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【百合】やがて愛あるBouquetを知る二人。≪時系列整理版≫  作者: 夜乃月 ≪ヨルノツキ≫
≪ chapter7 二人が選んだ人生・エピローグ≫
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07≪楓と紅葉が初詣に行く話≫


 楓よりも少し早く起きて、朝ごはんを作って、二人で食べて、そんな事をした後、紅葉は楓を自分よりも先に神社へ向かわせた。


「少し時間を潰してから、神社に行ってくださいね?」


 紅葉にお年玉を上げる機会を見失い、どうしようかと悩みながら、商店街、住宅街、オシャレなカフェが集まる場所などを通って、遠回りをして時間を使いながら、紅葉に指定された場所。

楓と紅葉の住むマンションから少し離れた場所にある神社の鳥居の下で、紅葉を待っていた。


 楓は普段通り白いブラウスを着て、黒色のレザー製のショートパンツ履いたら、足が見えない様に黒色タイツを履く。

その上から、仕上げに黒色のライダースジャケットを羽織るだけ。

耳飾りはないけれど、代わりに首にチョーカーをつける。


 コツ、コツ、と遠くから音がする。

楓はそんな音を気に止めることもなく、一人晴天を眺め過ごしていた。


「あの、楓……さん」


そんな聞き覚えのある優しい声を聞いて、楓が空を見上げるのをやめると。


「どう……ですか?」


すると、楓の前には華やかな花と貝桶柄の赤の振袖を着た、紅葉がそこにいた。


「紅葉それ……」


「その、昔着付けを習っていて……だから、できるかなぁと……どう、です? 可愛いですか?」


 まさかのサプライズだった。

まさか紅葉が振袖を、こんな綺麗な振袖を着るとは思ってもいなかった。


「可愛い……てよりも、綺麗」


「えっ、あぁ、そう……ですか? えへへ、よかったです。楓さんに喜んでもらえて」


「私も合わせればよかったかな、紅葉に。そしたら、一緒に振袖で初詣できたのに」


「じゃあそれは、また来年ですね」


 来年……そっか、来年もって思ってくれてるんだ、紅葉。


「年開けたばっかりなのに、気が早いなぁ。紅葉は」


「いいじゃないですか。来年の楽しみが一つ増えて」


「まぁ、それもそっか」


「それよりほら、早くお参りしましょう? その後、おみくじを引いて今年の運を二人で確かめ合いましょう?」


 そう言って差し出してくれる紅葉の柔らかく、少し冷たい手を楓はとる。

少し紅葉に先導されるような、そんな状態になりながら二人は鳥居をくぐり、その先にある拝殿へと足を進める。


 真っ赤な拝殿につくと、こういう時にふさわしい小銭を財布から取り出す。


「五円だっけ?」


「ご縁がありますようにーって事で、五円だったと思います」


「これ以上の良い縁か……」


「あんまり想像つきませんよね」


「でも、もしこれ以上があるなら……二人に関係する何がいいね」


 二人はそっと、五円玉を賽銭箱の中へ入れる。

そして目を瞑り、神様にお願い事を一つ。


――これからも、楓さんとずっと一緒に居られますように。


――紅葉の仕事が順調にいって、その側に私がいられますように。


そう、願う。


 参拝を終えた二人は、その足でおみくじを買いに授与所へと足を運ぶ。


「おみくじ二回、お願いします」


そこにいた巫女に声をかけおみくじを引かせてもらう。


「えい」


最初に紅葉が円形の箱を振る。

そして中から出てきた紙を自分にも、楓にも、誰にも見えない様に一度隠す。

次に楓がおみくじを引き、出てきた紙はまだ開けない。


「せーのっ」


その言葉と共に、二人のおみくじは開かれる。


「あっ、わたし大吉でした」


「えっ、嘘。私中吉だったんだけど」


「わたしの紙には何が……あっ、願望が叶うんですって! 恋愛も、ほら。成就するって!」


「なにそのキラキラおみくじ」


「楓さんは? どうなんです?」


「えぇと私は……あぁでも学業とかいい感じだね、恋愛面とかも、ただ悪いのは……あぁ、家族に関することとかめちゃ悪いらしいよ、私」


「家族……ですか?」


「毎年悪い気がするけど、これ以上今年悪いなら流石に笑えないわ」


「でっ、でも。恋愛とか学業は上手くいくんですよね? ならよかったです」


「今年は恋愛とお勉強に熱意を注ぎながら、家族に気を付ける年になりそうだな……」


そう言いながら、楓はもう一度授与所に目を向ける。


「お守りも、何か買っていく? せっかくだしさ」


「今のわたしたちには何が合いますかね? 恋愛成就?」


「もっとしたい事あるんでしょ? 紅葉」


「まぁ……はい。あります」


そう言いながら顔を赤くする紅葉が、楓にとってはとても可愛らしかった。


「じゃあ、恋愛成就のお守り。二つ」


「に、しましょうか」


 二人お揃いの恋愛成就のお守りをカバンにつけて、二人は境内にある露店で焼きそばを二つ買う。

それを、飲食用に用意されたスペースにある椅子に座って食べ始める。


「だんだんと混んできましたね」


「早いうちに来てよかったね。スムーズにやりたい事できたし」


「この後どうします? わたしはまだまだ歩けますけど」


「せっかく紅葉が振袖来てるしなぁ……何か特別な事したいよね。やっぱり」


「そうですね……でも、その。楓さんが着てと言うのなら。わたしは毎日でも振袖を着れますし、あまりその。義務感というか、がっつく必要もないと思いますよ」


「そっか……じゃあ、最近できたって言う美味しいプリンでも買って帰ろう」


「はい。分かりました」


  空になったケースと割りばしを決められたごみ箱に捨て、二人はまた歩き出す。

楓にとってこんな穏やかに、それに加えて幸せがあるお正月なんて何年ぶりだっただろうか。

紅葉にとっても、こんなお正月は初めてだったかもしれない。


「思っていませんでしたけどね、楓さんと年を越せる。なんて」


 楓の側にいる事で、紅葉は安堵する。


「何か言った?」


「いいえ、何も」


その冷たい温かさに、紅葉はどこまでも甘えて、生きていたくなる。


「そうだ。紅葉これ」


「……?」


 楓はカバンの中から可愛い動物の絵柄のポチ袋を取り出し、紅葉に手渡す。


「お年玉。あげようと思ってたんだけど、タイミング逃しちゃって」


「そんな悪いですよ!」


「いいからいいから。気持ちだけしか入ってないし」


「……お金の関係、みたいになっちゃイヤですからね?」


「ならないよ、大丈夫」


「なら、その……ありがとうございます。楓さん」


 二人は手を繋いで歩く、紅葉はまだ振袖が自分に似合っているのかどうかを気にして、楓の方をちらちらとみる。

その度に楓は「かわいいよ」とそう言って頭を撫でる。

 

「楓さん、改めまして。あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」


「こちらこそ、よろしくお願いします」

 


夜乃月です。

カクヨムに投稿していた作品を、こちらにも投稿しはじめました。

こちらは時系列整理版、としてカクヨムの方で閑話扱いとなっていたエピソードも本編中に含めて投稿いたします。(カクヨム版は完結済)


【カクヨム版URL↓】

https://kakuyomu.jp/works/16817330650740228152/episodes/16817330651247983911

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