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ヤンデレの時代は終わりだ!!!  作者: 松岡由樹
第一章 千枝春乃
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第一章 50部 湊さんもたまには酒を控える

九龍に着くと既に龍くんと湊さんは出勤していて、各席にグラスを用意したり、乾き物を卓上に準備したりしていた。


「はよっす」


「ハロハロ〜」


「おはよう。今日はありがとな」


龍くんは俺が来るのを見ると、レジからお金を取り出す。


「うっす。何したらいいですか?」


「とりあえずメモに書いたもの買ってきてくれるか?」


「了解です」


手渡されたメモを見ると酒やジュースなどのドリンクがズラリと記載されている。


「買い物終わったらトイレ掃除と床掃除よろしく」


俺は頷き、近くのディスカウントストアに店の自転車で行って、メモに書かれている飲み物や酒を購入した。

頼まれた量はなかなかで、大きい袋を4つ分パンパンにし、フラつきながら自転車を漕いで店に戻る。

俺はそれをバックヤードに置くと、床の掃除とトイレ掃除を終わらせた。


「終わりましたよ」


「お疲れ。ほれ一服しな」


まだ客が来るまでに余裕があるようで、カウンターに座り、出してもらったコーラを飲む。

湊さんも俺の隣に座って、早速ビールを飲み始めていた。

今日は忙しいはずなのに、酒を呑んで大丈夫なのだろうか。


「30人の団体ってなんかイベントでもやるんですか?」


これだけの団体予約だと、大抵は何かしらのイベントが打たれてる時が殆どだが、特にそんな準備はしていないので疑問に思った。


「いや、イベントは来週で別の場所でやるんだけど。その前夜祭みたいなもんだな」


「へぇ。どこでやるんですか?」


「都心の方。俺も企画に噛んだからそのよしみでミーティング込みのパーティをうちでやってくれるんだと」


「そうなんすね」


俺はコーラを飲み干してグラスを洗うためにカウンター内へ回った。


「その企画、うちら二人で曲もやったりするんだけどさ、トランスイベントだから微妙っちゃ微妙なんだよね〜」


湊さんは納得してない様子でビールをグビグビ飲んでいる。


「LIVEってことですか?」


「LIVEっちゃあLIVEかなぁ。ブースが分かれてて、基本的にDJが曲かけてんだけどさ。その合間に歌だけのせる感じ」


「俺は湊のサポートボーカルとして参加予定だよ」


龍くんがギターで湊さんがボーカルのいつもスタイルで出演するのかと思ったが、そうではないらしい。


「あ、てかさ。このイベントに友達連れてくれば?」


「友達っすか?」


「そうそう。七海くらいの子だったらこういうのに憧れる年頃でしょ?」


無邪気な提案だろうがそこはかとなくディスってるように感じるのは気のせいだろうか。


「あーちょっと聞いてみます。いくらかかります?」


「入場料2000円のワンドリンクオーダーだから3000円あれば足りるんじゃない?その後は飲み方次第だけどね」


「了解っす。来れそうな奴がいるか聞いてみますわ」


「ま、呼んでほしいわけじゃないから遊び場に困ってたら来なよって話。来週の土曜、ゴールデンウィークの初日だから遊び倒せるぜい!」


湊さんはニカっと笑って席から立ち上がった。


俺はおかわりビールにいかない湊さんを不思議に思ったが、その疑問はすぐに氷塊した。

予約の団体が到着したのである。


俺はそのまま、客の荷物を整理したりファーストドリンクを作ったりと店の状況が落ち着くまで働き、龍くんが用意していた臨時のお手伝いが出勤すると入れ替わりで仕事を上がった。


帰路、LINEを確認すると春乃から着信があったので折り返した。


「もしもし」


「あ、七海くん。仕事は終わったー?」


「おう、丁度終わったとこだよ」


「そうなんだ!お疲れさまー」


「さんきゅ」


「どういたしましてー」


電話越しでも伝わるくらいに嬉しそうな声色で話す春乃。


「そういや、春乃の声を聞いたら今日は昼から何も食ってないことを思い出してめちゃめちゃ腹減ってきたな」


「ふふ、どういうメカニズムなのー」


「彼女の声を聞くとホッとして?みたいな?」


息を飲む音が聞こえた。


「……七海くん、よかったら今からご飯作りにいこーか?」


「いや、悪いから大丈夫。適当にどっかで食べてくよ」


「…………むぅ」


俺の気遣いにいたくご不満な様子が電話でも伝わってくる。


「どうした?」


「んーん。七海くんは相変わらず意地悪だなって思って」


「失敬な…………あ、ラーメン食うから電話切るわ」


「う、うん」


「また明日な」


「…………ん!また明日ねー」


俺は電話を切って、目の前のラーメン屋に入った。


ふらりと入った店のラーメンはかなり美味かった。

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