいるから、挨拶だけしたい」


「そうだね。ギース騎士団長は探すの大変そうだから、早目にいこう」


「コーグも探す!」


 皆の意見がまとまったところでムス、ラム、コーグは部屋を出る。 

 ラムがすかさず扉のロックをし、忘れないように並んで舞踏会へ向かう。


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