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ヤンデレの時代は終わりだ!!!  作者: 松岡由樹
第一章 千枝春乃
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第一章 67 違和感

春乃の家は相変わらずデカく、そして部屋の明かりが一つも灯っていないで真っ暗だった。

唯一、邸宅を照らしているのはポツポツと各所に設置してある門灯くらいのもので、昼間に遊びに行った時には感じなかった侘しさが、じんわり胸中に広がった。


春乃はこの暗く広い家に一人でいたら、そら家出の一つもしたくなるだろうなと思った。


「夜に来ると、まるで幽霊屋敷だな」


「……そう言われてみればそうかなー」


春乃は鍵を開けながらニコニコ笑っている。


「これが当たり前だったからあんまりそういう風に思ったことないかも…」


「ホラー映画のセットで採用されそうなくらいの雰囲気だぞ」


「そ、そんなにかな?」


「せやで。つか、春乃ってお化けとかのホラー系って怖くないの?」


最近、春乃が割とビビリなのに気付き始めたが、一人でこの家にいて恐怖心が芽生えないか興味が出る。


「お化け……怖いと思ったこと、ない……かな?」


靴を脱ぎ、家の電気をつけながら記憶を掘り返しているように左上に視線がいく春乃。


俺はこの様子だと、そもそもお化けや怪物、スプラッタ系のジャンルに触れていないかもしれないのではと疑問に思った。


「春乃って映画何本くらい見たことある?」


「……どうだろ?ちょっと記憶にないかも」


「テレビとか漫画は?」


「…………殆ど見てないかな」


「なるほどね」


音楽以外興味がないことを知っていたが、これほどとは思わなかった。

これは単純に知識不足のせいで、想像力が足りていないから恐怖心が薄いのだろう。

知識を叩き込み、空想力を養う必要がある。


「春乃」


「なーに?」


「今度、映画を一緒に見るぞ」


「!!」


俺は何も知らず、実はかなりのビビリっぽい春乃に、恐怖という概念を教えてあげたいと思った。

これは、彼女の成長にも繋がる慈善行為だ。


「うん!みる!!一緒にみよー!」


「おけ。したら映画館……でもいいけど……春乃、テレビ買う金とかある?」


「うん、お金は大丈夫だよ。テレビならこの家からいなくなった時でもすぐ、捨てられるしね」


「ほんじゃ、明日買いに行くか」


春乃は嬉しそうに俺の話を聞いていたが、明日に買いに行こうという提案を聞くと、途端に表情が固まった。


「あ、明日……」


「お?なんか予定あるのか?」


春乃にしては珍しい。


「あ、あの……テレビはネット通販で買っとくよー!届いたら一緒にみよー!」


「確かにそっちの方が楽だな」


春乃はホッと胸を撫で下ろし、そのまま階段を上った。

俺は違和感に首を傾げたが、まぁいいかと春乃の後に続いた。

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