20 ≪リンドウの心≫
「楓さんの……遺書?」
「そう。この後楓は死のうとしたんだけど、私が止めちゃって……だから余計に楓は追い詰められて」
何度も何度もイジメを繰り返されて、それを教師は知らんぷり。
家ではお兄さんに傷つけられて、限界がきてしまった。
「楓は学校にエアガンを持って行ったの。夏祭りで買えるような安いやつ」
そしてそれを、いつも楓の事をイジメていた六人に向けて撃ってしまった。
慌てて逃げようとする生徒には、大量に石が詰まったバッグを投げつけて。
「倒れた生徒には馬乗りになって頭に銃を突き付けて……」
心のどこかが壊れてしまって、自分自身じゃどうする事も出来なくて、だから楓はただ暴力に頼って、縋って。
「結局騒動を聞いてやってきた男性教師三人に楓は止められて、それでひと段落。で、私はその時知ったの。あー楓は全部私に隠してたし、楓は平気そうな顔してたけど、嘘、ついてたんだなぁって」
「そんな事が……」
「でも、ちょっと嬉しかったんだ。私」
「え?」
「あぁ、いや。楓が学校で暴れる前の話なんだけどね?」
楓がもう無理ってなって、何もかもに耐えられなくなったある日。
全てに嫌気が差したある日。
楓が「もう逃げよう」って、家出の為に部屋で着替えをカバンに詰めてる時だった。
楓は急に押し倒されて、服を脱がされて、もうちょっとでされちゃう寸前で。
「あーまたか、またなのかって思いながら、楓が近くを見るとね」
そこには一本のカッターナイフがあった。
楓はそれを見つけたの。
「手に取って、思いっきり振りかざして楓はお兄さんの右肩に刺したの」
当然痛くて、痛くて、仕方なくて。
そんな感情に呑まれてお兄さんが悶えている間に、楓は家から逃げ出したの。
「そのまま走って、裸足のまま私の家に来たの……私を、求めてくれたの」
あの時の事は鮮明に覚えている。
忘れる訳がない。
泣きながら、何度も私の家のインターフォンを鳴らして「助けて」「助けて」って、泣きながら縋る楓の声。
ドアを開けてそこにいたのは、制服が乱れ下着どころか肌が露出していた楓の姿。なんなら、スカートなんて履いてなかった。
当然私は驚いたよ、何があったのか。って、でも楓は何も話してくれないし、ていうか話せる様な状況でもなかったし。
「楓には悪い事したかな。頑張って私の部屋まで歩いてもらって、後はずっと私と一緒だったの……楓はね私に抱き着いて『怖い怖い』って『嫌だ』って言って、私の着てた制服を涙と鼻水と吐瀉物で汚したの……あの時の楓の顔は忘れない……ほんと可愛かったなぁ……楓」
ユリの中にはもう、ココアを飲もうなんて気はなくなっていた。
「ガタガタ震えて、怖い怖いって、何度も何度も吐いて、涙を流して私を汚すの……優等生だった楓がだよ? 何をされても笑ってる楓がだよ? 私にだけにそんな姿を見せるの……ほんと、忘れられないなぁ、あの時の楓の情けない姿は……ほんとうに、愛おしかったの……」
ゆかりさんは笑う。
それが少し怖く思えてしまうのは、わたしの知っている世界が狭いからでしょうか。
それとも、ゆかりさんの感じている「愛」が、少し歪に見えるからでしょうか。
「楓の家族は、もう壊れてしまったの。お父さんは蒸発、お兄さんは結局楓とは何の関係もない子を三襲ったのと窃盗だったかな、それで逮捕、今は少年院だったかな? あれ、もう出たんだっけ? それから、お母さんは精神病でどうしようもなくなった」
「でも、楓さんは……」
「楓もだんだんと壊れ始めていた、学校であれだけの事をした。それに加え、お兄さんが少年院に入った事やお父さんが色々とした事が分かって、私達の住んでいる町は大きく報道される様になった。それがきっかけで、また楓はイジメられるようになった」
そこから先も、地獄だった。
