33 ≪楓と紅葉が結婚式場を選ぶ話≫
休日、二人はお気に入りのソファーに座っってパンフレットを眺める。
そこに書かれているのは、結婚式場についてのこと。
古今東西にある様々な結婚式場の写真や利用者の声なども掲載されていた。
「海が見える結婚式場……ケーキが美味しい結婚式場……和風な結婚式場……」
「この中から、私達の結婚式ができるところを探すのは大変そうだね」
「その……ダメ、なんですか? 本当に」
「厳密にダメ―って書いてるところは少ないけど、予約の為に電話したりしたら断わられたーってケースは多いみたいね」
「少し残念ですね」
「まぁ、仕方ないよ。大多数の群れから離れたのは私達なんだし」
「でも……」
「それにこの方が燃えない? みんなから否定されての貫く愛って」
「そういう考え方になれるのが、楓の素敵な所ですよね」
「昔の私は、そうは思えてなかったけどね」
結婚式場について書かれたパンフレットは机の上に置いて、楓はノートパソコンを広げる。
紅葉はスマートフォンを取りだし、自分が昔夢見ていたウェディングドレスについて調べ始める。
「楓さんは何色のドレスがいいですか?」
「え? 白じゃないの?」
「結構色々あるみたいですよ……ほら」
そう言って紅葉が見せてくれた画面には赤色や青色、紫や黒まで様々なドレスの写真が紹介されていた。
結婚式と言えば白のウェディングドレス、という認識があった二人にとってはこんなに色々な色のウェディングドレスが存在することが驚きだった。
「でも、やっぱり白じゃない?」
「黒や紫だって、楓に似合う色だと思いますけど」
「んーじゃあ、試着とかしてみる? できるのかな」
「できるとは思いますよ。式場によってある色とない色はあると思いますが」
様々なドレスに様々なアクセサリーそれに似合う、化粧や式場。
そのどれもが輝いて見えて、そのどれもが二人にとってはあまり想像できない自分自身の未来の姿だった。
「ねぇ見て、こんなサイトあった」
楓が見せてきたパソコンの画面には、同性での結婚式が可能な式場一覧がまとめられたページがあった。
「意外と多い……ですよね?」
「多いい……のかな?」
場所がどこかとか、費用がどうとか、そういうことの前に、二人は表示された式場の中からまずは理想にあったものを探す。
海に囲まれた式場、森の中にある式場、豪邸をまるまる使った式場、コンパクトな少人数用の式場、逆に大人数用の会場、など思っていたよりもたくさんの式場が二人の前には突き付けられる。
ここから自由に選べ、そう言われても何を基準に選んでいいのか分からず、二人は式場が公開している写真や動画を見て、感想を言い合う事しかできないままだった。
「やっぱり大きい所がいいですかね」
「って言ってもそんなに呼ぶ人いなくない?」
「わたしは……お母さんと、お仕事でお世話になった人と……できるなら、どこにいるか分からないお父さんとお姉ちゃんにも来てほしいです」
「私は誰だろ……ゆかりと……いや、ゆかりくらいしかいないかも」
「わたし達って案外交友関係狭いです?」
「狭いね……結構」
そこまで広い会場にする必要がない、という事が分かった。
多くて二十人から三十人程度、指を折りながら数えてみるともう少し少なくなっていく。
「楓は、山派ですか? 海派ですか?」
「んーどちかと言われれば海?」
「じゃあ、海を見ながらできる式がいいですよね」
「海……あーでも結構あるね、海が見える式場も」
「わたしも街中よりはやっぱり海や森? が良いので」
「でもやっぱり白色! って感じの式場が多いね」
「やっぱり白なんですね。結婚式のイメージは」
白を基調とした会場の雰囲気、緑の装飾が多く、海が見える。
その上、少人数で行える結婚式。
それを条件に二人は会場を探す。
「楓、ここどうですか?」
紅葉は楓にスマートフォンの画面を見せる。
そこに書かれていたのはまさに二人の望む条件通り、といったような結婚式場。
実際に見てみない事には分からないが、写真や動画を見る限り、二人の望むものは大方揃っていた。
「ここ、誓いの言葉とか、そういう事をする所ですよね? ほら、そこにあるガラスから海が見えます」
「ほんとだ……すごく綺麗」
楓も同じ式場をノートパソコンで調べ、詳しくその式場について詳しく知る。
すると、ドレスの色は多種多様なものを用意している事や、料理に関しても様々なコースがある事、色々なプランについて二人でこれから二人で話して決める事が出来るという事が分かった。
「紅葉は、ここ好き?」
「好き……です。楓はどうですか?」
「私も好き。実際に見てどうかって課題はまだ残ってるけど」
「じゃあ、行ってみましょう! それで、ドレスの試着もして、式場の確認もして」
紅葉は興奮気味になって、楓に倒れ掛かる。
楓はそれを抱きかかえながら、もう一度二人が良いと思った結婚式場について調べる。
もっと詳しく、事前に懸念するべきこと含め、全て。
「昔夢見た結婚式……が、できそうです」
「ほんと?」
「楓さんはどうですか?」
「私は昔夢見た結婚式なんてのがないから何とも言えないけど……でも、紅葉との結婚式ならここが良いって、思えるよ」
「なら、よかったです」
そしてここがいいと、そう二人が思えたら迷う事なく式場見学の予約をした。
夜乃月です。
カクヨムに投稿していた作品を、こちらにも投稿しはじめました。
こちらは時系列整理版、としてカクヨムの方で閑話扱いとなっていたエピソードも本編中に含めて投稿いたします。(カクヨム版は完結済)
【カクヨム版URL↓】
https://kakuyomu.jp/works/16817330650740228152/episodes/16817330651698503759




