表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【百合】やがて愛あるBouquetを知る二人。≪時系列整理版≫  作者: 夜乃月 ≪ヨルノツキ≫
≪ chapter7 二人が選んだ人生・エピローグ≫
60/76

23 ≪楓と紅葉が家具を買う話≫


 新居近くにある大型のショッピングモール、そこにある家具屋に二人は入っていく。

そこに置いてあるのはテレビ台やベッド、食器棚や学習机などまで、様々なものが多種多様な色やカタチで売られていた。


「机とベッドと……本棚かな、いや靴箱?」


「本はあまりないので優先するべきは靴箱かもしれませんね」


「ほとんど捨てちゃったしね」


 部屋割りはどうするか、どんな風に家具を置くか、どんな家具で部屋を作るか、そんな楽しいドキドキはある程度二人で話し合って抑えてきた。

インターネットで色々な家具を見て、あそこにはあれが、とそう決めてきた。

だけど実際に様々な家具を見ると、目移りし、気持ちも揺らいでしまう。


 二つある洋室の内、ベランダにも出られる日当たりのいい広い方を二人の部屋、もう一つの部屋を二人の趣味部屋兼仕事部屋兼、何かよく分からない部屋にすることを決めた。

リビングに置くものは昔楓が住んでいた部屋を参考にして、大きな食卓テーブル、ふわふわのソファーとその前に置かれた背の低いテーブル。

テレビを置くのかどうかは、まだ相談中。


「テーブル、何色が良いですかね」


「部屋が白だから……黒とか深い青とか? あーでもちょっと色暗いかな」


「日当たりのいい部屋ですし、明るい色がいいですかね」


「んー茶色系は? こういうのとか」


 二人の目の前には様々な食卓テーブルが並ぶ。

黒、白、赤、青、茶、色々な色のテーブルが二人の前で我こそはと、堂々と胸を張って並んでいる。


「茶色……いいですね。シンプルですし、どんなものを周りにおいても、差し支えなさそうです」


「じゃあえっと……あぁ、この札をレジに持っていくみたいだね」


「なんだか二人でグラスを買った日の事を思いだします」


「たしかに。あの時もこんな感じだったよね」


少し薄めの茶色のテーブルに、椅子は茶色と青色の二色。

紅葉の母親やゆかりが来てもいい様に、椅子は念のため四つ買っておく。


「楓さん楓さん。靴箱こそ、濃い茶色にしませんか?」


「おおー良いね。じゃあ、傘立ても対になる感じの色で揃えないとね」


靴箱はあっさり決まる。

ルーバー扉付のダークブラウンの靴箱。

問題はこの上に置く、小さな観葉植物だった。

何をおけばいいのだろうと、そんな話をしながら、結局観葉植物はまたそのお店に行った時に決めようと、後回しになる


 次に二人が選びに行くのは、ソファーと背の低いテーブルだった。

ソファーも色々なものがあり、どれもこれも座り心地や色や形が異なり、選ぶのが少し大変だった。


 枠組みは肌色に近い色の木でできた、緑色のL字ソファーが二人の目に留まる。


「楓さんこれ!」


背もたれも、座面もなんと緑色のクッションで出来ており、ふわふわしているのがとても可愛らしく、それをどうやらそれを紅葉は気に入ったらしい。


「緑色ってちょっと派手じゃない?」


「派手ですかね? 白色の中にいる緑……それに、緑は楓さんのイメージカラーの様な、そんな印象があったので」


「あぁ、なるほど……分かった、じゃあソファーはそれにしよう」


「ありがとうございます」


「いいよーっていうか、私のイメージカラー緑なんだね」


「まぁ、その。カエデはそうなかなぁと」


 また番号の書かれた札を持って、二人は別の場所へ移動する。

次は、ソファーの前に置くローテーブルについて。


「これは……どれが、いいですかね?」


「化粧品を入れられるテーブルに、ガラスになってるテーブル。色々あるね」


「楓さんは化粧品入れたかったりします?」


「私は……ないかな、てか化粧しないし」


