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ヤンデレの時代は終わりだ!!!  作者: 松岡由樹
第一章 千枝春乃
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第一章 68 アルコールは未成年から

机の上に買ってきたものを広げ、春乃は音楽をかけるねとパソコンを立ち上げた。


「どんな気分?」


「静かめの曲がいいかな」

 

「おっけー」


マウスをクリックして流れてきた音楽は、カルロ・ルスティケリの禁じられた恋の島という映画の主題歌が流れ、思わず口に含んだビールを吹き出した。


「ゴ、ゴホッ…………え?カルロ・ルスティケリ?」


「あ、七海くん知ってるんだ」


「それはこっちの台詞。映画音楽の作曲家で有名な人だけど……」


「そうだったんだねー。なんかワルツ調の暗い曲で調べてったらいきついて」


テンション上がってる中での落ち着いた音楽なら、やっぱりワルツだよねと言いながら、買ってきた寿司のラップを剥がしている。


「ツッコミどころ満載だけど、ワルツって寿司食いながら聞く感じか?」


「でも、なんかそんな気分なんだもん」


3拍子のリズムに暗い色彩を塗りながら、妙に情熱的なメロディーが流れる。

そういえばこの邸宅は殆ど明かりがついていないので、外からはこの部屋だけがポツリと灯がついているように見えるのか。


それは淋しく映るのか、暖かく映るのかどちらなのだろうかと思った。


「お寿司美味しいね」


マグロの握りを食べながらお茶のペットボトルのキャップを外した。


「俺だけ酔うのもつまんないし、春乃も酒飲んでみれば?」


俺は酔ったらどんな感じになるか見てみたい好奇心にかられ、春乃にアルコールを勧めてみる。


「でも、あんまり良くないって言われてるし……」


あまり乗り気でない反応を示し、俺が丸のように大量購入した酒の缶を上目遣いで見ていた。


「意外。良くないとか気にするタイプだったっけ?」


少し挑発してみる。


「……言われてみれば、なんでだろ?」


「わかんないけど、親とかにあんま人に迷惑かけるなって言われた影響じゃない?」


春乃は俺の言葉に、ハッと顔を上げると、恐る恐るといった様子で、酎ハイの缶に手を伸ばした。


「口に合わなきゃ俺が後で飲むし、何事もチャレンジよ」


「……うん。そうだよねー」


俺の言葉に頷きながらタブを開けて、しばし両手で握り込んだ缶と睨めっこをしていたが、決心がついたのか勢いよく缶を口に運び、喉を鳴らした。


「どう?美味い?」


缶を机に置いて顔を下に向けている春乃に問いかけた。


「うーん、苦いような甘いような変な感じ…….」


納得のいっていない表情で、一口含み、また一口含んで、三口目でぎゅっと缶酎ハイを飲み干した。


「おーいい呑みっぷり」


「…………なんか頭がふわふわするかもー」


春乃は頭がフワッとする感覚が面白いようで、なにこれと言いながらクスクス笑い始めた。

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