「楓や楓のお母さんに対して石を投げたり、庭をわざと荒らす人間が表れた。その後すぐに、楓の家に石を投げたり、落書きをする人間が表れた。その後すぐに、楓の家にありもしない事や暴言が書かれた紙が貼られる様になった……やってた人の主張だとね、あいつら一家のせいでこの町の評判が悪くなったって……元々海が近い町だったから、それを利用して町おこしをしようって盛り上がってたのも相まって、楓達は責められる様になっていったの」
だけど、それでも楓は優しかった。
だけど、それでも楓は笑っていた。
だけど、それでも楓は側にいてくれた。
笑っていた、笑って、大丈夫とその言葉が口癖みたいだった。
「だから私も、つい楓に弱いところを見せてしまって……」
きっと楓も楓で辛かったのに、全部隠して、なかった事にして。
「あの子は昔からずっとそうだった。小学生の時も中学生の時も、ずっとそう。自分の事が疎かになりがちなのが唯一の欠点みたいな子だったの」
温かいココアはゆかりの喉を優しく通る。
「まだ、楓が学校で暴れたり、遺書を書いたりする前の話なんだけどね」
そう言って、今度はゆかり自身の事を語り始めた。
その優しい声と、繊細な言葉で、語り始めた。
「私が楓を変に意識しはじめたのは小学生の後半くらいだったかな。マセた女の子達が彼氏だとかあの子が好きだとかそんな話題で盛り上がってたんだけど、それに私はついていけなかった。それからもう少し時間が経って、私は気づいたんだ……『あぁ、私って、男の人を好きになれないんだ』って」
元々どこかが世間様とズレている自覚はあった。
巷で話題のイケメンアイドルや俳優は好きになれないのに、どうしてか可愛い女の子、それこそアイドルや女優は好きになれた。
だけど、恋愛的な好きと趣味的な好きの違いが分からなかった。違いがあるなんて事にも気づいていなかった。
「でも、些細な事で私は気づいちゃったんだ……楓と間接キスした時……あーほんと馬鹿だなぁって今でも思う。あの時は気が狂うんじゃないかってくらい恥ずかしかった」
それから少しして、私達は中学生になった。
初めて彼氏ができたとか、そんな事を言い出す友達もいて、私は「いいなぁ」って思いながら、心のどこかで楓とそんな風になれたなら、って。
「私は正直に楓に言った。女の子しか好きになれないって……だけど、失敗だったんだろうね。私はその時『楓が好き』だなんて、一言も言わなかったからさ。楓も応援してるって言ってくれただけで……それだけだったの」
でも、これでいつか恋仲になれるんじゃないかって、そんな風に期待してた。
私が女の子が好きなのを知ってるのは楓だけだからって、そんな風に思ってた。
「楓だって、辛い事があったはずなのに私の事を受け入れてくれたの」
そんな楓が大好きだった。
私を受け入れてくれる、必要としてくれる。
楓の事が。
「楓は、結局中学の間はずっと地元にいたの。周りの皆からは可愛そうな子だって、今までの関係は何もなかったみたいに接し始めて、三年生になる頃には楓は母親の実家に母親と一緒に行って、フリースクール? で勉強しながら、今の高校とは違う。お嬢様学校みたいな所を受験しようとしてたんだけど」
「お嬢様学校……」
「そう。んでね、三年生の半ばくらいかな。結構願書ギリギリぐらいの時に、楓は母親の両親に勧められて、母親の実家からも元々居たあの場所よりも遠い場所で一人暮したら? って事になって、楓はここにすむようになった。理由は、願書が間に合って、偏差値的なのも問題なくて、とても良い場所にあって、楓の事情を受け入れてくれた学校がここだったから。楓は入学してから気づいたけどあの学校大学付属だし」
「大学付属はいいですね」
「そうなの。で、めでたく楓は一人暮らしを始めて、高校生活を始めましたーっていうのが、今ここで楓が一人で暮らしている理由と、楓の話」
遠い昔から、今に繋がる昔話の中、ユリは一つ、ゆかりに聞く。
「どうして……そんなにゆかりさんは……その、そこまで楓さんに執着するんですか?」
少し冷めたココアが、ゆかりの喉を通る。
ユリの質問は、ゆかりの中でふわりと浮いていた感情を言語化しなければいけない、とてもとても難しい質問だった。
「あぁ、でも」
でも、要約するなら答えは一つだ。
「愛してるからだよ」
そしてゆかりの口からは簡単な言葉が出る。
「私の父親も母親も、受け入れてくれなかった。分かってくれようともしてくれなかった。その事に対して、楓はこう言ってくれたの『辛い事があったら、私だけを見ていて。私だけはゆかりの側にいるから』って、楓も辛い事がいっぱいだったはずなのに……」
その時、楓が言ったもう一つの言葉を、私はどうしても受け入れられなかった。
どうしても、もう一つの言葉を私は否定していたかった。
「でも、ちょっとゆかりが羨ましいな」
私の事を抱きしめて、頭を撫でながら。
「私はどんな酷い事をされても、どんな苦しい事をされても……」
夕焼けの木漏れ日が部屋に差し込み、二人を照らす午後五時を過ぎた頃。
「きっと、私は男の人が好きなまま、なんだろうな」
そんな言葉を、その時楓が浮かべた儚げな表情も、それでも私を見て笑っていたその苦しさを、忘れて、しまいたい。
「私はね、思ったんだ。この人しかいないんだって……楓だけが、私の生きる理由なんだって……ただ、それだけ。だから、楓の側にいたいし、楓に側にいてほしい」
ゆかりは笑う。
笑顔をユリに見せる。
その笑顔は、ユリにとって少し不気味に思える様な、不確かなものだった。
そんな笑顔を見て、ユリはただ一つ思った事を言葉にして、吐き出す。
「ゆかりさんは、どうしてわたしにそんな話をしてくれたんですか」
それはただの純粋な疑問だった。
「どうして……どうして、か。どうして……だろうね」
当てつけの様なものだった。
楓が笑っている日常を当たり前だと思ってほしくない。
なんてのは最初のうちにあった建前で、結局ゆかりがしたかったのは「私の方が、楓の事を知っているんだぞ」とユリに見せつけてやりたいだけだった。
でも実際そんな事をしたところでユリが動じる様な事はなく。
ゆかりの心の中にある感情が、大きくなるだけだった。
そして、二人はココアを飲む。
少し冷めてしまったココアの最後を看取る。
「ユリはさ、腹立たないの? こんだけの話を聞いて」
「腹が立つ? どうしてですか?」
「たくさん隠し事をされていて、嘘をつかれていて。ずっとそばにいるのに、何も教えてもらえてないんだよ? 君」
「そう……ですね」
ユリは少し、考える。
考えても、出て来る答えが変わる事も、出て来る答えが間違いだなんて思う事はないけれど。
一緒にいるから全てを知りたい訳じゃない。
一緒にいるから全てを知っていていい訳じゃない。
知らない事があってもいい。
分からない事があってもいい。
ただ楓さんが、どうしても話したいなら話せばいい。
それをただ、わたしは聞くだけ。
それはわたしの時だって、同じ。
わたしだって、楓さんに無理に問い詰められた訳じゃない。
ただわたしが話をして、それを楓さんに受け止めてもらっただけ。
だからわたしも、同じ事をする。
「嘘をついていたなんて、隠し事をしていたなんて、とんでもないです」
「え?」
そんな言葉がユリの口から出て来るとは、ゆかりは微塵も思っていなかった。
「ただ楓さんは、わたしとの関わり合いにその過去は必要ないと、そう思ったから何も言わなかったんじゃないでしょうか」
「それは……」
「だから、ここでわたしが怒る事があれば、そんな楓さんの気持ちを裏切ったかもしれないゆかりさんに対して、ですかね」
「私が……裏切った?」
「あぁ、いや。例えばの話というか……不確かな話なので忘れてください」
