第2章 5 風呂場
すんまへん。やっとプロット纏まりました。
第二章終わりまで前と同じ更新頻度でやってきます
帰宅すると、当たり前のように家の明かりがついていた。
俺はリビングには向かわず、2階の自室で着替えを取ってバスタオルを肩にぶら下げると、風呂場へ直行した。
紗希が沸かしておいてくれたであろう湯船は、風呂蓋を捲るや、温かな湯気が顔に立ち込めて、それを肺一杯に鼻から吸い込んだ。
少し詰まり気味だった鼻加減は一挙に解消され、いつのまにか口ずさんでいた鼻歌と共に、桶ですくったお湯を頭から勢いよく被った。
俺は無意識に漏れたため息を味わいながらシャワーの温度を調節して、髪と体を清めて浴槽にダイブした。
「うぃ〜〜〜」
なぜ、気持ちがいいとおっさんくさい、快哉のような呻き声が出るのだろうか。
春乃に監禁された時、一番の思い出と言えば、あのどデカい風呂に入れたことくらいであることを考えると、自覚はなかったが、風呂がかなり好きなのかもしれないと15年の人生で初めて思い至った。
バイトで金が貯まっているし、今度一人で温泉にでも旅行に行こうかなとぼんやり考えていると
「湯加減はいかがかしら?」
と、なんの躊躇なく、曇りガラスの扉を開け放って憩いの場に侵入してくる不届者が仁王立ちしていた。
「寒いから閉めてほしいんだけど」
「あら、気が回らなかったわ。ごめん」
紗希はそう言うと浴室に入って、扉をパタリと閉めた。
「……おい、なんでお前もサラッと入ってきてんだよ」
「七海が寒いって言うから」
「うんうん。そこまで理解出来たのならあともう1歩なんだよなぁ。お風呂タイムをゆっくり楽しませてあげなければってところまで気が回ると、パーフェクトなんだけどなぁ」
「ええ、分かっているわ。だから七海のお風呂タイムに花を添えてあげようと気を使ったの。感謝は不要かしら」
「なんにも伝わってねぇんだなぁ」
「ふふ、ありがとう」
会話が成り立たなくなることが多々あるので今更気にしても仕方がない。
俺は紗希を大浴場に設置されている噴水像か何かだと思うことにして、口まで湯船に浸かり、ぶくぶく言わせた。
「今日、ある筋から小耳に挟んだ話なんだけど」
「情報屋みたいな切り口だな」
紗希は目をギラつかせて俺を凝視したあと、感情を隠すように目尻を下げ、微笑んだ。
「売女の所へ七海が行くって話、本気で言っているの?」
「……ここまで耳が早いと、ある筋ってのが気になってくるわ」
「そんなことはどうだっていいのよ」
「いやいや、情報筒抜けって俺にとってはかなり重要な話だろ」
「……それで、本当に売女のところに行くのかしら?ことによってはあなたの幼なじみの手が血に染まってしまうのだけれど」
「本当に話を聞かねぇよな、お前」
俺は嘆息して湯船から立ち上がった。