「でしたね。わたしも本格的なお化粧は自分ではしませんし……」


「てるなと、シンプルなテーブルでいいかな」


 四角い黒色の足と、ダークブラウンのテーブル。

この上にお揃いのグラスを置きたいな、なんてことを考えながら二人はそのテーブルの番号が書かれた札を持って、いよいよ本命。

ベッドのある場所へ行く。


 二人は色々と話し合ったり、色々な記事をインターネットで見て、考えに考え、悩み悩み。

その結果、ダブルベッドではなく、シングルのベッドを二つ買い、それをつなげて置く事にした。


 寝る時間が違うだとか、今日は一人にさせてほしいとか、そういう事があった時にダブルベッドにしてしまうと、やっぱり困る。

紅葉も楓も、自分達の関係性以外での迷惑事が多く、どうしてもしんどくなってしまう日もある。

そんな時、お互いがお互いにそのはけ口を求めない様にするために、いつでも別々にできるシングルのベッドを買う事にした。


「これ……なんて、どうです?」


違うのはベッドのフレームだけ、マットレスと枕は同じものをと考えている。


「おぉいいじゃん……あぁ、これ下が収納になってるんだね」


「はい。収納がないバージョンもありますし。わたしが壁際……でしたっけ?」


「その予定だけど、まぁその辺はあんまり気になくていいよ」


「分かりました……まぁ、ともかく。ともかくです」


「はい」


「一つは収納付で、もう一つは収納なしで、これでどうです?」


「うん。いいと思う……色は白で良い?」


「楓さんが問題ないのなら」


「じゃあ、白にしよっか」


 案外あっさりと決まったベッドフレーム、それは白色のベッドフレームで収納とヘッドボードがおまけでついてくる高さがあまりないローベッドになった。


 マッドレスに関しては特別悩む事もなく、楓の寝ていたベッドにより近いものを、二人は選ぶ。

そのベッドが、紅葉にとっても楓にとっても安心して寝られていた場所なのだから、できる限り同じ環境を作りたい。


 楓の家にあった家具のほとんどは新しい部屋にはもってこず、処分又は実家の親戚にお返しした。

今まで溜めてきたアルバトの成果、今まで頑張ってきたアイドルの成果、それを使って新生活を始めるのが、二人の願いの一つだったから。


 今日買おうと決めてきたものを全て買い、紅葉はどこか浮かれた気分で楓とショッピングセンターの中を歩く。


「いいですよね。こういうの」


なんて事を、楓に言う。


「二人だけの生活。二人だけで生きていける人生、二人で失敗したり、成功したり、間違ったり、正しかったり、よく分からなかったり、そういう事を積み重ねていける人生……なんですよ」


そういうと、嬉しそうに楓の手を握る。

強く、優しく、紅葉らしく。


「だね……不安な事もあるけど、紅葉とならって今は思えるよ」


楓もそれに応えるみたいに握り返す。

強く、温かく、楓らしく。


「楓さん。これからもよろしくお願いしますね」


「なに、今更?」


「いえ、なんとなく……言っておきたかったんです、わたし今がすごく幸せですから」


「それは私も一緒だよ。だから、勝手に一人で不安にならないの、いつでも側にいるでしょ?」


「そうですね……いつでも側にいてくれる……ふふ、さぁ、行きましょう。わたしお腹が空きました」


そう言って二人はフードコートの方へと歩き出す。

今日のお昼ご飯は何にしようかと、そんな他愛のない話をしながら。


夜乃月です。

カクヨムに投稿していた作品を、こちらにも投稿しはじめました。

こちらは時系列整理版、としてカクヨムの方で閑話扱いとなっていたエピソードも本編中に含めて投稿いたします。(カクヨム版は完結済)


【カクヨム版URL↓】

https://kakuyomu.jp/works/16817330650740228152/episodes/16817330651467275149

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