この子は、すべてを知りたいとか、分かっていたいとか、そんな気にはならないの。
「ユリは別に、楓が好きな訳じゃないんだね」
ならないなら、もう。
「わたしは……どう、でしょうね。初恋もままならない、そんな人生は嫌なのでしっかりと自覚していたいものですが……」
そう言って、鬼灯ユリは顔を赤くする。
空になったマグカップの中を見て、自分自身の夢を少し考える。
「もっと、楓さんの側にいないと分からないですね。この感情の続きは」
恋、なんてそんなのは楓さんに対して失礼だ。
だって、ただ助けてもらっただけで、楓さんだってきっと迷惑しているだろうし、沢山アルバイトして貯金もしていたいはずなのに、それをわたしが滅茶苦茶にしているのに、その上楓さんに恋をしました。なんて、そんなの。
だから、これは「尊敬」とか「憧れ」とか、そういう感情。
きっとそれは、永遠にそういう感情のまま。
「でも、ゆかりさんは楓さんに恋してるんですね」
そんな言葉に、素直に「はい」と、ゆかりは答えられなかった。
その質問の答えはゆかりの中にハッキリあって、もう吐露し終わった様なものなのに。
「……」
だって、私には楓しかいないけど、楓は別に私じゃなくても良いから。
私である必要も、私である意味も、ないのだから。
「ばーか。私の恋はガキが考えてる様な生ぬるい恋なんかじゃないの」
そう言うと空にまったマグカップを持って。
「歯、磨いて寝ないと虫歯になるからな」
あまり穏やかではない時の楓に似た口調でそう言うと、ゆかりはバルコニーから去ろうと、サッシを開ける。
「あぁ、そうだ」
ゆかりは、何かを思い出して足を止める。
「楓はね、一人のアイドルに救われたの。だから、それを覚えているから、ユリにも優しくしてるんじゃないか、って私は思ってるよ」
そう言って歩き出すと。
「つまりは同情されてんじゃない? 君」
つまらない言葉を落として、マグカップをキッチンの流し台に置いて洗面所へと歩き出した。
「アイドルに救われた? 楓……さんが? アイドルに?」
あまりも脈絡のないそんな話に、ユリの頭はしばらく真っ白になり、簡単に戻ってくる事はできなかった。
しかし、明日の朝ごはんの為に早起きをしなければ、と自分に何度も言い聞かせなんとか自分を正気に戻す。
ゆかりは一人、粉々になった本が散らばる部屋に籠って、頭を抱えて考え、ただ、ただ、楓の事を想う。
私が女の子しか好きになれないと、その事を両親に告白した。
それがおかしい事だなんてのは、周りの友達がする話を聞いていれば分かる事。
まだ幼かった私はどうしていいのか分からず、ただただ助けてほしかった。
だけど父親は「気持ち悪い」母親は「普通じゃない、病気だ。正気に戻れ」とそんな事を、そして私に興味をなくし二人は弟の相手ばかりする様になった。
どうしていいのか分からなくて、頼みの綱なんてなくて。
だけど、楓だけは違った。
必死な思いで縋った私を楓は私を抱きしめて、言ってくれた。
「辛い事があったら、私だけを見ていて。私だけはゆかりの側にいる」
この時、もしかしたら女の子しか好きになれないなんてのは気のせいかもしれないと、心の中で思っていた私のその疑念は晴れ、私は確信した。
女の子しか好きになれないなんてのは、違う。
私は楓しか、好きになれないんだ、と。
ずっと楓の側にいた。
ずっと楓と共にいた。
この一生を一緒に歩んでいくんだって、私はそう思っていた。
だけど、女性同士での結婚なんてできないし、楓は当たり前の様に男子生徒から告白されてたし。
勿論、その告白の全てを楓は断っていた。
だけど、私だけが取り残されている様な気がして、今も昔もずっと私だけが過去にいる様な気がして、寂しくて、寂しくて、怖い。
楓がユリにとられたら、どうしよう。
私の側には誰がいてくれるの。
