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【百合】やがて愛あるBouquetを知る二人。≪時系列整理版≫  作者: 夜乃月 ≪ヨルノツキ≫
≪ chapter7 二人が選んだ人生・エピローグ≫
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10 ≪楓と紅葉が手作りしたお弁当を食べる話≫


 水族館から少し歩いた場所にある眺めの良い公園、そこにあるベンチに座って海を眺めながら、二人で協力し合って作ってきたお弁当の蓋を開ける。


「いただきまーす」


「いただきます」


 目の前にある海では船が行きかっており、観光用のものからそうでないものまで様々だった。


「んっ、美味しい」


「よかったです。楓さんが作ったサンドイッチも美味しいですよ」


 時刻は十二字を少し過ぎた頃。

公園からは子供たちが楽しそうに遊ぶ声が、海の方では船を見てはしゃぐ子供の声が聞こえてくる。


「平和な日常って感じがしていいですね」


「こんなに穏やかな日なんて中々ないからね」


 優しい味付け、それが紅葉の味。

それがたくさん詰まったお弁当を、二人で食べる。


「楓さんは最近のお昼はどうしているんですか?」


「私? んー食べてなかったり、おにぎり作るか買ってくるか。まぁ、そんな感じかな」


「やっぱりちゃんと食べてないじゃないですか……よくそれで一日もちますよね」


「紅葉、思い出してみて? 一日三食ポテトフライだった日がある人間だよ? 私」


「あっ、そうでした。ポテトフライで一日生きていける人でした……って、それじゃあダメなんですって!」


「紅葉の作ったものならちゃんと食べるから」


「もぅ……ほんとに楓さんは、わたしがいないとダメなんですから」


「それはお互い様でしょう? 紅葉だって、寝言でよく私の名前呼んだり、寝ながら抱き着いてきたりする癖に」


「なっ! わたし、そんなしてないです! ちょっと名前呼んじゃう事があっても……そんな、無意識のうちに抱き着いたりだなんて」


「まぁ、夢でまで私の事思ってくれているって事だよね?」


「……」


「あっ、黙った」


 顔を赤くしながら紅葉は黙る。

そして楓に反撃できそうな言葉を探す。


「楓……さんだって、その……」


「んー?」


「ほんとは……その」


 ああもう、いつもわたしばっかり恥ずかしい。

楓さんもちょっとは照れたり、恥ずかしがったりしてくださいよ。

でも、わたし楓さんの弱み全然知らない、どこが弱いのかとか、何をされたら恥ずかしくなっちゃうのかとか、全然知らない。


「……わたし、全然知りません」


「え?」


「楓さんのカッコいい所と、可愛い所と、尊敬できるところと、大好きな所と、そんな所はたくさんたくさん知っているのに……なのにわたし、楓さんの弱い所を全然知りません」


 弱い所、なんて人に見せようとしないもの。

特に紅葉やゆかりなんかには、絶対に。


「そんだけ知ってたら十分じゃない?」


「いえ、ダメです。弱い所、楓さんの弱いところを教えてください!」


「えぇ……あぁ、じゃあ料理が苦手とか?」


「それは二人で支えていきたい所ですよね?」


「じゃあ……男の人が無理、とか?」


「申し訳ないですけど、わたしとお付き合いするにはすごくいいことです。最高の浮気防止策です」


「あの事件を浮気防止のキッカケと捉えるか」


「あぁ、ごめんなさい」


「別にいんだけど。案外あいつに会っても平気だったし、私」


「へぇ、そうなんですね……ん?」


 疑問が一つ、紅葉の中に芽生えて紅葉は箸を止める。


「えっ、会ったんですか?」


「向こうに帰った時に一度ね? でも、怖がってた私がバカだったなぁって思い知らされただけだったよ」


「なにもなかったなら……いいんですけど。って、話を逸らされました、結構ナチュラルに」


「ダメか」


 見せてはいない、といったものの楓自身自分の何が弱いのかあまり分からない。

それこそ男の人や料理ができない事、昔の事をずっと覚えている事、そんなところが弱い様な気もするけど。


「精神が弱いかな。じゃあ」


「精神ですか?」


「だってそうじゃん、昔結構酷い病み方してたし」


「あれだけの事があれば仕方がない気がしますけど」


 そんな話をしている間にお弁当箱は空になる。

二人は次の目的地であるショッピングモールについて軽く調べながら、目の前にある綺麗な海を眺める時間を過ごしていた。


「いきましょうか」


 そう言って先に立ち上がったのは紅葉だった。


「私の弱みはもういいの?」


「楓さんの弱みは、これからわたしが見つけます。そしてそれは絶対に誰にも教えません」


「私には教えてね?」


「嫌です」


「えぇー」


「わたしがその弱みを上手に使って……楓さんも、恥ずかしい。ってなればいんです!」


「わかったわかった。じゃあ、楽しみにしてるね、紅葉が私の弱みを見つけてくれるのを」


 その少し余裕そうな楓の顔を紅葉は見ながら手を差し出す。

楓はその手を取り、二人はショッピングモールの方へと歩き出した。



夜乃月です。

カクヨムに投稿していた作品を、こちらにも投稿しはじめました。

こちらは時系列整理版、としてカクヨムの方で閑話扱いとなっていたエピソードも本編中に含めて投稿いたします。(カクヨム版は完結済の為、タイトルネタバレがあります)

よろしければカクヨムコン8というコンテストにも参加中なので、カクヨムでも感想等いただけると嬉しいです。

【カクヨム版URL↓】

https://kakuyomu.jp/works/16817330650740228152/episodes/16817330651290803102

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