表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【百合】やがて愛あるBouquetを知る二人。≪時系列整理版≫  作者: 夜乃月 ≪ヨルノツキ≫
≪ chapter7 二人が選んだ人生・エピローグ≫
51/76

14 ≪楓が正式に紅葉との新しい未来を踏み出した話≫


 ある日の昼下がり、昼食を終え一息ついた頃、楓の携帯が鳴る。


「はい……はい」


温かい日差しを浴びながら、座り慣れたソファーに座って相手の話を慎重に、一言も聞き逃さない様に、楓は耳を傾ける。


「では、その……そちらに行くのは?」


丁寧に、丁寧に、紅葉の期待に応えられるように。


「あぁ、ありがとうございます。紅葉さんにそう言ってもらえて私も光栄です」


 一時間と少しの時間、相手の男性と話をし自分自身を理解してもらう。

そして、徒花紅葉が選んだ人間に間違いはないという事を、態度で示す。

その結果は、楓の望む。紅葉が願ったものが、後日伝えられる。


 数日後、晩御飯を食べ終わりゆっくりとお風呂に浸かる事も終えた頃。

また、楓の携帯が鳴る。


「楓さん! なんでわたし教えてくれなかったんですか!」


画面の向こうから、紅葉の興奮気味な声が楓の元に届く。


「びっくりした……いきなりどうした」


「マネージャーの件ですよ! 決まったんでしょう?」


「そうだけど」


「そうだけど……って、楓さん嬉しくないんですか?」


「嬉しいけど、それ以上に不安だよ。紅葉に迷惑かけないかなぁって」


「迷惑はたくさんかけていいんです。日進月歩を毎日コツコツ、一緒に歩んでいけばいんです」


「なんか、紅葉にそう言われると安心するよ」


 でも、良かったです。

楓さんがわたしのマネージャーさんになれて。


「それで、どうするんです? こちらに引っ越してくるんです?」


「んー一応そのつもり。まぁ、大学決まらないと何も言えないけどね」


「そうですよね。楓さんには大学もありますもんね」


「紅葉にだって高校があるでしょ?」


「あぁ、そういえばそうでした」


「それに雑用みたいなのが多めだって言われてるし、パソコンとカレンダーと後は紅葉への愛があれば家でもできる仕事多めだって、言われてるし」


「わたしへの愛ってそんな大げさな」


「どっちみち引っ越すなら事情説明も兼ねて一度実家に帰らないとだしね」


「その辺少し大変ですよね」


「行く時は一緒でいい? 紹介したいしさ、紅葉の事」


「分かりました。その時は教えてください」


 その後の話は仕事の事なんて何も関係のない日常の話を二人はしていた。

もう夜も遅いというのに、明日も互いに学校があるというのに、そんな事を二人は忘れてしまったかのように話をしていた。


「そういえば楓さん」


「ん?」


「その、学校の方に彼女がいる事がバレました」


「バレたの? それ大丈夫? 今後の活動的にマズくない?」


「誰かに言う様な方ではないので大丈夫だとは思いますが……でも、お付き合いしている事をファンの皆さんに伝えるかどうかは、考えないとですね」


「アイドル活動的にはどうなの? 女の子と付き合ってるアイドルって」


「なんとも言えません。付き合っている、という設定でアイドルをしている方もしますが、本当に付き合っている彼女がいるイドルの先輩、みたいな方もいませんし、彼氏彼女がいるというだけで、イメージは下がる様な気がします」


「一般人彼女じゃ、やっぱり難しいか」


「少し、大変だとは思います」


「もっと偉い人に相談しないとかなぁ、この事」


「でも、お付き合いしている事はもう伝えてありますよ?」


「え? そうなの?」


「はい。後で問題がおきない様にと」


「ありがとう……今度事務所に行った時に私からも言っておくね」


「お願いします」


 そんな話をして、二人は「またね」と「おやすみ」を言って電話をきる。

楓はソファーに座り窓の外に広がるネオンで無理に輝かされている世界を見ながら、膝を抱えて考える。


「事務所の人は良いっていてくれて、でもファンの人はいい顔をしないだろうし……紅葉の母親は絶対反対だろうし……」


その時楓の頭の中には、母親の顔が浮かんだ。

また元気だったころの、まだ人間らしく母親が生きていた頃の、そんな姿を思い出す。


「私のお母さんは……なんんて、言ってくれるかな。紅葉と私の事」


 いいとも悪いともどちらとも言わなそうな、そんな気がしても楓は一度、紅葉の顔を母親に見せたいと思う。

紅葉にも一度、私の母親に会ってほしいとそう思う。


「将来の為に……か」


 将来の事なんて何も分からないけれど、私がマネージャーになった事で紅葉がまた一つ、自分の未来を進んでいけるのなら。


「よかった……紅葉が、喜んでくれて」


またこうして、一つ時間を共に歩めるのなら。

それ以上に嬉しい事は、今の私にはなかった。


 


夜乃月です。

カクヨムに投稿していた作品を、こちらにも投稿しはじめました。

こちらは時系列整理版、としてカクヨムの方で閑話扱いとなっていたエピソードも本編中に含めて投稿いたします。(カクヨム版は完結済)


【カクヨム版URL↓】

https://kakuyomu.jp/works/16817330650740228152/episodes/16817330651322044427

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