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ヤンデレの時代は終わりだ!!!  作者: 松岡由樹
第一章 千枝春乃
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第一章 49 鈍感な男

「ではでは、罰ゲームを負け犬の皆さんに通達します!!」


ボウリング場から移動して、施設内にあるカラオケの個室に落ち着くと、待ってましたと言わんばかりに塩見が口を開いた。


「ゆあの要求はただ一つ………デデン!七海くんとのデートだー!!」


マイクを持ちながら腰に手を当て、俺を指差す塩見。

大声のあまり、キーンとハウリングする。


「えぇーお前とデートぉ?」


「そうです!そしてデート代は七海くんの奢りです!!」


「それ、要求二つになってねぇか?」


人の一日を拘束した挙句、金を巻き上げるとはなかなかにがめつい奴だ。


「拒否権はないからよろしくぴ〜」


クソみたいな語尾をつけて満足げに濱田へマイクを渡す。


ギャンブルの敗者として、ここは大人しく従わないといけないが、いつかこの女に地獄を見せてやろうと思った。


「あー私は……当夜と司、どちらでもいいから服を買う時の荷物持ちをお願いしたいな。そろそろ夏服買いに行かなきゃならんし」


ナチュラルに俺を外して要求するあたり抜け目がない。

嫌がらせで俺が立候補するところだったのに。


「それなら僕が付き合うよ。多分配分的にそれが良さそうだし」


「サンキュー!昼飯ぐらいは奢るわ」


罰ゲームで付き合わせても昼飯代を出す心遣いを塩見にも持ってほしいものだ。


「私は当夜くんと野球のナイターを見に行きたいな」


濱田からマイクを受け取った今野は正木を名指しで野球観戦に誘った。

近藤が配分的にと言ったのはこういうことかと納得する。


「承知した」


正木の即答にニコニコしながら亮にマイクを渡す。

この大男は今野の好意に気付いているのか気になって近藤を見ると、諦めた表情で顔を横に振っていた。


「最後は俺だね」


亮はウーンと顎に手を当てながら思案していたが、罰ゲームを思いついたのか、明るい顔になってマイクを口元に近づける。


「そしたら七海に罰ゲーム。今度遊ぶ時、雨倉さんも連れてきてよ!」


亮の発言に女性陣は少し渋い顔をした。

どうやら紗希の取っ付きの悪さはしっかりと伝わっているようである。


「いいけど、あいつかなり性格悪いぞ?」


「仮にそうだとしても、そこを含めて一回遊んでみたい!七海と雨倉さんと俺の3人でもいいし!」


亮のポジティブさに押されつつ、まぁ見てくれだけは良いからなと思い、亮の頼みを承諾した。


「ありがとう七海!」


「でも紗希に結構興味あったんだな。意外」


「色々な人と話してみたいなと思っててさ」


亮は、はにかんでそう答えた。

恐らくこいつの根幹に関わる何かが、多様な人間と関わりたいという欲求に繋がっているのかもしれない。


俺はそれ以上深くは追求せずに会話を切った。


こういうのは後々知る方が面白いのである。


罰ゲームが決まってひと段落した。

受話器の近くに座っていた今野はメニューからドリンクやホットスナックを皆の代表として頼み、塩見と濱田は何を歌うか端末を操作しながらあーでもないこーでもないと話している。


俺はスマホを取って時刻を確認すると、結構いい時間になっていて、そろそろ帰らないとバイトに間に合わなさそうであった。


ついでに春乃からLINEが何件も届いている。


「悪い。そろそろバイトだから帰るわ」


「あ、そうか。昼間だけとか言ってたよね」


席を立ち上がり、金を亮に手渡す。


「ちょっと多くない?」


「そうか?」


「そしたら学校で釣りは渡すよ」


「別にいらないけどな」


「そういうとこはちゃんとしなきゃ駄目だろ」


亮は苦笑いして金を自分の財布にしまった。


「七海くん、ゆあとのデートプランしっかり考えといてねー!!」


扉から出ようとする俺にマイク越しで叫ぶ塩見。


耳を塞ぎながらその場を後にする。


俺は電車に乗って一旦帰宅すると、春乃にLINEを返してバイト先へ向かった。

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