「もし鬼灯ユリが楓を好きになっても、私勝てっこない……私と楓にあるのは、積み重なった時間だけ……それと一方的な思いの欠片だけ……そんなので、どうやって勝てって言うのよ……」
諦めはしない。
いつか楓をこっちに連れてきてやる。
女の子、いや私がいないと満足できない人生を歩ませてやる。
そう思うだけでいつも何もできないままでいる。
「今鬼灯ユリを外に出したら、それこそ一緒に写真に写ってた楓が酷い目にあうかもしれない。今なら、ただの友達と遊びに出てたって、そういう事で解決するから…」
大丈夫だから、大丈夫。
「それに、楓も納得しないだろうし。今、私が鬼灯ユリを追い出したりしても……」
夜が明ける前に、さっさとここから出て行こう。
これ以上考えすぎてどうにかなってしまう前に、どうにかしてしまう前にここを出ていこう。
もう一度考え直して、落ち着いたら、またここに来よう。
「早かった……早すぎたんだよ……私が、見たくない現実を見るには」
楓が大人になってく現実には、楓が離れていく現実には、楓の側で私じゃない誰かが笑っている現実を見るには、少し早すぎた。
「一人で大人にならないでよ……バカ」
そんな独り言は、暗い部屋に落ちる。
その独り言に小さな涙があった事は、ゆかり自身も気づいていない事だった。
翌朝、三日程度はここにいると言っていたゆかりの姿は、既になかった。
その代わりに、ダイニングテーブルの上に置手紙があった。
楓が中を開けると、そこには「楓が元気そうで良かったです。ちょっと考えたいし、気持ちの整理がつかないし、なんか色々納得いかないし、何よりこんな事考えてる私が一番嫌いで腹が立つので、帰ります」と、そんな言葉が乱暴な字として並べられていた。
「電話しよ……多分、昨日の事だろうし」
その手紙の横には、おそらく初日に渡す予定であったであろう菓子折りが置かれていた。
「昨日の事……」
「うん。色々あって私が昔の事思い出しちゃって、そのせいで迷惑かけたから」
「あぁ、なるほど……そんな事が」
楓はすぐにスマートフォンを手に取り、ゆかりに向けてラブコールを繰り返す。
「あぁ、ダメだ。出てくれない……もぉ、すねないでよ……」
そう言いながら、楓は不機嫌になったり悲しんだりすることはなく、笑っていた。
昨日の話を聞いていると、楓さんがこうして平然と笑えているのが不思議でならない。
「楓はね、一人のアイドルに救われたの」
その言葉が、ユリの脳に強く焼き付いて、離れない。
「つまりは同情されてんじゃない? 君」
その言葉が、ユリの思考をかき乱す。
「あっ……」
何か、楓に言葉を。
「どうかした?」
「あぁ、えっと……」
平然と、こうして笑えている楓さんに何か。
「楓さんは、ゆかりさんの事が大切なんですね……」
「まぁ……うん」
少し考えた後、楓の口から出たのは。
「大切だし、好きだよ、私は」
そんな言葉。
きっとそれは、ゆかりさんが今一番聞きたい言葉で。
きっとそれは、ゆかりさんが今一番欲しい意味とは違うもので。
「でも、それは……」
何かを言いかけたユリは、言葉を探して考えてしまう。
おかげでユリは愛想笑いしかできないし、楓は首を傾げるしかなかった。
「ユリ?」
「あぁ、うん、なんでもないです。ですので、気にしないでください」
そう言って、はぐらかして誤魔化して。
結局、楓の本心も考えている事も、ゆかりの本心も考えている事も、ユリには分からないままだった。
夜乃月です。
カクヨムに投稿していた作品を、こちらにも投稿しはじめました。
こちらは時系列整理版、としてカクヨムの方で閑話扱いとなっていたエピソードも本編中に含めて投稿いたします。(カクヨム版は完結済)
【カクヨム版URL↓】
https://kakuyomu.jp/works/16817330650740228152/episodes/16817330650787772923




